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『シモン・ボッカネグラ』の二人のバス対決!

 先週は過労状態だったので、昨日の夜から今日にかけては休養日。仕事は必要不可欠な数時間だけにして、WBCの日米戦をテレビで見た以外は、買いためたままずっと見られずにいたオペラDVDを立て続けに見た。30本ほどたまっているが、そのうちの5本ほどを夢中になって見てしまった。

 イタリア・オペラ嫌いを脱皮しようと、意識的にイタリアもののDVDを見た。疲れを癒すために見始めたのだったが、5本も見ると、さすがに疲れる! 短く感想をまとめてみる。

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・プロコフィエフ『三つのオレンジへの恋』(仏語版)。シルヴァン・カンブルラン指揮、ジルベール・デフロ演出、パリ国立オペラ2005年の上演。好きなオペラだ。わくわくするような演出。登場人物の多くに道化師の格好をさせているのも、このオペラにマッチしている。歌手陣は全体的にレベル以上。チェリオを歌っているのがホセ・ファン・ダムだったと後で気づいた。さすが! 

 肝心の王子(シャルル・ワークマン)が弱いのが残念。指揮も、もっとハチャメチャでいいのではないか。ちょっとおとなしすぎるように聞こえるのは、装置を通しているせいだろうか。

 とはいえ、全体的には、きわめて満足。やはり、このオペラは楽しい。私は、ケント・ナガノ指揮のリヨン、ステファヌ・ドゥネーヴ指揮のロッテルダム、ソキエフ指揮のエクサンプロヴァンス音楽祭のものの計3本のDVDを持っているが、いずれもおもしろい。音楽的にはケント・ナガノのものが充実しているが、決定版というほどではない。

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・モーツァルト『魔笛』  イヴァン・フィッシャーの指揮、ベンノ・ベッソン演出。パリ・オペラの2001年の上演だ。フィッシャーのきびきびした指揮は好感が持てる。演出も妥当。レッシュマンのパミーナが素晴らしい。パパゲーノのデトレフ・ロートもいい。ただ、タミーノを歌うピョートル・ベッツァーラと夜の女王を歌うデジレ・ランカトールが弱い。ベッツァーラは、『リゴレット』のマントヴァ公爵がかなりよかったので期待していたが、細かい処理がかなりザツだと思う。

 サルミネンがザラストロを歌っている。声の威力を失っているが、存在感は相変わらず。

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ドニゼッティ『ドン・パスクァーレ』。ムーティ指揮、ステーファノ・ヴィジオーリ演出の1994年スカラ座の上演。これは、見事な演奏! フルラネットのドン・パスクァーレ、ルチオ・ガッロの医者、グレゴリー・クンデのエルネスト、ヌッチア・フォチーレのノリーナなど、すべての役がぴったりで、歌唱も見事。おもしろおかしく、そして、ドン・パスクァーレに同情! とりわけ、フルラネットの歌に圧倒された。

 ムーティの指揮も素晴らしい。私は、ワーグナーやベートーヴェンを聴いてムーティがかなり嫌いで、これまで避けてきたが、このDVDを見ると、それが早計だったのを感じる。ただ、音楽とストーリーがちょっと単純すぎるので、このオペラからモーツァルトやワーグナーやシュトラウスに触れた時のような深い感動を得るのは難しい。

915 ・ドニゼッティ『連隊の娘』。ブルーノ・カンパネッラの指揮、ローラン・ペリーの演出。2007年コヴェント・ガーデンの上演。ともあれ、演技力も声もナタリー・デセイが圧倒的。 こんなに少年っぽくてコミックな演技を、これほどの歌唱とともに見せてくれる歌手はほかにいない。演出もしゃれている。全体を通して、とても楽しめた。笑えるところも多い。

 ただ、実は私は、このDVDの最大の売り物らしいホアン・ディエゴ・フローレスが好きではない。ほかの劇場での『連隊の娘』や『チェネレントラ』など、いくつかの演目を聞いたが、私には彼の声が美しいと思えない。時に音程が微妙にも思えるのだが・・・。だから、このDVDについては素晴らしいと思うが、フローレスについては保留。フローレスが好きな人には、こたえられないDVDだろう。

Photo

・最後に、ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』 ダニエーレ・ガッティの指揮、ペーター・シュタイン演出のウィーン国立歌劇場2002年の上演。

 ドニゼッティを2本見た後にヴェルディを見ると、オペラ作曲家としての力量の違いを痛感してしまう。私はイタリア・オペラに関しては初心者に近いが、『シモン・ボッカネグラ』は文句なしに感動的だ。ドイツオペラ好きにも違和感がない。(ただ、第一幕最後の、パオロをみんなの前に呼び出すときのあまりの大袈裟な音楽にはドイツ音楽好きとしては大いに閉口する!)

 シモン(トーマス・ハンプソン)とフィエスコ(フェルッチェ・フルラネット)のバス二人の渡り合いが最高! ずしりと胸に響く。ガブリエーレ役のミロスラフ・ドヴォルスキーもいい。アメリア役のクリスティナ・ガイヤルド=ドマスは、私は少し硬さを感じるが、感動を妨げない。

 アバド指揮のフィレンツェ歌劇場のDVDも、1976年のイタリ アオペラの日本公演のDVDもよい舞台だが、これはそれを凌ぐ。

 さて、明日からまた仕事に復帰しなければ・・・

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