« 『カルメル会修道女の対話』と『シェルブールの雨傘』の共通点 | トップページ | 村冶佳織さんのFM番組を収録 »

『タンホイザー』DVDは、宮崎駿の影響?

695  発売されたばかりの『タンホイザー』のDVDを見た。フィリップ・ジョルダン指揮、ニコラウス レーンホフ演出、ベルリン・ドイツ交響楽団の2008年、バーデン=バーデン祝祭劇場ライヴだ。

 素晴らしい!  歌手も指揮も演出も見事!

 タンホイザーのロバート・ギャンビルは、ちょっと荒いが、声の威力も演技力も十分。領主のスティーヴン・ミリンも声に貫禄があっていい。

 が、何と言っても、エリーザベトを歌ったカミッラ・ニールンドとヴェヌスのヴァルトラウト・マイヤー、そしてヴォルフラムのローマン・トレケルの三人が素晴らしい。

 ニールンドは清楚で芯が強い女性をしっかりと演じている。歌に関しては、第二幕の有名なアリアよりも第三幕のほうが清楚な声がしみじみとした情感があってよかった。

 ついでにいうと、私はニールンドがメジャーになる前からのファンだ。7、8年くらい前になると思うが、武蔵野市民会館でのリサイタルでシュトラウスとシベリウスの歌曲に圧倒された。

 昨年、ドレスデンのゼンパーオパーと来日して歌った『タンホイザー』と『サロメ』も素晴らしかった。そのときのパーティで顔を合わせて少し話をした。武蔵野で聴いて以来のファンだと告げると、通訳の方が訳す前に私の「ムサシノ」という発音に反応して、うれしいそうな顔をしてくれた。近くで見ても、とても美しい人だった(こんなことをいうと、私の人格を疑われるかもしれないが、信じられないほどの巨乳だった)!

 マイヤーも圧倒的。もちろん何度もナマを聞いてきたが、まだ衰えていない。ヴェヌスの不気味さ、妖艶さを余すところなく表現していて、第三幕には空恐ろしさに震えが来たほどだ。

 トレケルも相変わらず折り目正しい歌いぶり。細かいニュアンスをしっかり表現して、「夕星の歌」はとりわけ感動的だった。

 そして、指揮のジョルダンも凄い。DVDで見た『サロメ』も素晴らしかったが、ワーグナーもいい。不気味なエロティシズムを作り出していた。色彩的で精妙。しかも、生きがいい。目くるめく感じがする。ただ、第一幕の終わりの部分など、オケにずれが生じたのを感じたが、気のせいだったか。まあ、ライヴでそんなことを気にするのはよそう。ただ、ワーグナーにはもう少しどっしりとした音楽の流れがほしい気がするが、そうなると今の音楽性がくずれてくるのかもしれない。

 レーンホフの演出もいい。螺旋階段がすべての幕に登場している。ニンフたちが、まるで、宮崎駿の『もののけ姫』に出てきた「もののけ」たちみたい。きっと、レーンホフは『もののけ姫』に影響を受けたのだと思う。不気味でうずうずした雰囲気を作り出している。演出意図については、メイキング映像がついているので、関心のある人は見るといいだろう。私は時間がないので、飛ばし見しただけ。

 ただ、生硬な文語の混じる日本語字幕は、かなり違和感を覚えた。日本語字幕があるだけありがたいが、もう少しこなれた訳にしてほしいものだ。

『タンホイザー』のDVDとしては、コリン・デーヴィス指揮、シノーポリ指揮、ウェルザー=メストなどがかなりのレベルだが、それに勝るとも劣らない。

 やはりワーグナーは別格だ・・・と、ワーグナーに触れるごとに思う。

|

« 『カルメル会修道女の対話』と『シェルブールの雨傘』の共通点 | トップページ | 村冶佳織さんのFM番組を収録 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/532807/44504119

この記事へのトラックバック一覧です: 『タンホイザー』DVDは、宮崎駿の影響?:

« 『カルメル会修道女の対話』と『シェルブールの雨傘』の共通点 | トップページ | 村冶佳織さんのFM番組を収録 »