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寺島実郎セミナーと『ドン・カルロス』DVDのこと

 昨日、虎ノ門駅近くの商工会館で知研(知的生産の技術研究会)主催の寺島実郎セミナーが開かれた。私も知研の「顧問」という肩書きをいただいているし、寺島先生は私の勤める多摩大学の次期学長でもあるので、聞かせていただいた。

 2時間近くみっちりと、現在の世界の動向についての分析や意見を聞いた。日本の進むべき方向、そして改善のための対策にいたるまで、実に説得力ある提言だった。最新のデータに基づき、欧米に限らず世界のあちこちの動向への洞察が含まれているだけに、心を動かされる。実り豊かな、感動ものの2時間だった。この後、知研会長の八木哲郎さん、事務局長の秋田英澪子さん、理事長の久恒啓一さんらと二次会を楽しんでから帰宅した。

 これについて、考えることがたくさんあった。だが、原稿に追われている今、それについてしっかりと考える余裕はない。近日中にもう少し自分の考えがまとまったら、書かせてもらう。寺島先生には、大きな宿題をいただいたように思った。

972 ヴェルディの『ドン・カルロス』のDVD(TDK)を見た。ド・ビリー指揮、ペーター・コンヴィチュニー演出のウィーン国立歌劇場の舞台だ。ラモン・ヴァルガスのカルロス、イアノ・タマルのエリザベート、ナジャ・ミカエルのエボリ。

『ドン・カルロス』は、ヴェルディの中で私の最も好きなオペラだ。とりわけ、5幕によるフランス語版がいい。これぞヴェルディの『トリスタン』だと思っている。

 休憩時間に観客を巻き込んでオペラが展開する・・・というかなり奇抜な演出だが、私はこれについては許容できる。コンヴィチュニーなので「大胆な読み替え」をしているのではないかと心配していたが、そんなことはなかった。

 ロドリーグがメガネをかけ、大審問官が盲人用のサングラスをかけているのは、世界を見る目の有無を象徴しているのか。が、ちょっと安易だと思った。

 歌手はかなりのレベル。ロドリーグが少し弱いが、それほど気にならない。エボリを歌うナジャ・ミカエルが特に素晴らしい。先日見たDVDでサロメを演じていた歌手だが、細身でかなりの美人で声も強靭。これからが楽しみだ。

 全体的にはかなり満足できる上演だった。

 ただ、ほとんどの歌手のフランス語の発音が気になる。いや、私もフランス語会話が得意なわけではないので、細かいことを言うつもりはない。が、多くの歌手がleを「レ」 deを「デ」、無音であるはずの語尾のeを「エ」と堂々と発音しているのはいただけない。もう少しフランス語指導をしてもらえないものか。

 もう一つ思ったこと。ラモン・ヴァルガスとイアノ・タマルの顔がそっくり! 肥満度こそ差があるが、目つきは瓜二つ。見ているうち、「実は二人は兄と妹だった・・・」という展開になるのではないかという錯覚にふと陥りかけた。

 ワーグナーの『ワルキューレ』第1幕に、ジークムントとジークリンデが顔を見合わせて、互いに瓜二つであることに気づくシーンがある。似ても似つかぬ二人の歌手が演じることが多い。金髪のすらりとしたペーター・ホフマンと、巨大な体躯の黒人歌手ジェシー・ノーマンだったりすると、いくらノーマンの歌が素晴らしくても、台詞と映像のあまりの違いにしらける。

 だが、このヴァルガスとタマルならぴったりだ。ただ、ドイツオペラとイタリアオペラでは発声が異なるし、必ずしもこの二人が美男美女ではないのが、弱点といえば弱点。

 ・・などと意地悪なことを考えながら、見ていた。

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