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ドミトリー・リスはストコフスキーの再来?

 11日の夜、ドミトリー・リス指揮、東京都交響楽団の演奏会に出かけた。前半はラロの『イスの王』序曲と、堤剛が加わってのチェロ協奏曲、後半はフランクの交響曲。これを聴いてリスという謎の指揮者の正体を見極めたと思った。

 真面目さとロマンティックな情感が程よく入り混じる堤剛のチェロが私は好きだ。が、この日は、堤の遠慮がちながらもユーモラスな面を発見して、おもしろかった。ただ、ラロについては何ともいえない。二曲ともほとんど初めて聴く。

 私にとってのこのコンサートの目的はフランクだった。私はフランクのヴァイオリンソナタが大好きだ。交響曲もすばらしい。それをリスの指揮で聴けば、リスの正体がわかると思ったのだ。

 リスの指揮は、一昨年、ナントのラ・フォル・ジュルネでウラル・フィルと演奏した『悲愴』を聴いた。東京でも『フィンランディア』、そしてベレゾフスキーのピアノによるラフマニノフの第二番の協奏曲を聴いた記憶がある。

『悲愴』ははっきりと覚えている。あまりに激烈な初めの三つの楽章に圧倒された。第三楽章が終わったところで大拍手が巻き起こった。ヤンソンスの指揮などでも同じようなことが起こるが、ヤンソンスの場合には第四楽章もじっくり聞かせてくれる。ところが、リスは第四楽章が付け足しのようになって、腰砕けになったのが印象的だった。

 私は、『悲愴』を聴きながら、かなり感動しつつ、違和感を拭いきれなかった。今回も同じことが起こった。

 フランクの交響曲を聴いて、私は何度も魂が震えた。エネルギッシュで熱く、メリハリの効いた演奏!

 が、聴き終わったときのじわりと盛り上がってくる感動がやや薄い。どうしても、外面的過ぎるのを感じてしまう。往年の人気指揮者(敢えて大指揮者とは言わない)であるストコフスキーを思わせる。

 おもしろい演奏をする。曲芸をやってくれる。盛り上がるし、感動もする。極によっては私も大好きだ。だが、形が崩れるので、私のようなドイツ音楽育ちの人間には居心地が悪い。

 体臭がむんむんとするような八方破りのフランク! これはこれでおもしろかったし、もしかしたら、フランクというのはこんな作曲家なのかも?と思わせるだけの説得力は持っていた。だが、私は、もう少し厳かな深みを持つフランクのほうが好きだ。

 昨日から京都にいる。仕事の合間を見て、仁和寺で一人で花見をした。豪華絢爛な御室桜。気温25度を超えて、暑いほど。京都の最後の桜だという。

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コメント

上野同期の大津留公彦です。

「読ませるブログ」読ませて頂きました。
ブログ歴の長い私にも大いに耳の痛いところもありました。
感想文をブログ記事にしましたのでお読み下さい。

ではまた。


投稿: 大津留公彦 | 2009年4月12日 (日) 23時53分

大津留公彦様
ブログの大先輩に拙著を読んでいただいて、大変恐縮です。拙著についての感想も読ませていただきました。好意的な感想を頂、とても嬉しく思っています。
ただ、僕はまったく「優等生」ではなく、むしろ学校に盾突く成績のよくない「劣等生」でした!
貴兄のブログ、時々拝見して、自分の意見の参考にさせていただいています。とてもよいブログだと思っています。

投稿: 樋口裕一 | 2009年4月13日 (月) 08時19分

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