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デッサウの『トリスタン』は、デッカーに感心!

 明日からラ・フォル・ジュルネでバッハ漬けになる。その前に、タワーレコードで見つけて買ってきた『トリスタンとイゾルデ』のDVDを見た。

 ゴロー・ベルクの指揮、ヨハネス・フェルゼンシュタインの演出(かの大演出家ヴァルター・フェルゼンシュタインの息子さんだという)によるデッサウ・アンハルト劇場の上演。

 デッサウ・アンハルト劇場といえば、ラッパライネンの歌ったサロメを見て、音楽的によりは、あまりに見事な姿態に圧倒された記憶があるが、東ドイツの場末のオペラ劇場でしかないはず。だから、大して期待せずに見始めたが、どうしてどうして。

 トリスタンを歌うリチャード・デッカーがいい。丁寧な歌いぶり。ちょっと迫力不足で、視覚的にちょっと太りすぎているが、声は美しく、表現力も豊か。そのうち、ぢ表的なワーグナー歌手になるだろう。

イゾルデを歌うイオルダンカ・デリロヴァは、オペラ歌手としては十分に「美人」で通用する。声で大きさも見事。最後まで大声で歌いきる。小柄に見えるが、たいしたバイタリティだ。ただ、大声で歌うことばかり考えている。小さな声の表現力がまだまだ。どうしても一本調子になってしまう。課題は多いが、次代のイゾルデとして大きな期待を持てる。

 マルケ王を歌ったマレク・ウォジェコウスキの音程が怪しい以外は、クルヴェナールのウルフ・パウルセンもブランゲーネのアレクサンダー・ペテルザマーもなかなかのもの。

指揮もところどころで一本調子になる。デリロヴァと同じように、がなりたてようとする傾向を感じる。が、最後にはきちんとまとめて、十分に感動させる。

演出はどうということのないオーソドックスなもの。あのフェルゼンシュタインの息子にしては、かなりおとなしい。第二幕に、ドルメンのような石の柱があり、そこでトリスタンとイゾルデが逢引きをし、セックスを思わせる動きをするのが、少し目を見張らせるくらい。石の柱は墓のようなものだろうから、エロスとタナトスの合体を連想させる。

もちろん、バイロイトやベルリンに比べれば、やや劣る上演だろう。だが、デッサウでこのようなレベルの上演が行われているなんて! レコード芸術をまねてこのDVDを評価すると、「準推薦」ということになるだろう。

明日の朝からのラ・フォル・ジュルネに備えて、今、銀座のホテルに泊まっている。今からわくわくしている。

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