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拙著『絶望の中で自分に言い聞かせた50の言葉』発売!

51af4ycyt6l 「しまった! こんな本、書かなければよかった」と思ったことが、これまで何度もある。そのうちの一度は、250万部のベストセラーになった『頭がいい人、悪い人の話し方』だった。

 本ができてすぐに妻に読ませたところ、めちゃくちゃに酷評されたのだった(米川先生に献本しなかったことは、数日前に書いたが、誰にも献本しなかったのはそのような理由だった)。頭の悪い人の話し方のいくつかのモデルが妻だったので、妻が怒るのも当然といえば当然だった(印税で家を建て替えられたので、今では妻は喜んでいるが・・・)。

 今度また、『絶望の中で自分に言い聞かせた50の言葉』を出して、「しまった、書かなければよかった」と少々後悔している。今回もまた、献本はやめようかと思っている。

 私は幸せいっぱいの人生を過ごしてきたわけではない。挫折の人生、苦悩の人生だった。とりわけ、20代後半から30代前半にかけて、かなり苦しい日々を送った。自分で言うのもナンだが、私はきっと「苦労人」の一人だと思う。とりわけ、2年間ほどは絶望の中で暮らしていた。

 

 私は、今の「非正規労働者」の苦しみを他人ごとには思えない。定職がない、金がない、明日の暮らしの目処がたたない、親以外には愛し、愛される人もいない、将来に希望が持てない、生きる意欲がわいてこない・・・。そんな中で、私も暮らしていた。自暴自棄になりそうだった。まさか、この私が秋葉原のような事件を起こしたりはしなかったと思うが、一つ間違えば、何かの事件を起こしかねなかった。

 私は何とか生きる気力を取り戻そうと努力した。自暴自棄になりそうになる自分を鞭打って、自分の心の中に希望を持たせようとした。これまでの生き方を反省し、新しい生き方をするように自分を鼓舞した。

 今回の本の中には、当時、私が自分に言い聞かせていたフレーズを50ほどまとめた。

 最初のフレーズだけをあげておくと、「ベートーヴェンの耳が正常だったなら、名曲のほとんどは生まれていない」。このようなフレーズを示し、それを具体的に説明している。もちろん、これよりももっとずっと気のきいた、ずっと鋭いフレーズもたくさんある。

 本書を企画したのは、それほど前のことではない。今年の2月ころだったと思う。草思社の編集顧問である木谷さんに以前から懸案になっていた新しい本の依頼を受けた。木谷さんは、実はつい先日、深刻な絶望を経験した人だ。ご存知の方も多いだろうが、先日、草思社は不渡りを出し、倒産するところを、別会社に買い取られる形で救われた。旧経営陣は責任を取って退職したが、その責任者がもとの草思社の社長だった木谷さんだ。

 話しているうち、まだ絶望から脱し切れていない木谷さんを励ましたくなった。私も同じような状況にいたことを思い出した。同時に、苦悩の中にいた私が自分に言い聞かせた言葉を、木谷さんに、そして、現在苦しんでいる多くの人々に伝えたくなった。そうすれば、絶望の中にいて苦しむ人の何人かにも役立てるのではないかと考えた。そして、この本を私自身が提案し、数日間で書き上げたのだった。

 この本を「書かなければよかった」と思い始めている理由、それは、生々しい自分を出しすぎた点だ。これまで私の書いた本はいずれも、私の「なま」の部分はほとんど出していない。面白半分に、からかい半分に、皮肉に書くことが多い。それを私の一つのスタイルにしてきた。それなのに、今回、ちょっとムキになったところがある。

 しかも、私らしくもなく、説教調になりすぎた。若者を鼓舞するのは、私のガラではないのに、ついわけ知り顔のことを書いた部分がある。ふだんの私だったら、「そんな人生訓を大袈裟に口にするなよ」とからかいたくなるようなことを、書いてしまった。苦しんでいる人にしっかりと伝えるにはそのようなことも大事だと思ったからだった。

 いろいろと恥ずかしいことが、この本の中には含まれている。

 といいつつ、出さなければよかったと後悔した「頭がいい人、悪い人の話し方」と同様に、本書もまたベストセラーになってほしいと期待しているのも確かなのだ。印税が入るのもうれしいが、それ以上に、多くの苦しむ人に読んでもらって、本書をきっかけにして多くの人が絶望から脱出してくれたら、こんなうれしいことはないと、私は本気で思っている。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

樋口さん、はじめまして。

 先週、「読ませるブログ」を拝読しました。僕も新たにもブログを開設しこれから“日々の内省”を公の場で行っていこうと思います。三つのポイントの①、②を、常に心掛けるつもりです。

 昨日、興味が出てこちらのブログの全ての記事も読ませていただいたのですが……驚きでした。これまで樋口さんのイメージが崩壊し、親近感を覚えました。

 といいますのは、これまでの僕のイメージですと「一流大学卒。ベストセラー書籍や多くの著作を手掛け、さらに塾も経営する仕事人間。常に冷静沈着で仕事に情は持ち込まない」でした。どちらかというと、情の薄い方である(すいません)とも。

 アマゾンの件や今回の記事を読み、文章から滲み出る樋口さん優しさに触れて、さらに感銘も受けました。

 継続は力なり。僕はまだ素人じみた文章しか書けませんが、毎日積み重ねることで、文章さらに思考も進化させたいと思います。

 ブログの更新、楽しみにしています!

投稿: 延藤 | 2009年5月24日 (日) 14時39分

こんにちは。
初めてコメントをします。

「読ませるブログ」を読みました。
図書館で軽い(重さが)本をと探していて目についたのがきっかけです。

きっかけのきっかけ?というのは、私が腰痛で動けなくなり、時間を持て余した結果始めたブログです。
軽い本を探していたという理由もお分かりですよね。

樋口さんのいう「読ませる文章にする」ことが今の私の課題です。
何となく分かってはいたけれど、本によって言葉にされていたのできちんと認識ができたということが大きいです。

「きっかけ」というのは先に繋がるものを感じます。
自分のブログ内容は長い目で見ることにして、楽しく更新していきたいと思っています。

新書が世の中の多くの人に読まれ「ベストセラー」となることを願っています。

投稿: のんこ | 2009年5月25日 (月) 14時50分

延藤様
拙著をお読みいただき、ありがとうございます。
情にあついかどうかはともかく、まったくもって仕事人間ではなく、徹底的な芸術人間です。
私の本は、芸術が大好きで実社会に適応できずにいる人間が社会を観察し、何とかそこに適応しようとした結果、生まれたものだと、自分では思っています。
私を多少なりとも知っている人と、そうでない人は、私の本をまったく違うように捉えているのかもしれません。
ブログ、拝見しました。おもしろいブログですね。「新型インフルエンザにかかりました」というタイトルの記事、とてもおもしろく読みました。このようなテクニックがあることに、改めて気づきました。

投稿: 樋口裕一 | 2009年5月26日 (火) 08時50分

のんこ様
拙著をお読みいただき、ありがとうございます。
腰痛ですか。
私も仕事柄、腰痛と肩凝りに悩まされています(もう一箇所、悩まされている部位があるのですが、どうやら、「のんこ」さんは女性のようですので、触れずにおきます)。
私の本がきっかけになってくれれば、こんなうれしいことはありません。
よろしくお願いします。

投稿: 樋口裕一 | 2009年5月26日 (火) 08時56分

初コメントをします。
僕は昨年に先生の授業を受け、「この先生は乱暴な口調なのに何故こんなに惹きつける講義をするのだろう・・・」と思い、それ以来、先生の本を何冊か立ち読みさせていただきました。
学生のため、お金がないもので僕に献本していただけると嬉しいなぁ・・・と思っております(笑)。
またコメントしますね!

投稿: T摩大学生徒 | 2009年5月26日 (火) 20時36分

T摩大学生徒様
「乱暴な口調」という自覚はまったくないんだけど・・・
そうか、ほかの先生たちはみんなもっと紳士的に授業をしているのか・・・
ただ、「正しいとされていることを、客観的に紳士的に教える」のではなく、自分の言葉で自分の考えていることを若者に伝えたい、じかに届くように伝えたいと思っているので、ぞんざいな言葉になるのだと思います。
そして、だから、時に激しく叱ったり、怒鳴ったりする。
お許しあれ。

投稿: 樋口裕一 | 2009年5月27日 (水) 10時01分

樋口さま、ポッドキャスターの早川です。
新刊の発売おめでとうございます!
早速購入させていただきますね。
さて、遅くなりましたが、先ほど『読ませるブログ』のインタビュー音声を私のポッドキャスト番組『人生を変える一冊Ⅰ』にアップしましたので樋口様はもちろん、多くの方に起き頂ければ幸いです。

☆樋口さまインタビュー音声(ポッドキャスト)はコチラ
http://good-news1.com/G946512.html


☆記事はコチラ
http://jikokei.net/article/120441936.html

投稿: 早川洋平 | 2009年5月29日 (金) 17時26分

早川洋平様
その節はありがとうございました。
いやはや、インタビューを聞くのに苦労しました。自分のITオンチを反省するばかりです。
自分の発言で聞いてみて、滑舌は多少悪いような気がしますが、まあ内容的には、思いのほか、ちゃんとしたことをいっているように思いました。
多くの方に聞いていただけると、うれしいですね。

投稿: 樋口裕一 | 2009年5月31日 (日) 08時34分

初めてコメントさせていただきます 現在33歳 独身1人暮らし

非正規社員を解雇になった状況で先生の本に出逢いました
自分も人生のテクニック的な事を軽蔑視してる所がありましたが…内心ではテクニックを許容したいと思ってもいました

先生のこの本のお陰でテクニックもOKと思え これから有利に人生を進めることを許せました


ありがとうございました

これから赤ペンで線を引きながら2度目の熟読に入ります

投稿: 509号室 | 2009年6月19日 (金) 01時34分

509号室様
拙著をお読みいただき、ありがとうございます。
少しでも役に立つところがあれば、著者としてとてもうれしく思います。
絶対にくじけないでください。やりがいのあることを見つけ出してください。
努力しただけの報酬は、長い目で見れば、必ずあります!

投稿: 樋口裕一 | 2009年6月20日 (土) 09時17分

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