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贅沢な2日間に『愛の妙薬』を見た

 一昨日の夜からこの上ない贅沢を続けている。幸せな気持ちでいる。

★一昨日の夜は、多摩大学のメンバー(諸橋正幸学部長、久恒啓一学長室長、菅野光公教授、そして私)に、諸橋夫人、久恒夫人、そして私の娘が加わって多摩大学近くのフランス料理店エル・ダンジュで会食。実においしかったし、楽しかった。

 実は先日、ミシュランの三ツ星レストランであるカンテサンスで食事をする機会があった。とてもおいしかった。感動するほどおいしかった。しかし、エル・ダンジュで改めて食べたが、それに決して引けをとらないほどおいしい。

 先日紹介した京都の美濃吉とともに、私の大の贔屓の店で、時々家族や友人と食事をしている。一昨日はパテが最高。魚料理もうまかった。ただ、残念ながら、みんなで談笑していたので、料理の説明を忘れてしまった! 

 諸橋氏の博学ぶり、久恒氏の愉快な話ぶり、菅野氏のひねくれているようで実に健全な意見、そして、奥様方の知性としっかりぶりが印象に残った。たった一人の若者である娘も、大人の雰囲気を味わいつつ、楽しんでいるようだったので、安心した。

★一晩寝て、昨日はミシュランの三ツ星のすし店であり、それどころか日本で最高のすし店とされる「すきやばし次郎」で昼食。料理評論家の山本益博氏の紹介で、エンジン01のメンバーであるジャーナリストの秋尾沙戸子さんや幼児教育家の小山泰生さんとともに。「本日のおまかせ」を食べた。かなりの高額だったが、それ以上の価値があった。

 最初はしゃりの酸っぱさに驚いた。酸っぱいものが苦手な人間としては、ついていけないかと思った。だが、すぐに気にならなくなった。こんなアワビもこんなアジもこんなカツオもこんなウニも、そして、あきれたことに、こんなかんぴょうも、これまで食べたことがなかった! 一体、どういう魔術がかかってこんな味になるのか! とりわけ、カツオには驚いた。口に入れたときに、「うまい!」と思い、一噛みすると別の味が広がってくる。そして、後数度味わううちに別の味が出てくる。まさしく味のハーモニー。満足した。

★1時間ほどで食べ終え、上野に向かって、文化会館で藤原歌劇団の『愛の妙薬』を見た。園田隆一郎指揮、マルコ・ガンディーニ演出。アディーナは川越塔子、ネモリーノは中鉢聡。

 バスク地方の小さな村が舞台のはずなのに、幕が上がると目の前に広がるのは、大勢の人が行きかう現代のデパート(ショッピングモールと言うのが正しいらしい)のブランド化粧品売り場! 主要な登場人物はデパートの売り子や客という設定。いろいろな人物がモールを訪れる。その様子が実にいきいきとしていて楽しい。制服姿の女子高生も現れる。色使いもすばらしい。最高におしゃれで、最高にセンスのいい舞台! 原作とはまったく異なるが、ここまでやられると、抵抗を感じるまでもなく、ただただ感心! しかもまったく違和感はない。群集劇を作り上げた演出の手腕に脱帽するしかない。

 歌手陣で川越と中鉢がみごと。容姿も演技も声も歌の表現力も申し分ない。中鉢はところどころで力みすぎを感じた(最大の聴かせどころ「人知れぬ涙」もちょっと力んでいるように感じた)が、それを除けば声も美しく、演技も容姿もいい。実に適役だと思った。川越は自然な発声、よく通る美声に聞きほれた。この人のことは、実はまったく知らなかったが、とてもいい歌手だと思う。今後、ちょっと追いかけたい。

 ベルコーレの森口賢二もドゥルカマーラの党主税もジェンネッタの宮元彩音も十分に役をこなしていた。レベルの高さに改めて驚いた。指揮の園田隆一郎という人についても、私はまったく知らなかったが、リズム感がよく、流麗だった。

 ただ、イタリアオペラをあまり聴かない私としては、やはりオーケストレーションの単純さ、ストーリーの他愛なさが物足りない。それに、私の後ろの席に座っていた高齢の女性の三人組が、演奏中にも、「わあ、きれい」「すごいわねえ」などと感想を言い合う。かさかさいう音もしばしばたてる。私の後ろだけでなく、あちこちでそんな雰囲気。しかも、音楽が終わる前から拍手が起こる。イタリアオペラというのは、このようなことを許容して楽しむのかもしれないが、ドイツオペラばかり見てきた私にはどうにも馴染めない。

 ともあれ、とても楽しい時間をすごすことができた。

 

★オペラが終わってからは、一休みして、静かな場所で仕事をした。そして、昨日、最後の場所に。これが、贅沢な一日の最後を締める最大の贅沢だった。

 何と作曲家の三枝成彰さんとご一緒したのだ! とても料理のおいしい感じの良い店だったが、三枝さんの行きつけの店らしいので、店の名前は明かさないことにする。

 何が贅沢といって、三枝さんとご一緒できるほどの贅沢はない。何しろ、三枝さんは日本の音楽史に間違いなく残る大作曲家だ。いや、日本どころではない。世界のオペラ史に残ると私は確信している。オペラ『忠臣蔵』やモノオペラ『悲嘆』は不朽の傑作だ。そんな三枝さんとまるで対等のように話をさせてもらうのは、それだけで幸せな気持ちになる。

 仕事の話でお会いしたのだったが、満ち足りて家に帰った。

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コメント

うらやましい限りです。
今度自分も連れて行ってほしいです!
もちろん先生の奢りで!(笑)

投稿: T摩大学生徒 | 2009年6月14日 (日) 17時22分

T摩大学生徒様
おいしいものは、自分でお金をかせぐようになってから、自腹で食べるのが原則ということを、忘れずにいてくださいね。

投稿: 樋口裕一 | 2009年6月15日 (月) 00時09分

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