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プレトニョフ指揮の『スペードの女王』に違和感!

 20日、教授会のあと、車でNHKホールに出かけて、ボリショイ・オペラの『スペードの女王』を見た(NHKホール付近は、「NHKの偏向」に反対する保守系の人たちのデモのために警戒が厳重だった)。かなりよかった。実は、しばらく前に見たラザレフ指揮のボリショイ・オペラの『オルレアンの少女』の歌手たちがよくなかったので多少心配していたが、杞憂だった。ボリショイ・オペラはレベルが高い!

 演出もおもしろかった。二階建ての舞台をうまく使っている。それが館にもなり、橋にもなる。光の使い方もセンスがいい。取り立てて独創的な解釈があるわけではないが、しっかりとチャイコフスキーの音楽に合っている。

 歌手陣もそろっている。エレツキー公爵を歌うアンドレイ・グリゴリエフが少し不安定だったが、ほかはレベルが高い。リーザ役のタチアーナ・エラストーワは、ヴィブラートの少ないきれいに伸びる声だった。私は大いに好感を持った。ゲルマンもしっかりと声を出している。伯爵夫人も文句を言うべきところはない(ただ、私の見た2日目は、ガルージン、オブラスツォワが出演しなかった!残念!。 このスターたちなら、もっとすごかったのかも)。

 オーケストラも美しい音だった。ロシア的な分厚い音ではなく、かなり繊細。 とはいえ、残念ながら、私は深い感動を覚えなかった。最後まで違和感が付きまとった。

 その原因は、プレトニョフの指揮にありそうだ。

 プレトニョフのチャイコフスキーと私の思っているチャイコフスキーは異なっているような気がしてならなかった。私とは違う虫眼鏡でチャイコフスキーを見ているような感じがずっとしていた。プレトニョフは、泣かせるべきところで泣かせてくれない。ところどころ鋭利な音になることもある。妙なところに力が入っている。チャイコフスキー特有の甘美でメランコリックな感傷に浸ることができなかった。ゲルマンの狂気の爆発も起こらなかった。醒めるべきでないところで醒め手いるように私には思えた。新鮮といえば新鮮なのだが、意外感のほうが大きかった。

 先ごろ発売されたベートーヴェンの交響曲全集も、かなり違和感を覚えたが、それと似た感覚だった。

 とはいえ、私は実は『スペードの女王』はそれほど好きなオペラではない。『エフゲニー・オネーギン』だけは大好きだが、ほかのチャイコフスキーのオペラはむしろ苦手だ。だから、あまり深くこのオペラを聴くことができない。もしかしたら、プレトニョフに何らかの考えがあるのかもしれない。もう少しこの指揮者を聴いてみないことにはなんともいえない。

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コメント

僕の場合そういった違和感はとことん追求したくなりますね!
分かった時の喜びを感じたいんで。
でも未熟なもんで、なかなかゴールは見えてきませんね・・・
指揮者の持つ独特な雰囲気がそう思わせる場合もあるんですかね?

投稿: T摩大学生徒 | 2009年6月21日 (日) 23時39分

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