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好きな作曲家の苦手な曲

 先日、好きな作曲家の大嫌いな曲について書くと予告した。ちょっと考えてみた。さすがに、好きな作曲家の大嫌いな曲はあまりない。「苦手な曲」というくらいにしておこう。

 実は、私は鍵盤楽器が苦手だ。理由は簡単。スラーのできない楽器を私は楽器とは認めたくない。だから、人の声、弦楽器、管楽器が好きだ。もちろん、ほかの楽器が入っていればピアノが加わっていてもかまわない。協奏曲やヴァイオリン・ソナタ、ピアノ・トリオなどは好んで聴く。が、ピアノのソロは辛い。「機械」と感じてしまう。押し付けがましく感じ、息がつけなくなる。だから、バッハもモーツァルトもベートーヴェンも鍵盤楽器はほとんど聴かない。ピアノ曲をもっぱら作ったショパンが苦手なのは、そのためもある。

 10年ほど前、CDを今の半分以下しかもっていないころ、ふと思いついて、私の持っているピアノソロの曲を探してみた。モーツァルトもベートーヴェンもなかった。あったのはワーグナーのピアノ・ソナタとサティの曲集だけだった! さすがに、今はバッハもモーツァルトもベートーヴェンもショパンも持っているが・・・。ただ、CDをかける頻度としては、本当に少ない。

 だから、すべての作曲家のピアノ曲は苦手ということになる。

 バッハ、モーツァルト、ブラームス、ワーグナーは、少なくともふつうに演奏されるものであれば、ピアノ曲以外に苦手なものはない。どれも楽しめる。地味なものには地味なもののよさがある。

 ベートーヴェンは「田園」が苦手だ。どこが良いのかよくわからない。「雷雨・嵐」のところだけちょっとおもしろいが、それだけ。かつて、チェリビダッケの指揮を聴いておもしろいと思ったことがあるが、それ以外は、実演もCDも、途中で退屈する。交響曲で大好きなのは、4・5・9番だ。次のランクが2・3・7・8番。弦楽四重奏曲第15番も実は苦手。見栄を張って、『好きだ』といいたいところだが、この曲だけは途方にくれる。

 リヒャルト・シュトラウスは、『ツァラトゥストラ』と『家庭交響曲』が最後までもたない。とりわけ『ツァラトゥストラ』は最初の有名なところは最高だと思うが、そのあと、最後までただひたすら退屈。冒頭の2分くらいでやめてほしかった!

 ラヴェルは『ダフニスとクロエ』が退屈。終わるのを待っている!組曲はまだしもバレエ音楽のほうは、気が遠くなりそう。ヴァイオリンとチェロのためのソナタも、わけがわからない。これはきっと私の修業が足りないのだろう。

 ブルックナーは、交響曲の5番と6番が苦手。4・7・8・9番は大好きなのに、この2曲は、聴いているうちに自分がどこにいるのかわからなくなって、体がだるくなってくる。

 ヴェルディは、『オテロ』を見ているとイライラする。オテロの愚かさに腹が立つ。「イヤーゴのいうことをやすやす信じるな。少しは自分で確かめてみろよ」と思い始めたら、もう音楽どころではなくなる。『トロヴァトーレ』もストーリのメチャクチャさが許せない。

 チャイコフスキーはピアノ協奏曲第一番が苦手。出だしですでにウンザリする。よく臆面もなくこんな曲を作れるなあとあきれる。

 

51b5see2bvul  近況を少しだけ。このごろ、ずっと原稿を書いている。先日宣伝した『本当に使える! 日本語練習ノート』が、発売5日目にして、重版がかかった。幸先がいい。このまま売れてくれると嬉しいのだが・・・

 昨日は、音楽ジャーナリストの渡辺謙太郎さんと夕食をともにし、新宿のとても感じのよいバーで飲んだ。実に楽しい一日だった。

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コメント

お礼が遅くなりましたが、リクエストに応えて「大好きな作曲家の苦手な(大嫌いな、ではなりませんでしたが)曲」について書いてくださって、ありがとうございました。樋口先生は前にもピアノ曲が苦手と書いていらっしゃいましたが、なるほど、こういう理由があったのですね。たしかにピアノは、弾きかたやペダルである程度スラーらしきものは表現できますが、声や弦楽器、管楽器のようなスラーというわけにはいかないし、ひとつの音を小さく始めて真ん中をふくらませだんだん小さくする、みたいなこともできませんね。

私の今は亡き父は、ベートーヴェンの弦楽四重奏の第15番が好きとか言っていたような。見栄を張っていたのかな、とおかしくなりました。

投稿: にいく | 2009年9月10日 (木) 22時45分

にいく様
「スラーがないからピアノが好きではない」というのは、実は、後付けの理由です。が、ピアノに違和感を抱いている自分を振り返ってみるに、やはりスラーがないことが原因であるような気がするのです。
それに、おっしゃるとおり、弦楽器や歌などで、私が心を揺さぶられるのは、スラーによって音が膨らんだりしぼんだりするところです。それこそが音楽だと思っているのです。
いえいえ、きっとお父様は本当に15番がお好きだったのだと思いますよ。お父様はきっと15番を聴かれていたのだと思います。口で「好き」と言うのは簡単ですが、あの曲を好きなふりをして聞くのは無理だと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2009年9月11日 (金) 18時18分

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