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ノット指揮、バンベルク交響楽団のブラームスに酔う!

 私の考えているブラームスの音というのは、これだった! 1017日、すみだトリフォニーホールで、ジョナサン・ノット指揮、バンベルク交響楽団のブラームスの交響曲の1番と4番を聴いて、そう思った。素晴らしい演奏だった!

 先日聴いたアラン・ギルバート指揮のニューヨーク・フィルも、CDで聴いたラトル指揮のベルリン・フィルもそれはそれは見事だった。だが、ともに私の頭の中にあるブラームスの音ではない。新鮮な響きに驚嘆するが、「これがブラームスだ」という気にはなれない。だが、バンベルク交響楽団の音、これは、まさしくブラームスらしい音だと思った。

 厚みのある味わい深い弦。実にオーソドックス。管楽器はちょっとミスもあったが、秘めた迫力を十分に感じられるいい音だ。木管が特に良かった。ただし、昔のCDや、かつてのヨッフム指揮の来日公演(NHKホールで胸をときめかしたものだ!)で聴いたバンベルク交響楽団の印象とはかなり異なる。かつてはもっと渋く、まさしく「ひなびた」感じだった。率直に言って、もう少し「ヘタ」だったような気がする。だが、今回は、もっとずっと洗練されている。とはいえ、ドイツらしい重厚と深みは今も十分に残っていて、インターナショナルなオケにはなっていない。

 とりわけ、ジョナサン・ノットがすばらしい。きびきびと音楽を推進していくタイプだと思う。メリハリを効かせながら知的に構築して、鳴らすべきところは鳴らす。ロマンティックに引きずるタイプではないが、情感は十分に伝わってくる。

 第4番の第2楽章、ヘタをすると崩壊するところを、実にうまくコントロールしていた。第3楽章後半から第4楽章は圧巻。ただ、私としては、第1楽章はもっと濃厚にやってほしかった。前半の第一番は終楽章に圧倒された。ハンガリー舞曲の2曲のアンコールも実によかった。

 ノットという指揮者、マーラーやシューベルトなどの私が好まない作曲家の曲を中心にレコーディングしてきたようで、名前は知っていたが、演奏を聴いたことはなかった。これから注目していこう。

 明日から、ブラームス・チクルスの残りをサントリー・ホールで聴くが、とても楽しみ。ただ、残念なのは、ピアノコンチェルトの第2番が今回のプログラムに含まれていないこと。なぜ、1番をやって、2番をやらないのか! 2番こそ、モーツァルトとベートーヴェンのすべてのピアノ協奏曲を超える名曲だと思うのだが・・・

 ところで、先週の木曜日(1015日)には、HAKUJUホールで開かれたハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの三つのピアノトリオのコンサートにでかけた。会場でヘンデル協会の会長である元桐朋音楽大学教授の藤江効子先生(バイロイト音楽祭を通じて知り合った)とお見掛けした。自由席だったので、お隣に座って聞いた。

ピアノは、小川京子さん。モーツァルト研究家の海老沢敏氏の奥様であられることを、藤江先生に教えていただいた。海老沢さんのプレトークつき。

ハイドン(ト長調、Hob.XV-15)、モーツァルト(変ホ長調 「ケーゲルシュタット」 K498)ともに初めて聴く曲だが、なかなかおもしろかった。ハイドンは、ピアノのほかにフルートとチェロ。モーツァルトはヴィオラとクラリネットという組み合わせ。不思議な組み合わせだ。

ベートーヴェンの「大公」は平板でありすぎると思った。アクセントの強いドイツ語を日本人が平板に発音しているのと同じような印象を受ける。もっとガンガンと響かせてほしい。きっとこのようなベートーヴェンを目指しておられるのだろうが、私はもっと若々しいベートーヴェンの方が好きだ。

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コメント

バンベルク、すばらしかったですね。同感です。僕は武蔵野市民会館でピアノコンチェルト1番と交響曲1番を聞きました。音色からうたわせかたまで、これこそブラームスと思いました。ひとつひとつの小節を心を込めて弾きこんでいく。そんな感じがしました。それに比べて、ニューヨークフィルのつまらなかったこと!ベートーヴェンの7番をサントリーで聞いたのですが、あっけらかんと走るだけでまるでスポーツカーです。うねり、激しい息遣いのようなものはまったく感じられませんでした。
ブログで両方の演奏会について触れいらっしゃったのを見てコメントしました。

投稿: ことり | 2009年10月31日 (土) 13時29分

ことり様
コメント、ありがとうございます。
バンベルク交響楽団、本当に素晴らしいオケですよね。
NYPが「まるでスポーツカー」というのは、まったく同感です! 年齢のせいで人間が丸くなったために、最近はこういう演奏も楽しめるようになったのですが、バンベルクを聴くと、やはりこちらのほうがずっとブラームスだと思います。
また、感想をお寄せいただくと嬉しく思います。

投稿: 樋口裕一 | 2009年11月 1日 (日) 08時50分

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