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アラン・ギルバートのNYフィル『幻想』にヒャーッ!!

 昨日(109日)、アラン・ギルバートがニューヨーク・フィルの音楽監督に就任した記念コンサートに行った(サントリーホール)。度肝を抜かれて帰ってきた!

 前半はツィンマーマンのヴァイオリンを加えてのブラームスのコンチェルト。見事な演奏だった。繊細で美しいヴァイオリンの音。力感のあるところはもちろんある。ダイナミズムにも不足はない。そして実に的確なギルバートの指揮。目立ったことをするわけではない。たぶん、楽譜をかなり忠実に追っているのだと思う。だが、しっかりとブラームスの世界が目の前に広がってくる。

 以前、どこかの会場でどこかのオケを指揮するアラン・ギルバートを聴いて、いたく感心した記憶がある。どこで何の曲だったのか思い出せない(歳のせいではない。残念ながら若いころからこんなもんだった!)が、まさかNYフィルの音楽監督になるとは!

 ただ、ブラームスのヴァイオリン・コンチェルトを聴いていつも思うのは、ナマだとCDほどの感動を覚えないということだ。ナマの場合、どうしてもヴァイオリンの音量が弱く、オケに負けてしまう。ヴァイオリンの音を大きくとっている録音のほうが自然に感じられてしまうのだ。これは、中学生のころからレコードでこの曲を楽しんでいた私の習性にすぎないのかもしれないが・・・。ツィンマーマンの素晴らしい演奏を聴きながら、もう少し大きな音に増幅してほしい・・・というあらぬことを考えていた。

 後半、『幻想交響曲』。言葉をなくすしかない演奏だった。

 前半から飛ばしていると思ったが、後半に入って、実は前半は抑え気味だったのだと気づいた。個々の奏者の力量もさることながら、アンサンブルの見事さ! 弦楽器は8割以上が女性、しかも東洋系の女性が半数を占めているように見えたが、力感に溢れている。そして、切れのよさ、音程のよさ! そのオケがベルリオーズの掟破りのオーケストレーションを完璧に繰り広げるのだから、口をあんぐりとあけながら聴くしかない。

 しかも、ギルバートは特別なことは何もしていないように思えるのだ。ただ、楽譜を深く読み、オケをしっかりと把握しているので、ベルリオーズの世界が強い力で喚起される『幻想』の第三楽章は、どうしても退屈しがちなのだが、このような演奏をされると退屈している暇もなくなる。第四楽章、第五楽章はひたすら音の力に飲み込まれながら、唖然として聴いていた。

 好きな演奏かといわれると、そうではない。私はもっとやるせなく、鬱積し、最後に狂気の中で爆発するような『幻想』のほうが好きだ。だが、目の前でこんな演奏をされると、「参りました!」と言うしかない。

 アンコールの『ローエングリン』第三幕への前奏も、『ハンガリー舞曲第六番』も『幻想』の後半と同じようなオケの機能を最大限に生かした演奏。放心状態で帰途についた。

 

 ところで、昨日の昼間、ゼミの時間、武蔵野文化事業団のカリスマ・プロデューサーである栗原一浩さんを招いて、音楽プロデュース、コンサートホール運営について話してもらった。栗原さんは、武蔵野市民文化会館でクラシックの数多くの演奏会を開き、ほとんど満席にして、次々と名演奏を実現している人だ。

 教えられることがたくさんあった。学生の反応を見ないまま、サントリーホールに向かったが、きっと学生たちも強い感銘を受けてくれたことと思う。

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