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ブロムシュテット指揮チェコ・フィルのブルックナー8番に涙を流した!

 今日(1123日)、サントリーホールで、ブロムシュテット指揮チェコ・フィルのブルックナーの交響曲第8番を聴いてきた。すばらしい演奏だった。先日聴いた、シャイー指揮のゲヴァントハウス管弦楽団の4番に匹敵する。いや、それ以上か。

 チェコ・フィルの音がすばらしい。ただし、たぶん、性能的には、最近聞いたゲヴァントハウスにも、バイエルンにも劣るのかもしれない。第一楽章のトレモロの音など、あまり美しいとは思わなかった。だが、シャイーの指揮するゲヴァントハウスよりもこちらのほうがドイツらしいといえそう。低弦の音、そして金管楽器が渋くていい。

 私は、大のヴァント・ファンなので、どうしても、ヴァントの録音と比べてしまう。最初のうちは、ヴァントに比べてオーケストラのコントロールが甘いのを少々不満に思っていた。シャイーと比べてもかなり甘い。ややアバウトな感じが付きまとう。とりわけ、弱音の部分で、決然としない。オケの団員に任せているのか。意図的に何かをしているようには見えない。見た目にも見えないし、音からもそれはあまり伝わらない。音楽の構成もよくわからない。多少、行き当たりばったりな気がしないでもない。が、自然なしっかりした音が出てくる。それこそ、間違いなくブルックナーの音だ。

 そして、そうこうするうち、だんだんと盛り上がってきた。第三楽章以降は、興奮してきた。音楽が自然なのがいい。ヴァントのようにコントロールしないのも、それはそれでいいものだと思った。いや、もっといえば、これを聴きながら、もしかすると、こちらのほうがヴァントのように完璧にコントロールするよりもブルックナーらしいのかもしれないと、ちらと思った。第四楽章は、ほとんど最初から最後まで、私は音に身を任すだけだった。最後のコラールは、文字通り、身体がしびれた! 曲のすばらしさもあって、シャイー+ゲヴァントハウスより、もっと感激した。

 ブロムシュテットは何度か聴いたことがあるが、こんなに感動したのは初めてだった。こんなに凄い指揮者だったとは! 不明を恥じる気持ちになった。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

突然の投稿,失礼いたします。
 昨夜のブロムシュテット/チェコ・フィルの「ブル8」は,少なくとも生演奏で聞いた限り,過去の誰もがなしえなかった圧倒的名演だと思います。(曲の良さが何の誇張もなく自然に表現されていた,という点では,チェリビダッケ/ミュンヘンPOの来日公演以上だったと思います。)
 ブロムシュテットは,確かにチェコ・フィルとの顔合わせ機会は少ないようで,20日の「田園」・「ブラ1」は,彼の癖である,「先振り」の指揮もあって,特に弦のアンサンブルのズレが随所に聞かれ,厳格なトレーニングで知られるブロムシュテットとしても不本意な出来だったのではないかと思われました。(全体にブレスが短く,前のめり気味だったのはそのせいでしょう。)
 しかし,昨晩の「ブル8」は,全く別のオケを聴くようであり,本当に稀にしか聴けない,歴史的大名演になっていたと思います。私は2階LBブロックで聴いていましたが,ブロムシュテットの,大胆かつ細心の指揮振りが良く見え(強弱,テンポ,表情,アーティキュレーション等,実に見事な振り分けで-しかも,全て暗譜ですから!-,特に第3楽章は圧倒的でした。),私の席からは,アンサンブルも非常に明瞭に整理されており,驚異的な精度に引き上げられていたと聞こえました。そもそもこれまでチェコ・フィルは,アンサンブルにはアバウトな指揮者が振ることが多く,今回の「ブル8」のように精度高く,しかも自発性にも富んだ演奏を聞かせたことはあったでしょうか?チェコ・フィルの有機的合奏体としての能力をここまで引き出せたのも,ひとえにブロムシュテットの,偉大な音楽家としての能力とカペルマイスター的な資質とのなせる業でしょう。
 そして当夜の演奏で更に特筆したいのは,時としてヴァントの演奏に感じる,「重すぎる宗教性」や「息苦しさ」がなく,練習は厳しいけれど,本番では演奏者の自然な感情の発露を大切にし,「ムジツィーレン」の喜びを開放する,ブロムシュテットならではの,正に円熟の極みにある演奏だったのではないでしょうか。
 なお,ブロムシュテットの名誉のために申し添えますが,ゲヴァントハウスOのあの音は,80%はブロムシュテットがカペルマイスターの時代につくり上げられたものです。(シャイーは,それに,現代的・ラテン的な色彩をプラスした,と私は評価しています。)コンビとしての来日は3回でしたが,回を重ねるに従ってゲヴァントハウスOの音から鈍重さが消え,ピラミッド・バランスで渋めのドイツ的な良さを遺しつつ,極めて透明度の高い音と,切れのいいアンサンブルに変貌していったのが印象的でした。第2回目の来日時の,シベリウス/第7交響曲と「ブル5」の組合せも見事でしたし(シベリウスとブルックナーのそれぞれの様式で,正反対の性格のこの2曲の最高の演奏を聞かせられる指揮者は何人いるでしょう!?),最後の来日の「ブル7」は,正に壮麗としか言いようのない,これも演奏史に残る名演でした。でも,先入観の強い評論家からは大した評価が得られず(聴衆の評価は高いものでした),とても悔しい思いをしたものです。

 今回の「ブル8」の超名演で,ブロムシュテットの真価が保守的なクラシック業界でもきちんと認められることを望みます。(でも,今回の演奏はTV収録されていなかったんですよね。何ともったいないことでしょう!)

 長文投稿,失礼いたしました。

投稿: 一人のブロムシュテット・ファン | 2009年11月24日 (火) 10時44分

一人のブロムシュテット・ファン様
コメント、ありがとうございます。昨日の興奮がよみがえってくるようなコメントですね。
いやはや、恐れ入りました。ファンの方のコメントを聞かせてもらって、ありがたい限りです。なるほど、そういうことだったのですね。いろいろと状況がわかりました。
前半、私は「ややアバウト」と感じたのですが、それは自主性を引き出そうとしていたということなのでしょうか。
しかし、自然体で、無理をせず、誇張しすぎることもなく、それでいてダイナミックで若々しくて、しかも法悦を感じさせる演奏ができるというのは、ものすごいことだと思います。
ブルックナーの8番については、私も間違いなく、これまでなまで聴いた最高の演奏だと思います。
繰り返しますが、本当にこれまで超一流指揮者と知らずにいた自分の不明を恥じるばかりです。
明日のドヴォルザークも楽しみです。

投稿: 樋口裕一 | 2009年11月24日 (火) 20時34分

樋口さん、はじめまして。こんばんは。

23日の感動が頭から離れません。
過去の誰もがなしえなかった圧倒的名演・・・・・・ファンの方のコメントの通りです。

巨匠ブロムシュテットは、日本の評論家からは完全に無視されています。CDで聴くと「中庸の美」の印象が強いからでしょうか。ライブの彼はずっと前から見事なものでした。(身近なところでN響とのブラームスの第一、シベリウスの第二!)

初日の「田園」とブラームスの「第一」も圧倒的名演でした。指揮者の力量、オケの厚み、格の違いを見せ付けてくれました。

マスコミがもてはやすヤルヴィやドゥダメルなど、巨匠の至芸に比べれば若造、坊やの域です。

メータ、ヤンソンス、シャイー・・・・・・今年の来日公演が、ブロムシュテットの8番ですべて吹っ飛びました。


ちなみに、私も早稲田一文OBです。

投稿: おおくま | 2009年11月26日 (木) 23時27分

おおくま様
コメント、ありがとうございます。
かつてゲヴァントハウスとのブル7の来日公演を聴いて、その少し前に聴いたスクロヴァチェフスキなどとはレベルの違うよい指揮者だと思ったのを思い出しました。が、先入観のせいか、席のせいか、それ以上に感動した記憶はありませんでした。
が、今回は本当に圧倒的だと思いました。私にとっては、ヴァント+NDRの9番、チェリビダッケの一連の演奏(今、CDなどを聞き返すとあまりに異様ですが、ライブでは本当に圧倒されました)に次ぐブルックナー体験だったと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2009年11月27日 (金) 07時56分

突然失礼致します。
私も23日、サントリーホールで、感動した一人です。
感想は自分のブログに、2回にわたって書いてあります。
皆様の感想に比べると、非常に稚拙でおおざっぱな感想ですが、同じ会場で同じ曲を聴いて感動したものとして、ちょっとコメントしてみました。

投稿: ムーミンパパ | 2009年11月27日 (金) 13時05分

ムーミンパパ様
コメント、ありがとうございます。
私も、音楽が専門ではありませんので、大雑把な感想しかいえません。しばしばもどかしく思います。が、何よりも感動が大事ですよね。そう思ってブログを書いています。
ブログを拝見しました。邦楽をなさっている方なんですね。私よりもずっと専門家なんですね。私は残念ながら、邦楽にはまだ関心を持てずにいます。
私も母も昭和2年生まれです。まだ元気ですが、ブロムシュテットが同じ年齢というのは、確かに驚きです。何と若々しい音楽でしょう。そうですか、N響を振るんですか。知りませんでした。
また感動を味わいたいですね。

投稿: 樋口裕一 | 2009年11月28日 (土) 06時59分

私も山形は酒田から夫婦で出かけてサントリーでのコンサートを聴いておりました。あの空間を、あの至福の時間を共有されたと思うと樋口様に勝手に親近感を持ちました。
私のブログ記事に無断でリンクさせて頂きました。事後報告で済みません。

投稿: balaine | 2009年11月30日 (月) 11時27分

balaine様
コメント、そしてトラックバック、ありがとうございました。
あのブルックナーを聞いた人間は特別の時間に恵まれた人間だったのだとつくづく思います。
ブログを拝見しました。東条さんの評とそれに対するコメント、初めて知り、面白く読ませていただきました。確かに、私も東条さんの感想にはまったく納得できません! なぜ、あの東条さんがこのような感想を抱くのでしょうね。
それにしても、地方オケの状況について、実はまったく知らなかったのですが、しっかりとすばらしい演奏をしていることが伝わってきました。それからbalaineさんの盛んな活動にも驚きました。
もう少しブログを読みたいと思うのですが、今、大分市のホテルにいて、明日は朝から仕事です。そろそろ明日の仕事の準備をして、寝ることにします。
おやすみなさい。

投稿: | 2009年12月 1日 (火) 00時20分

こんばんわ。

ブロムシュテット氏も、再来月来日ですね。

私は氏の演奏はCDでしか聴いたことがないですが、ブルックナーをよく指揮しており一度聴きたいと思っています。

というのも、氏はスウェーデン生まれですが、私はスウェーデンの建築家でグンナール・アスプルンドという、世界遺産にもなっています「森の火葬場」「森の墓地」を設計した人に最近関心が出て来ました。

最終的に人間は森に還っていく運命であるといったような内容の設計で、透明な水や自然と共生する国の一面を表したようなものらしく・・・・
画像を見て、感銘を受けました。

ブロム氏のブルックナーも、もしかしたらそのようなものかなと思い、聴こうかなと。。。

駄文失礼しました。

投稿: 凛 | 2012年9月19日 (水) 18時30分

凛 様
コメント、ありがとうございます。
私もブロムシュテットの再来日、とても楽しみにしています。氏がスウェーデン生まれということはあまり意識したことはありませんでした。恥ずかしながら、アスブルンドという名前も知りませんでした。
北欧を訪れたことがないため、どうもピンときません。
が、言われてみれば、ブロムシュテットのまさに凛として生き生きし、しかも深い世界は確かにスウェーデンの世界なのかもしれません。

投稿: 樋口裕一 | 2012年9月20日 (木) 07時56分

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