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ブロムシュテットはドヴォルザークも凄かった!

 昼間、多摩美術大学で、学生対象の「話し方講座」の講演をした。とてもよい学生さんたちだった。芸術オタクで文学青年で思想かぶれだった40年前の自分を思い出した。「芸術家ぶれのままだと、私みたいに苦労するから、少しはコミュニケーション力をつけなさい」という趣旨の話をし、人見知りの激しい人間でもすぐに身につけられる話し方のコツを説明してきた。不遇の中で私が少しずつ獲得したコツだ。たぶん、学生さんに役に立ったと思う。

 講演の後、上野に直行して、東京文化会館でブロムシュテット指揮、チェコ・フィルのドヴォルザークの8番と9番を聴いた。

 一昨日のブルックナーに劣らないすばらしい演奏だった。もしかしたら、一昨日とともに今年最高の演奏だったかも。

 私はブルックナーは、交響曲作曲家の中では、ベートーヴェン、ブラームスとともに大好きなので、めぼしい演奏家が来日するごとに聴きにいく。が、ドヴォルザークはもちろん好きな作曲家の一人だが、それほど思い入れがないので、実を言うと、それほど何度も実演を聴いているわけではない。私の乏しい経験からいうと、今日の8番と9番は、これまで聴いた最高の演奏だった!!

 年齢とともに涙もろくなって、音楽を聞くと涙が出てくることがあるが、8番でも9番でも涙が出てきた。

 8番は最初から最後まで、引き込まれっぱなしだった。私は実はこの曲はあまり好きではなかった。第二楽章と第三楽章のまとまりが悪く、私はしばしば自分がどこにいるのか見失う。ところが、ブロムシュテットの演奏は、まったくそんなことはなかった。力感に溢れ、知的に構築され、しかも自然に流れる。だから、まとまりが悪いなど、まったく感じなかった。第四楽章はとりわけ圧巻。そうか、ブロムシュテットは実はかなり知的に構築する人なんだと、改めて思った。音楽が自然に流れるので、あまりそのような印象を受けないが、実は見えないところで知的にコントロールしているのだろう。

「新世界」は、第一楽章は少し物足りなかった。8番がすばらしかったので、9番はもっと凄いだろうと期待していたのだが、抑え気味の感じがした。が、第二楽章ごろから載ってきたように思えた。じんわりと、しんみりと郷愁がかきたてられた。イングリッシュホルンもいいし、フルートもいいが、弦の音もすばらしい。トレモロもとても美しかった。

 そして、第三楽章のスケルツォのリズムの素晴らしさ。こんなにいきいきとした曲だったのだと改めて思った。そういえば、以前、ブロムシュテットの『カルミナ・ブラーナ』を聴いて、そのリズムとエネルギーに圧倒されたことがあるのを思い出した。今回もそんな演奏だった。

 第四楽章は初めから全力を出し、じつにうまく山があり谷があって、最後、最高の盛り上がりを見せた。

 ブロムシュテットは大巨匠だ! 今月号の「レコ芸」の「現代の名指揮者上位48位」にも入っていないが、過小評価もはなはだしい。今回の来日に限っていえば、私はヤンソンスよりもはるかの強い感動を得た。

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コメント

一連の公演、どれも忘れ難い名演でした。いまこれほどの感動を与えてくれる指揮者はブロムシュテットとプレートルだけでしょう。

ちなみに、ご存知だと思いますが、ドヴォルザークの8番は巨匠のデビュー盤(SKD)です。

愚かな日本の評論家にブロムシュテットの真価を教えてやってください!お願いします。

投稿: おおくま | 2009年11月26日 (木) 23時31分

おおくま様
コメントありがとうございます。
ドヴォルザークの8番がデビュー盤とは知りませんでした。なるほど、すばらしい演奏は当然だったのですね。
そういえば、ブル8のサントリーホールでは、何人か評論家を見かけましたが、ドヴォルザークの日はほとんど見かけませんでした。こんなところにも、評論家の評価が現れているのかもしれません。
これまでブロムシュテットを軽視してきたこと、大いに反省しています。是非また来日してくれることを祈っています。

投稿: 樋口裕一 | 2009年11月27日 (金) 08時05分

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