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ヤンソンスのワーグナーは私の好きなワーグナーではなかった!

 11日、マリス・ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団のサントリーホールのコンサートに行った。前半は、ヨー・ヨー・マを独奏に迎えてのドヴォルザークのチェロ・コンチェルト。

 近年のヤンソンスらしいしなやかでありながらも、鳴らすべきところはしっかり鳴らし、しかも形が崩れずに品格のある演奏。オケはとりわけ木管と弦が見事だと思った。私は、ドヴォコンを聞くと、切ない気持ちになり、ノスタルジーに似た気分に襲われる。バイエルンの音にしびれた。これもドイツの音がする。ちょっと明るめの南ドイツではあるが。

 私は実は、長い間、ヨー・ヨー・マのチェロが好きではなかったた。あっけらかんとした演奏だと思っていた。遅ればせながら、最近になってやっとドイツ的な重みとは違う魅力を理解できるようになった。傍からは脱力系に見えながら、実は奥深い軽みをもっていると思うようになった。アンコールのバッハなど、まさしくそのような演奏。指揮もオケも独奏もすばらしかった。

 後半はワーグナー。『タンホイザー』序曲と「ジークフリートのラインの旅」と「ジークフリートの葬送」と「ワルキューレに騎行」。

 はっきり言って、まったくおもしろくなかった! 先ごろ販売されたヤンソンス+バイエルンのワーグナー管弦楽曲集のCDもあまりおもしろくなかったが、実演も、私にはおもしろくなかった。私はヤンソンスが大好きで、来日のたびに追いかけてきたが、これは私の経験したヤンソンスのワースト1。

『タンホイザー』のなかにエロスと宗教のせめぎあいがない。『ワルキューレ』にもワーグナーの毒がない。倒錯がない。狂気がない。うねりがない。ドラマがない。あまりに健康的で、ただでかい音でいくつもの楽器が鳴っているだけ。

 昔、オーディオ製品を買うと、音の威力を聞かせるサンプルレコードが付録についてきた。ホルストの『惑星』やら、『ツァラトゥストラ』の冒頭などの、音響的に聴きばえのする音楽が抜粋されていたものだ。そして、それらは演奏の質としてはたいしたものではなかった。今日のヤンソンスのワーグナーはそれに似た演奏だった。

 ヤンソンスが不調というわけではない。これがヤンソンスの考えるワーグナーなのだろう。それが私の好きなワーグナーではないというだけのことだ。だが、育ちのよいヤンソンスには、私の好きなワーグナー、つまりは、あらゆる要素が入り混じり、きれいごとでは対処できないワーグナーを演奏するのは無理なのではないかと思った。

 アンコールの1曲目は、ハイドンのメヌエットといわれていたものだったと思う。確か、ボッケリーニ作曲ということになったのでなかったか。アンコール曲の掲示を見ないまま出てしまったので、もしかしたら不正確かもしれない。これはよかった。が、2曲目は『ローエングリン』の第三幕への前奏。これも私にはダメだった。

 次回のヤンソンスとバイエルンの公演は、五嶋みどりのヴァイオリンによるベートーヴェンのコンチェルトとチャイコフスキーの交響曲第五番だ。それはきっとすばらしいはず。それに期待しよう。

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