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新国立の『魔笛』は楽しかった

 11月3日、新国立劇場の『魔笛』を見た。指揮はアルフレート・エシェヴェ、演出はミヒャエル・ハンペ。全体的には、大変楽しかった。通常のオペラ公演でこのくらいやってもらえれば、十分に楽しめる。

 何より思ったのは、日本人歌手のレベルの高さ。夜の女王の安井陽子は、外国勢にまったく引けを取らない。世界最高レベルとはいえないが、十分に世界に通用すると思う。また、モノスタトスの高橋淳も見事。そのほか、ザラストロの松位浩も三人の侍女も三人の童子もいい。成田勝美と長谷川顕が武士を演じているのもなかなか豪華。

 外国勢では、パミーナを歌ったカミラ・ティリングが素晴らしい。澄んだ美しい声、しなやかな歌いまわし。容姿もいい。ただ、きれいな声で歌おうとすることにばかり気を配って、芝居の中の歌になっていないところを感じないでもない。パパゲーノを歌ったマルクス・ブッターもよかった。演技力もあり、声もしっかりしている。ただ、タミーノを歌ったステファノ・フェラーリについては、容姿はよいものの、音程が不安定になったり、声が出なくなったり。もっと実力のある日本人歌手が大勢いるだろうと思った。

 一番問題を感じたのは、指揮だった。凡庸さを感じてしまう。音楽に躍動感がなく、わくわくしない。歌手とタイミングが合わないところもあった。東京フィルは、十分について行っていると思った。演出に関しては、これまで見た覚えのある演出のつぎはぎにしか思えなかった。

 それにしても、『魔笛』をみるごとに、ストーリーの矛盾が気になって仕方がない。善玉と悪玉が途中から逆転するのはもちろんのこと、「たったこのくらいのことで、そろいもそろってなぜパミーナもパパゲーノも自殺しようとするんだろう」「どういう必然性があって、パパゲーナはお婆さんの格好で登場するんだろう」などといった疑問がわいてくる。

 今日、善玉と悪玉の逆転について、一つの仮説を思いついた。これまで、私はオペラ入門書などで何度か『魔笛』を取り上げてきたが、その度に「善玉と悪玉が逆転するわけではなく、初めからモーツァルトの意図だと主張する人がいるが、それはおかしい。どう考えても、このストーリーは矛盾している、矛盾していないという主張の根拠はすべて納得できない」と書いていたが、「矛盾していない」という納得できる根拠を思いついた。

 が、時間がないので今日は書かない。そのうち、気がむいたら、書くことにする。

 新国立劇場でしばしば思うことがある。ここでは幕が上がる前、「身を乗り出してみると、迷惑になるので、身を乗り出さないでください」というアナウンスがある。だが、私は、誰かが身を乗り出しているために迷惑を覚えたことはない。席によってはそういうところもあるのかもしれないが。

 私が新国立劇場で気になるのは、それよりは、演奏中の靴音だ。

 きっと靴音なのだろうと思う。床が木なので、靴が床に当たるとかなり響く。今日も、私の左のほうから、音楽が鳴っている間も絶え間なく靴の音らしいものが響いていた。一人なのか、数人なのかわからないが、ずっと音が響く。そのため、いつまでもざわついた雰囲気で、落ち着いて聴けなかった。

 もしかしたら、私が音に対して神経質すぎるのかもしれない。私は様々なことにズボラで無神経でいい加減なのだが、音に関してはかなり神経質らしい。演奏会でも、プログラムのページをめくる音、バッグを開く音、飴玉を出す音、オペラグラスを出し入れする音などが気になる。外を歩いていても、町に溢れる騒音や音楽に辟易する。新宿駅南口で歌っている若者に対しても、お願いだから静かにしてくれと懇願したくなる。どこか静かなところにいきたいと常々思っている。

 わかってはいるのだが、どうしても気になる。

 私としては、「床が木でできているために、靴の音が大きく反響することがあります。周りの方のご迷惑にならないように、ご自分の出される音にご注意ください」といったアナウンスをしてほしいと思う。

 音ついでに、もう一つ。新国立劇場に行くのに、私は京王新線を使うが、新宿駅も初台駅もホームで笛のような音が絶えず聞こえている。トクに新宿駅は木になる。私は不快で仕方がないのだが、あれは一体何なのだろう。これが気になるのは少数派なのだろうか。

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コメント

樋口さま
いつも大変楽しく拝見しています。

音に関しては私も同感です。

私の場合は、劇場の前で配っている
パンフレットの束を入れるビニールが、

ガサ・ガサ・・・・

と音を立てると気になって仕方ないです。

渋谷のHNKホールに行く途中の路上ライブも
疑問に思ってます。

投稿: shion | 2009年11月11日 (水) 21時01分

shion様
NHKホールの外のライブ、本当に気になりますね。せっかくの余韻がメチャクチャにされますよね。
ホールの音響もさることながら、ライブのうるささのために、できるだけNHKホールの、とりわけ昼間の公演には行かないようにしています。やむをえない時には、放送局の建物のほうを通って遠回りして帰ります。
何とかならないんでしょうかねえ。
会場での配布物の音も気になります。演奏中にパンフレットを見ている人もいますし。

投稿: 樋口裕一 | 2009年11月12日 (木) 11時52分

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