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ヴァンスカ指揮、読売日響の第九を感動!

 今日(1222日)、サントリーホールで、オスモ・ヴァンスカ指揮、読売日響の第九演奏会を聴いてきた。今年初めての第九。見事だった。

 ミネソタ管弦楽団のCDを聴いて、以前から聴きたいと思っていた。読売日響でベートーヴェン・シリーズが行われていることは知っていたが、これまで時間が取れなかった。

 とてもユニークな演奏。ポリフォニックとでも言うべきか。すべての楽器が同じ大きさで鳴る印象。だから、どの楽器が主旋律かよくわからない。どの楽器も実によく聞こえる。そして、実に立体的に音が聞こえる。朝比奈にもそのような傾向があったが、ヴァンスカの場合は、音がきりりと引き締まっていて超快速なので、もちろん、朝比奈とは印象はまったく異なる。そして、時折リズムを強調し、踊るようで、起伏が大きい。実にエネルギッシュ。「えげつない」という言葉を使いたくなるほどドラマティック。

 どの楽章もおもしろかった。とりわけ、何度かチェロを煽るところなど、ほかの指揮者にはみられない解釈。第三楽章では、ファンファーレをまさに「えげつない」ほど盛り上げていた。第四楽章はまさに祝祭的。バチャバチャ、ガチャガチャガチャという感じになって実に楽しい。そうでありながら、快速で楽器を合わせていく。このユニークな指揮にしっかりついていったオケのメンバーに脱帽! 古楽器の演奏以上に、若々しいベートーヴェンが浮かび上がってきた。 三澤洋史に率いられた新国立劇場合唱団も見事。独唱陣(林正子、林三智子、中鉢聡、宮本益光も、全体的に高レベルだった。宮本は最初、かなり緊張しているようだったが、これはやむをえないだろう。

 ただ、ないものねだりをすると、最初から最後までずっとエネルギー全開なので、聴いていて少々くたびれた。もう少し引き気味のところもあっていいのではないかと思えてくる。

 が、私はこのような演奏は大好きだ。実は、CDを聴いて、ここ数年になかったくらいの第九の名盤だと思った。実演でも、十分に堪能できた。

 とはいえ、私が神経質すぎるのだろうか。今日も、周囲の雑音が気になって仕方がない。

 先日の中丸さんのリサイタルほどではなかったが、演奏中も話し声やバッグを開ける音や、カサカサいう紙の音がひっきりなしだ。とりわけ、紙のカサカサ音が我慢できない。飴を取り出したり、プログラムやチラシをいじる音だ。咳が出そうなために飴をなめる人もいるようだが、少なくとも私は、飴を出す時の紙の音のほうが、咳よりもずっと気になる。

 私は、音を出す人が隣にいたら注意することにしている。これまで何度も注意してきた。だが、遠くにいる人まで注意することはできない。そのようなことをすると、ますます騒音を立てることになる。隣の人がうるさくしたら注意をすることを義務化したらいいのではないかとさえ思う。「演奏中は、私語を交わしたり、飴玉を出したり、チラシやプログラムをめくったりしないでください。そのような人がいたら、必ず隣の人が注意してください」と呼びかけることはできないものか。

 そんなことも考えたが、とりあえず、ヴァンスカに感動して家に帰った。

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コメント

実は会場で開演前、樋口先生ではないかと思われる方をお見かけしました。眼鏡をかけていらっしゃらなかったので、もしかしたら人違いかと思い、お声をかけませんでした。もっとも、見ず知らずの男にいきなり声かけられたら、びっくりなさいますよね。
その方が先生だったかどうかはともかく、また、同じ演奏会にいらしたのですね。(前回はブロムシュテット指揮チェコ・フィルのブルックナー)

先生も書かれている通り、確かに引き締まった感じの、良い演奏でした。私も下記ブログに感想を書いております。
http://hecto.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-3a18.html
駄洒落で始まるしょうもない感想ですが、ご笑読頂ければ幸いです。

投稿: ムーミンパパ | 2009年12月24日 (木) 12時49分

ムーミンパパ様
ブログ拝見しました。大変共感しました。
ほかの方のブログにコメントをしたいと時々思うのですが、もの書きを仕事にしている関係上、それを自分に禁じています。もし、それを自分に許すと、自分の本について書いてくれている人にコメントをしたくなって、場合によっては不毛な議論になったりしそうですので。
ところで、会場で見かけたという方、眼鏡をかけていなかったとすると私ではないと思います。眼鏡を取るのは何かを読むときくらい(情けないことに老眼が進んで、読むときには眼鏡をはずすほうがラク!)ですので。
きっとまたお会いすることがあるでしょう。また、ブログを拝見させていただきます。

投稿: 樋口裕一 | 2009年12月25日 (金) 09時05分

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