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今年のベートーヴェン全交響曲演奏は、歴史的名演だった!!

 大晦日(つまり、もはや昨年と言うことになる)、小林研一郎指揮ベートーヴェン全交響曲連続演奏を聴き終えて、11日の深夜に自宅に帰った。興奮してなかなか寝つけなかった。そして、これまた興奮して早めに目がさめてしまった。まさしく歴史的名演!! 

 一昨年も素晴らしかった。だが、コバケン特有の熱い演奏が前面に出ていた。信じられないようなテンションで最後まで振り切り、熱く燃える音楽だった。N響を中心とした日本全国から集まった選りすぐりのメンバーによるオケは、よくそれについていっていた。だが、やや粗さのようなものも残っていた。

 だが、今年は正真正銘の名演だった。

 もちろん第1番からして見事な演奏。だが、第2番の第1楽章はその比でなく凄まじかった。そこから火がついた感じがした。第5番の第1楽章、第7番の4楽章、第9番の第1・4楽章がことのほか圧倒的。緩徐楽章よりも、速くてドラマティックな楽章がとりわけ素晴らしい。

 特に何かをいじった指揮ではない。きわめてオーソドックスな解釈だろう。だが、すべての楽器が全力でコバケン特有の白熱感についていく。速めのテンポで強弱を強調したドラマティックな展開が圧倒的な効果をもたらす。ともかく、オーケストラが素晴らしい!! もしかしたら、ウィーンフィル、ベルリンフィルのレベルではないかと思った。

 これまで、ベートーヴェンの交響曲はかなりの演奏を聴いていた。だが、これほど圧倒されたことはなかった。とりわけ、第九の凄まじさ!! 観客のほとんどが総立ちに近かった。合唱を担当した武蔵野合唱団、真夏に第九を歌う会もすばらしい。菅英三子、相田麻純、高橋淳、青戸知のソロもきわめて高レベル。青戸さんのバリトンのソロが、まるでオペラ風の歌いまわしなのにちょっと驚いた。フリッチャイ指揮の録音でフィッシャー=ディスカウがまるでリートのように歌っているが、それを思い出した。

 

 第8番が演奏された後に音楽評論家の岡本稔さん、歴史学者の樺山紘一さん、音楽ライターの鈴木淳史さんとともに、トークをした。第八番の第四楽章あたりから、緊張してきて、音楽を聴きながらもトークが心配になって、手に汗をかき始めた。

 ほかの方の話もとてもためになった。岡本さんの「第九の第四楽章の歌詞の、人類みな兄弟という考え当時は危険思想」という指摘、樺山さんの歴史的な解説、鈴木さんの「ベートーヴェンはウザい」という発言はおもしろかった。私も自説を含めて語った。つまらないことや説明不足のことも言ったが、ひとつだけ自分でなかなかいいことを言ったと思った。

 それを少しわかりやすく補足しながらいうと、こんなことだった。「この連続演奏をずっと聴いていると、観客同士、観客と演奏家の間に連帯感のようなものが生まれる。連帯感というのは友愛だ。友愛と言うと、どこぞの総理大臣を思い出すかもしれないが、これは自由・平等と並ぶフランス革命の精神を表す言葉だった。しかも、この精神が第九でも歌われる。つまり、ここにいる我々は、交響曲全曲を聴くことによって、友愛を作り出し、みんなでベートーヴェンの革命精神を作り出していることになる」。

 ただ、私としてはこのようなことを言ったつもりだったのだが、言葉足らずだったり、ぼそぼそ言ったりで、もしかしたら十分に伝わっていないかもしれない。が、まあよしとしよう。

 終演後、関係者で行われたパーティに参加。マエストロにサインをもらった。私はテノールの高橋さんのファンなので、少し話をした。

 と言うわけで、一昨日に示した今年のベストテンのコンサートを訂正する。それに、ひとつ大事なコンサート(ネマニャのコンサート)をベストテンに加えるのを忘れていた!

・パヴェル・シュポルツル バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ2番など。(ナントのラ・フォル・ジュルネ)

・ネマニャ・ラドゥロヴィチ ヴィヴァルディ「四季」など カントロフ指揮、シンフォニア・ヴァルソヴィア(東京のラ・フォル・ジュルネ)

・ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル。『マタイ受難曲』。 (東京のラ・フォル・ジュルネ)

・新国立劇場『ムツェンスク郡のマクベス夫人』

・バンベルク交響楽団 ジョナサン・ノット指揮 ブラームス交響曲1・4

・ゲヴァントハウス管弦楽団 リッカルド・シャイー指揮 メンデルスゾーン5、ブルックナー4.

・チェコフィル ブロムシュテット指揮 ブルックナー8

・チェコフィル ブロムシュテット指揮 ドヴォルザーク8・9

・東京交響楽団 飯森範親 『ブロウチェク氏の旅行』

・小林研一郎指揮 大晦日 全交響曲連続演奏会

次点

・佐藤俊介・菊池洋子デュオコンサート (多摩大学20周年記念コンサート)

・ペーター・ノイマン指揮、コレギウム・カルテゥシアヌム 『ヨハネ受難曲』 (ナントのラ・フォル・ジュルネ)

 今年もこのブログは音楽中心になりそうな予感・・・

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