« ベルリン古楽アカデミーの『ブランデンブルク協奏曲』全曲演奏を聴いてきた | トップページ | 新国立劇場『ジークフリート』を見た »

三枝成彰のオペラ『忠臣蔵 外伝』をみてきた

 2月19日、オーチャードホールで、三枝成彰作曲の名作オペラ『忠臣蔵』の短縮版というべき『忠臣蔵 外伝』を見てきた。侍たちの場面をカットし、男女の恋に焦点をあて、費用がかからないように工夫している。

 個人的な好みからいうと、圧倒的に本来の『忠臣蔵』のほうが好きだ。『忠臣蔵』を見て、私が感動した男臭い場面、とりわけ松の廊下の事件を知ったときの侍たちのうろたえる場面と討ち入りの場面がないのが残念。私がこのオペラを正真正銘の名作だと思ったのは、そのような場面のためだった。

 が、ないものねだりはよそう。「外伝」において、三枝さんは徹底的に男女の恋に焦点をあて、「義理」と「恋」の板ばさみになり、「夢」の中に生きようとする二組の男女(橋本平左衛門(佐野成宏)と綾衣(佐藤しのぶ)、岡野金右衛門(樋口達哉)とお艶(塩田美奈子)を描く。大石内蔵助(福島明也)はあまり大きな位置は占めない。

 プッチーニのように徹底的に通俗的にしている。それは意識的にしたものだ。これを通俗的過ぎると非難するのは野暮というもの。

 とはいえ、私はプッチーニよりも、ワーグナーを思い浮かべた。徹底的に通俗的にしているがゆえに、ある種の形而上学が生まれる。拙著『ヴァーグナー 西洋近代の黄昏』を出したばかりなので、どうしても『トリスタンとイゾルデ』と比べてしまうのかもしれない。日本的なトリスタンとイゾルデの形だと思った。

 歌手たちは全員見事。字幕もでるが、字幕がなくても、はっきりした日本語でほぼ完璧に聴き取れる。容姿も申し分ない。

 そして演出も素晴らしい。最後の雪の場面など、私のような、色恋沙汰の物語にあまり反応しない人間でさえも泣けてくる。大成功だと思った。

 

 このところ、とても忙しい。

 16日は「多摩大学ビジョン」という名称の会議が行われ、経営情報学部のメンバーを中心に多摩大学のあり方について長時間、議論。途中、2時間ほどは、寺島実郎学長も加わった。その後、懇親会があった。多摩大学のかかえる問題点が浮き彫りにされ、これからの方向性がはっきりした会議だったといえるだろう。

 17日は丸善丸の内店のセミナー室で、100人ほどを前に久恒啓一、山田真哉両氏と鼎談。『知の現場』(東洋経済新報社)の出版記念の一貫。最初の本を出した時の苦労などを話した。久恒氏が司会をしてくれたが、てきぱきと進むので、やりやすかった。山田氏も空気を読んできちんと対応してくれる。そして、なによりも聞きに来てくださった方々の雰囲気がとてもよく、楽しく話ができた。その後、この日も懇親会。

 18日は多摩大学の入試日。ただし、現在、多摩大のような難関校といえない大学では年に何度も入試が行われる。そのうちの一日だった。何かが起こったときの待機要員として参加したが、体調不良者がいたために、私も試験監督をした。

|

« ベルリン古楽アカデミーの『ブランデンブルク協奏曲』全曲演奏を聴いてきた | トップページ | 新国立劇場『ジークフリート』を見た »

音楽」カテゴリの記事

コメント

『非 忠臣蔵 ~徳川綱吉の陰謀』という電子書籍を
http://www.digbook.jp/product_info.php/products_id/13458
に掲載しております。

忠臣蔵を新しい視点から描いたミステリーです。

数年前に単行本化し、読まれた方からは好評を得たのですが、出版社の倒産により、絶版となったものを電子書籍化したものです。
税込み315円ですが、よろしければ、ご一読ください。

ただ、赤穂義士ファンの方は、その内容にむっとされるかもしれませんが……。

投稿: 朝乃大気 | 2011年1月28日 (金) 00時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/532807/47613840

この記事へのトラックバック一覧です: 三枝成彰のオペラ『忠臣蔵 外伝』をみてきた:

« ベルリン古楽アカデミーの『ブランデンブルク協奏曲』全曲演奏を聴いてきた | トップページ | 新国立劇場『ジークフリート』を見た »