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悪いニュース、そしてド・ビリー指揮、ウィーン放送交響楽団のベートーヴェン

 悪いニュースを聞いた。来年のラ・フォル・ジュルネについての情報だ。が、順を追って、今日の出来事を語ろう。

 昼間、多摩大学に行って、久恒啓一学長室長と本の出版の件で打ち合わせ。その後、一旦家に帰って、杉並公会堂に向った。ベルトラン・ド・ビリー指揮、ウィーン放送交響楽団のベートーヴェンの『エグモント序曲』と交響曲6番、そして5番の演奏会。

 ド・ビリーは、リセウ劇場でのワーグナーの『リング』のDVDが悪くないので、関心を持っていた。来日するというので、あわててチケットを買ったのだった。

 前半の『エグモント序曲』と交響曲6番「田園」は、オケの縦の線がしっかりと合わず、かなりアバウトな印象を受けた。ド・ビリーの指揮も何をしたいのかよくわからなかった。第二楽章の鳥の声を模す部分も何だか楽器のかみあわせがうまく行っていない印象。嵐も迫力不足。その後も自然賛歌のような部分が盛り上がらない。欲求不満が残りながら、前半を終えた。

 ところが、後半の「運命」になると、俄然よくなった。ド・ビリーの指揮はかなりオケのメンバーの自主性に任せているように見える。が、しっかりとコントロールできていて、だんだんと音楽が高まっていく。第一楽章と第三楽章の、音楽の盛り上がる部分についてはとてもよかった。かなり興奮した。

 ド・ビリーは理詰めで音楽を組み立てるタイプではなく、オーソドックスに音楽を自然に鳴らせていくタイプのようだ。だから、造形面では少し弱いように思う。が、音楽が流れ出すと威力を発揮する。

 アンコールは「魔笛」序曲と、ウィーンのオーケストラらしく、ヨハン・シュトラウスの「ピチカート・ポルカ」。とても良い演奏だった。

 会場に音楽ジャーナリストの柴田克彦さんと渡辺謙太郎さんがいて、いっしょに新宿まで帰った。

 最初に書いた「悪い知らせ」というのは、来年のラ・フォル・ジュルネは「マーラー特集らしい」ということ。お二人にそのことを聞いて、暗い気持ちになった。

 今年のラ・フォル・ジュルネはショパンが中心だが、私はショパンは好きではない。だから、今年は、ラ・フォル・ジュルネにあまり関わっていない。昨年は大好きなバッハが特集されたので、アンバサダーとしてナントにも行き、東京でも記者会見などに出たが、ショパンについては、私は何も知らない。「嫌い」と言うことはないのだが、それほどおもしろいと思わない。CDもほとんど持っていない。

 が、マーラーとなるとその限りではない。「死ぬほど嫌い」といっても、まだ足りない。「許せない」「我慢できない」「聞いていると、不愉快で腹が立ってくる」でもまだ足りない。本当にマーラーばかり演奏されると、私としては本当に困ってしまう。リヒャルト・シュトラウスやブルックナーが加わればまだいいが・・・

 この情報が間違いであってくれればうれしいのだが・・・

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コメント

普通コンサートの日程は2年前に決まりますから、多分本当でしょう。僕もショパンは嫌いですが、マーラーは好きです。でも安く聴かせるには金がかかりすぎるんじゃないかと思います。

投稿: 菅野 | 2010年3月 6日 (土) 23時21分

嫌いなら来なけりゃ良いだけでしょ

投稿: 品田 | 2010年3月 7日 (日) 00時24分

菅野様
コメント、ありがとうございます。
マーラーという情報、どうやらあちこちでいわれていますので、事実のようです。室内楽やピアノ曲がほとんどないので、きっとお金がかかるでしょうね。逆に言えば、同時代のほかの作曲家の室内楽がかなり演奏されるということかもしれません。

投稿: 樋口裕一 | 2010年3月 7日 (日) 13時54分

品田様
ラ・フォル・ジュルネというせっかくの機会なのに、大嫌いな作曲家が特集されるのを嘆くのは、かなり当然の感情だと思いますが・・・。それに、私の場合、初回から東京のラ・フォル・ジュルネに関わる仕事をかなりしています。はっきりと任命されているわけではありませんが、たぶん、今も「アンバサダー」の一人として、ラ・フォル・ジュルネの素晴らしさを多くの人にわかってもらう役割を担っています。それなのに、嫌いな作曲家が特集されると、仕事がしづらくなってしまうのです。

投稿: 樋口裕一 | 2010年3月 7日 (日) 13時59分

 こんにちは。
 マーラー、お嫌いなんですね。
 さればこそ、むしろ、虚心坦懐、「折角の機会」なのですから、これを機にマーラーを改めて体験されては如何ですか?自戒も込めて言うのですが、普段聞く機会が無かった音楽、知らなかった音楽をラ・フォル・ジュルネで初めて聞いて見方が変わった、という話は幾らもあるようですし、むしろ好機ではないかと思いますが。

 個人的には歌曲の多いマーラーですから、ヴォルフやR・シュトラウスなども含めて、シューベルトの時のような歌曲祭り再び、という意味で今から楽しみだったりします。ドイツ歌曲好きにとってマーラーは必須アイテム、でも纏めて聞く機会は決して多くないですから。


投稿: Verdi | 2010年3月14日 (日) 12時30分

Verdi様
確かに、ラ・フォル・ジュルネは、好きでなかった作曲家や演奏家の真価を見出す貴重な機会だと思います。今年に関しては、ショパンを聴く機会にしたいと思っています。
が、マーラーに関しましては、かくなるうえは死ぬまでマーラー嫌いを続ける覚悟でいます。20代から30代のころ、マーラーを理解しようと努力した時期があるのです。シュトラウスやヴォルフやブルックナーは大好きですので、マーラーも理解できるはずだと思ったのですが、拷問に等しい苦痛を覚えるばかりでした。今でも時々、マーラーを耳にしますが、やはり不快と苦痛、そしてほとんど吐き気に近いものを感じて、まだ私のマーラー・アレルギーは続いていることを確認している次第です。
私にとって、マーラー嫌いは「そばアレルギー」にも似たものだと思っています。むしろ、これからは私のマーラー嫌いをもう少し理論化したいものだと考えているところです。

投稿: 樋口裕一 | 2010年3月17日 (水) 09時43分

長野で演奏した時は運命でセカンドバイオリンがGPで飛び出してしまいました。全体的には非常にレベルの高い演奏でした

投稿: 長野 | 2010年4月11日 (日) 02時40分

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