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NHK放送のメトの『ルチア』と『夢遊病の女』

 3日ほど前からNHK-BShiで放映されている「華麗なるメトロポリタン歌劇場」のシリーズをいくつか見た。前回のシリーズも素晴らしかった。このブログにも、『サロメ』と『ドクター・アトミック』について書いた。ここには書かなかったが、『ファウストの劫罰』もルネ・フレミングの歌う『タイス』も最高レベルだと思った。

 そして、『ルチア』『夢遊病の女』を見る限り、今回のシリーズもそれに劣らない。実は私はアメリカで上演されるオペラにはこれまで偏見をもっていた。オペラはヨーロッパに限ると思っていた。だから、メトロポリタン歌劇場に行ったことがなかった。だが、これほどのレベルの上演をしているとあれば、そのうち、行かないわけにはいかないだろう。

 私はイタリアオペラはあまり聴かないのだが、ネトレプコの歌う『ルチア』は堪能した。ストーリーは荒唐無稽だが、イタリアオペラでそんなことを言っても仕方があるまい。ほかの歌手もすばらしいが、ネトレプコがとりわけいい。彼女については、名前が出始めたころから追いかけてきた。はじめは容姿による人気先行だったが、今や大歌手。ここまで大歌手になったのかと、改めて驚く。最初のアリアもさることながら、血だらけで歌う狂乱の場のアリアは圧巻。ちょっとミスがあったが、ライブではやむをえないだろう。

 その翌日に放映された『蝶々夫人』については、実はちょっと見るのが辛いと思った。まず、プッチーニの音楽も好きではないのだが、いつものことながら、それ以上に日本人の一人として、西洋人の珍妙な着物姿に辟易する。とりわけゴローのまるで聖徳太子のような格好は何なのだろう!! 日本人がスタッフに加わって、「いくらなんでも、これはひどいですよ」と進言できないのだろうか? 翻って考えるに、私たちも、ほかの国のオペラについて珍妙な状況を平気で見ているのかもしれないが。

『夢遊病の女』もまた、荒唐無稽としかいえないストーリーと、かなり下手なオーケストレーションだが、何はともあれベッリーニの作曲する歌の気高さは欠点を補って余りある。

 何よりもナタリー・デセイが素晴らしい。高音の音程の確かさ、声の美しさ、輝きもさることながら、それ以上に声の演技力に圧倒される。第一幕の最初のアリアから圧倒的。最後のアリアもものすごい!!

 ただ、エルヴィーノを歌うファン・ディエゴ・フローレスについては、私は納得できない。デビュー当時から、ずっと「高い声を出せる下手なテノール」だと思っていた。大人気だと知って驚いた。私はフローレスの声を美声とは思えない。細かいところで音程が怪しくなると思うのだが、私の耳がおかしいのだろうか。今回、聴いてみて、以前よりもだいぶうまくなっていると思ったが、少なくとも、私の好きな歌手ではない。会場の熱狂が信じられない。

 メトロポリタンでは珍しい現代に時代を映しても演出。それなりに楽しめた。

 7日の未明に、カタリーナ・ワーグナー演出の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(08年のバイロイト音楽祭)がNHKで放映される。私がバイロイトで見たときの上演だ。これを見て、私は初めて演出のすごさに衝撃を受けたのだった。次の週の、ラトル指揮の『神々の黄昏』とともに、放送予定を知ったときから、楽しみにしてきた。

 ただ一つ心配なのは、津波や地震が起こって、画面に字幕やらチラチラする日本列島の地図やらがでること。NHK総合ならともかく、BSの深夜の放送で、はるかかなたの震度3の地震くらいで、何度も字幕を出す必要はなかろうと思うのだが! 先日の津波警報のようなものが画面に出たら、すべてがぶち壊しになってしまう。

 どうか、ここしばらく日本列島に大事が起こりませんように・・・

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