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ヴァレンシア・リングのBDはジークフリート歌手がよくない!

 ヴァレンシア歌劇場で行われたワーグナーの『リング』四部作上演のうち、『ラインの黄金』と『ワルキューレ』は素晴らしかった。その次の作品である『ジークフリート』はいつまでたってもブルーレイしか店頭にないので、わざわざブルーレイレコーダを買って、続きを見た。

 ところが・・・

619 『ラインの黄金』と『ワルキューレ』に比べて、『ジークフリート』と『神々の黄昏』の完成度が圧倒的に低い。その理由ははっきりしている。肝心のジークフリート役のランス・ライアンがかなりひどい。『トリスタンとイゾルデ』の水夫か『パルジファル』の小姓を歌うのならこのくらいで十分だろう。だが、『さまよえるオランダ人』のエリックでも苦しい。ジークフリートを歌うには、圧倒的に力不足だ。音程も不安定、声が伸びず、細部の処理があまりに雑。一人だけずば抜けて、レベルが低い。

 いくらほかの歌手がよくても、ここまでレベルが低いとさすがに聞いていられない。容姿で選んでしまったのだろう。残念。

『神々の黄昏』でジークフリートが死んで「ジークフリートの葬送」が始まった時、これでやっとジークフリートが出てこなくなると思ってほっとした。こんなにジークフリートの死がうれしかったのは初めてだ。

 620 このジークフリート役の歌手に引きずられてしまったのだろうか。それとも、この歌手のせいで聴いているこちらが音楽に乗れなくなってしまったのだろうか。ほかの歌手たちも「ワルキューレ」までに比べてかなり出来がよくないような気がした。

 さすらい人のユハ・ウーシタロも声が十分に出ていない。ブリュンヒルデ役のジェニファー・ウィルソンはかなり頑張っているが、出番のすべてでジークフリートと絡んでいるので、感動のしようがない。グンターのラルフ・ルーカスも本調子ではない。マッティ・サルミネンはさすがだが、ものすごかったころの力はない。

 しかし、カルルス・パドリッサの演出については、『ラインの黄金』と『ワルキューレ』と同じくらい冴えまくっている。ギービッヒ家の人々がフェイスペインティングをしており、それが円マークやユーロマークで、しかも漢字が描かれているのがおもしろい。要するに、ニーベルング族は資本主義化した新興の存在というわけだろう。そして、バーチャル映像を駆使した映像美は圧倒的。

 メータの指揮も悪くない。細かいところに雑さは感じるが、盛り上がるところは盛り上がる。これはこれでなかなかワーグナーらしい演奏だ。しかし、繰り返すが、私はジークフリートが登場するごとに、心が萎えてしまって、どうしようもなかった。

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