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ブロムシュテット+N響のブルックナー5番に魂を震わせる!

 4月21日、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、NHK交響楽団によるブルックナーの交響曲第5番(ノヴァーク版)をサントリーホールで聴いた。圧倒的名演だった。

 前にもこのブログで書いたが、実は、私はブルックナーの交響曲第5番が苦手だ。ブルックナーは大好きだ。交響曲の4・7・8・9は魂を震わせて聞く。が、5番と6番はよくわからない。とりわけ、5番は聴いているうちに迷路に入り込んだ気分になる。第1楽章と第4楽章が特にそうだ。私は、こう見えてかなり論理的な人間らしく、文章などに論理の破綻があるとすぐに気づき、それが気になって仕方がない。この交響曲はまさしく破綻しているように思える。

 ちょうどCDが売り出されたばかりのチェリビダッケ指揮、ミュンヘンフィルの来日公演での5番を20年ほど前に実演で聴いた時も、深い感動を覚えつつも、わからなさを噛みしめざるを得なかったのを覚えている。

 が、今日、ブロムシュテットで聴いて、やっとわかった気がした。「そうか。とりあえず、ブルックナーの音楽に身を委ね、だんだんとそれが一まとまりになって行くのを楽しめばいいんだ!」と思った。これまで、頭の中で音楽を整理しようとし、それができずに途方にくれていた。が、音楽に身を委ねていれば、自然に音楽に統一ができるではないか。

 私は専門家ではないので、ブルックナーの音楽の形式もよくわからない。ブロムシュテットがどのような工夫をしているのかもわからない。だが、ブロムシュテットの手にかかると、ブルックナーの音楽の中に、きわめて自然に統一が作られていく。しかも、壮大な祈りにあふれ、大宇宙の中で私たちの魂を躍動させてくれる。

 N響も素晴らしかった。まったく不満はない。ホルンがみごと。ほかのオケでは、どうしてもホルンを初めとした金管楽器に問題を感じるが、安心して聞いていられた。全体のバランスもとても良かった。

 最終楽章の後半はほとんど身体がしびれていた。最後には涙があふれてきた。ブロムシュテットは大巨匠だと改めて思った。

 ところで、28日には、フィラデルフィア管、ディトワ指揮、アルゲリチのピアノによるラヴェルのコンチェルトが予定され、最高の楽しみだと思っていたが、アルゲリチがキャンセルになったと知った。残念無念。ポゴレリチのショパンが代わりに演奏されるらしいが、私はショパンが好きではない。まったくもって残念!!

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音楽」カテゴリの記事

コメント

樋口さん、こんばんは。

昨年のチェコフィルとの「8番」に次ぐ大名演でしたね。
N響の奮戦には感激しました。

ブルックナーの複雑な対位法を見事に鳴らしたブロムシュテットの手腕にも驚くばかりです。ゲヴァントハウス管との「5番」(「最高のブルックナー」と讃えられました)よりも勢いがあった気がします。

「5番」の曲の構造のことでしたら、「名曲解説全集」が比較的わかりやすいと思います。私も専門家ではないので、エラそうに薦められませんが・・・。

N響では3、4,5番とやりましたので、次の客演の時には6番でしょうか?これまたサンフランシスコ響時代からの彼の十八番です。来年バンベルク響と来日するという真偽定かでない噂があります。うーん。

投稿: ねこたろう | 2010年4月22日 (木) 01時53分

ねこたろう様
本当に名演でしたね!
そのわりに観客がおとなしかった気がしたのは、N響定期であり、そのせいかブルックナーとしては女性客が異様に多かったのと関係があるかもしれません。
5番の曲の構成については、これまでも多少読んだことがあるのですが、読んでも納得できずにいます。ちょっと時間をかけてじっくりと読むべきかもしれません。
そうは言いながら、5番はCDもかなり持っていますし、実演も何度も聞いています。問題は6番です。実は数回しか聞いたことがありません。ブロムシュテットが来日して演奏してくれることを期待して、少し予習しておきましょう。
ともあれ、ブロムシュテットがいつまでも元気でいてくれて、今のような溌剌としたスケールの大きい演奏をしてくれることを祈るばかりです。

投稿: | 2010年4月22日 (木) 10時14分

樋口さん、こんにちは。
私は今夜、サントリーホールに聴きに行きます。

レポートを読んで、ますます楽しみになりました。
いずれ私も、感想を自分のブログに書くと思いますので、機会があれば、ご笑読下さい。

投稿: ムーミンパパ | 2010年4月22日 (木) 12時26分

樋口さん、こんばんは。

2日目も圧倒的な名演でした。終楽章コラールはまさに神の領域。花束、いわゆる「一般参賀」あり。楽団員さんもいい顔してました。

N響とはしばらく共演がなさそうです。残念ですが・・・。

ブロムシュテットは来月にもゲヴァントハウス管、コンセルトヘボウ管と「5番」をやります。

名誉指揮者も務めるゲヴァントハウス管とは録音も進んでおり、このままのペースで行けば、分売ですが、2013年頃には全集が完成されるかもしれません。マエストロはゲヴァントハウス管団員から「敬愛」されているそうであります。

マエストロ・ブロムシュテットはヴァント亡き後、最高のブルックナー指揮者といってもよいのではないでしょうか。

蛇足ですが・・・

録音進行状況
3番 LGO ライブ BOXのうちの1枚
4番 SKD スタジオ 広く知られた名盤
6番 SFSO スタジオ(DECCA)
   LGO ライブ
7番 SKD スタジオ 広く知られた名盤
   LGO ライブ
8番 LGO ライブ LGO退任記念公演
9番 LGO スタジオ(DECCA) 録音が薄く評判悪

初期の交響曲と5・9番は、何としても録音してほしいところであります。

投稿: ねこたろう | 2010年4月22日 (木) 22時26分

ムーミンパパ様
ブログ拝見しました。演奏の素晴らしさが伝わってきました。
「ねこたろう」さんのように、両日とも聴くべきだった!と強く思いました。もしかしたら、二日目のほうが、終楽章はよかったのでしょうか。前日も途方もなく素晴らしかったんですねど。
ともあれ、次の機会、そして、録音が楽しみです。

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月23日 (金) 12時53分

樋口さん、ねこたろうさん、こんにちは。
昨夜、感動して帰って来ました。かんたんな感想を、ブログにしたためました。よろしければご笑読下さい。
ブログにもありますが、どうも座席の位置が悪かったように思います。聴きながら思わず、昨年秋のバンベルク響についての樋口さんの記事を思い出してしまいました。

それでも耳が慣れて来たのか、楽章が進むにつれて響きも良くなり、フィナーレでは圧倒的な盛り上がりが感じられました。

また、どこかでこんな名演を、聴いてみたいものです。

投稿: ムーミンパパ | 2010年4月23日 (金) 12時54分

ねこたろう様
情報ありがとうございます。
私の両日とも行きたかった!と強く思いました。
まさしく、ヴァント亡き後の最大のブルックナー指揮者だと思います。なんだか、そのわりに評論家たちの評価が低いように思いますが。海外にまで聴きに行きたい気持ちになりました。
録音、本当に楽しみです。

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月23日 (金) 12時55分

樋口さん、こんばんは。

両日共に圧倒的な名演奏でした。
2日連続で行くと、こちらの集中力が落ちてしまうというデメリットもありますから、初日だけで十分だったと思いますよ。

ブロムシュテット&N響の長い長い関係も素晴らしいものです。N響からあれほど重厚なサウンドを引き出せるのは、いまや彼だけとなりました。

投稿: ねこたろう | 2010年4月23日 (金) 22時02分

ムーミンパパ様
座席の位置、かなり大事な要素ですね。2階の張り出した下は最悪ですよね。が、それでも最後には納得させるところが、ブロムシュテットだと思います。
私もこれまで何度か悲惨な目にあったことがあります。最近は気をつけていますが、それでも時々困ったことになります。
ともあれ、次のブロムシュテットを期待しましょう!

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月25日 (日) 08時40分

ねこたろう様
私は、オペラのダブルキャストの場合を除いて、同じ演目を二度聴きにいったことはありません。時々、二度聴きたいと思うこともあるのですが、忙しい中、やっと時間を工面して一度言っている状況ですので、なかなか難しいようです。
両方聴いた方に「初日だけで十分」といってもらえると安心します。
大巨匠ブロムシュテットをしばらく追いかけたいと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月25日 (日) 08時44分

樋口さん、はじめまして。
ブログを拝読して当日の熱気がよみがえってきました。
私は、定期的にクラシック・コンサートに通おうと決めて、まだ1年ぐらいのものですが、実演でこれほど、CDではない音楽を体験できたのは初めてです。私もブル5が大好きになりました。

投稿: b_flat7 | 2010年4月26日 (月) 01時19分

樋口さん、こんにちは。

ティーレマンのブル8の際に投稿させていただいた、ブルックナー患者です。

今回僕は、FMの生放送を耳にしたのですが、期待に違わぬ素晴らしい演奏でしたね。
N響が、ブロムシュテット指揮のもとで質実剛健に響くのに驚き、全曲あっという間に聴き通してしまいました。
ブルックナーは、この第5交響曲を本当に死ぬような思いで書いたといわれますが、まさに、楽譜に込められた力が滾々と湧き上がってくるような印象を覚えました。

大巨匠ブロムシュテット、今度は6月に、なんとベルリン・フィルを振って「第6交響曲」を演奏するようです。
ベルリンの聴衆が羨ましいです・・・。

投稿: ブルックナー患者 | 2010年4月26日 (月) 08時50分

b_flat様
コメント、ありがとうございます。
ブロムシュテットはホール全体をブルックナーの世界に変えてしまいましたね。それは絶対にCDでは味わえないことだと思います。しかも、感動して観客全体が一体感を持つことがあります。それもいいですね。
実は私は、5年ほど前まで、夜、予備校で教えることが多かったので、コンサートにあまり足を運べませんでした。悔しい思いをしながら、休みの日のコンサートを選ぶしかありませんでした。今、やっと夜も出かけられるようになって、時間の許す限り、実演を聴きに行っているわけです。
また、魂の震える感動を味わいたいですね。
ブログ、拝見しました。音楽と古文書の取り合わせがとてもおもしろいですね。またのぞかせてもらいます。

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月27日 (火) 08時01分

ブルックナー患者様
お久しぶりですね。中学生のブルックナー好きさんでしたね。
そうですね。当日、N響がこんなに素晴らしいオケだったのだと再認識させられました。テレビ録画もやっていたようですので、そのうち放送されると思います。
ブロムシュテットを追いかけて、ヨーロッパに行くことはできないかと、ちょっと考えているのですが、今の仕事の状況では難しそうです。中学生だったら、なおのこと、それは難しいですよね。

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月27日 (火) 08時06分

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