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BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)の『マタイ受難曲』

 今日、4月3日、彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの『マタイ受難曲』を聴いた。指揮は鈴木雅明。エヴァンゲリストはクリストフ・ゲンツ。

 期待通りの、BCJの実力のほどを示す演奏だった。世界有数のバッハ演奏だと思う。

 ただ、私はいつもオケと合唱には満足なのだが、独唱陣にやや不満を覚える。ソプラノのレイチェル・ニコルズや松井亜希、アルトのアリアンネ・ベアーテ・キーラントは安定しているが、感動的な歌唱には至っていない。バスのドミニク・ヴェルナーは、ちょっと不安定。意味なくがなりたてる傾向があるのが気になる。日本人歌手陣は、音程が怪しかったり、声が伸びなったり。

 そのなかで、エヴァンゲリストのゲンツはさすが。フォーマルでなく、カジュアルな歌いまわし。はじめは抵抗を感じたが、聞いているうちに違和感はなくなった。

 何はともあれ、独唱に不満は残っても、全体のレベルはかなり高い。『マタイ』に感動するにはまったく不足はない。日本で日常的にこのレベルのバッハが聴けるようになったというのは、20年前からは考えられない!

 500人以下の規模のホールで『マタイ』を聴くのは実に贅沢。残念ながら、私はドイツ語はまったくわからないが、テキストを見ながら聞くと、言葉がはっきり聞き取れる! 古楽器なので音が小さいのに、楽器の音色もはっきりと伝わる。

 それにしても、改めて『マタイ』の素晴らしさに驚嘆。何と素晴らしい曲だ! 前半もいいが、第二部のすべてのアリアに感動!

 ところで、数日前に、中国におけるキリスト教宣教について研究している知的生産の技術研究会の八木哲郎会長と話をして、ふと、幕末から明治にかけて、キリスト教会が日本の近代化に果たした役割は非常に大きかったのではないかと思い始めた。それについて調べてみたい気になって、今、本を集めている。

 私自身のことを思い出してみる。私は子どものころから、かなり西洋かぶれだった。小学生のころから、ルパンやホームズの本を大好きで、小学校5年生でクラシック音楽に目覚めた。現在、かなり日本回帰しているが、それでも好む芸術といえば、ほとんどが西洋のものだ。

 なぜ、そうなったのか。思い当たるのは、大分県日田市のカトリック系の幼稚園に行ったことだ。たしか聖母幼稚園という名称だったと思う。自宅のすぐ近くにあり、年上の従姉妹たちも通ったという理由で私もそこに通ったのだった。

 賛美歌らしいものを歌ったり、お祈りをした記憶がある。礼拝堂があって、キリスト像も聖母像もあった。神父さんのイエス様についての話も日常的に聞かされていた。そんな中で西洋的な考えを当然と思い、クラシック音楽にも抵抗がなかった。九州の田舎に住みながら、西洋文化を受容していった。

 そのようなことが明治以降、日本中で起こったのではなかったか。そのわりには、そのような歴史について、あまり語られていないような気がする。私自身の人生を振り返るためにも、ちょっと真剣にこのことを調べてみたい。そもそも、日本中に一体いくつのキリスト教の幼稚園があるのか。幼稚園と教会はどのような関係になっているのか。それも含めて少し調べてみたい。

 昨日は、『パルジファル』、今日は『マタイ』。二日連続で宗教的な音楽を聞いて、ついキリスト教に思いを馳せてしまったようだ。

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