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ブレッソンの映画『抵抗』と、ブルーレイ・レコーダのこと

 岩波ホールで、ロベール・ブレッソン監督の映画『抵抗 死刑囚の手記より』を見てきた。1957年のモノクロ映画。ブレッソンの初期の映画だ。

 実を言うと、私はブレッソンが苦手だ。映画学を専攻している学生のころ、玄人好みとして知られるブレッソンの映画を大きな声でつまらないと口にするのは憚られた。が、どうにも辛かった。『スリ』『田舎司祭の日記』『バルタザールどこへ行く』『少女ムシェット』『白夜』『ラルジャン』などを見たが、マーラーを聴く時と同じように、不快感が募り、退屈で仕方がなかった。

 登場人物たちの生真面目さ、不思議な倫理観、しなやかさのないぎくしゃくした肢体の動きが不快なのだ。みんな真面目な顔をして、真面目に行動し、私にしてみれば実につまらないことで本気に悩んでおり、おもしろくもないことが起こり続け、何事もなく終わってしまう。

 そんなわけで、ごく初期の作品はどうだったのか確かめたくて、岩波ホールに足を運んだ。

 レジスタンス時代のフランス。ナチスに捉えられたフランスの中尉が車から脱出しようとするところから始まるが、捕らえられて監獄に入れられ、その後、ずっとそこから脱獄しようと工夫する場面が続く。1時間半ほどの間、中尉が脱獄計画を立て、そのための器具を作るところに付き合わされる。

 ナチスの目を盗んでの行為なので、息詰まるようなサスペンスではある。しかも、ずっと生真面目で、遊びが一切なく、娯楽的要素もない。囚人仲間と連絡を取る様子は語られるが、ただひたすら、生真面目。そして、脱獄までが事細かに語られるだけ。

 はっきり言って、やはり好きな映画監督ではない。人生の深みを映画の中に感じない。思想も感じない。脱獄の詳細に付き合わされるのはかなわんと思った。

 私は、子どものころから工作が大の苦手で、現在も安売り店で買った家具の組み立てに苦労するほど。緻密な手作業を自分でしないだけでなく、それをしている人を見るだけでもイライラしてくる。

 私がブレッソンが嫌いな理由はそれだと思い当たった。主人公の緻密で几帳面なこと! そして、それを撮るブレッソンの几帳面なこと! やはり、この人の映画は生理的に受け付けない。

 ところで、別の話だが、昨日、ブルーレイ・レコーダを買った。特に画面の美しさにはこだわらないので、DVDで十分だと思っていたのだが、事情が変わった。

 というのは、前にも書いたとおり、ヴァレンシア歌劇場で行われたワーグナーの『リング』4部作上演の最初の2作『ラインの黄金』と『ワルキューレ』の映像に感動したのだった。その続きの『ジークフリート』のDVDを買おうとしていたのだが、いつまで待っても、タワーレコードにDVDが並ばない。『神々の黄昏』のDVDは売られているのだが、『ジークフリート』はブルーレイしかない。『ジークフリート』を抜かして先に『神々の黄昏』を見てもいいのだが、やはり順番に見ていきたい。

 もしかしたら、ブルーレイを買わせようという陰謀ではないかと疑ったが、これを機会に買うのもいいだろうと思った。

「性能はともかく、誰でも使える一番簡単なのをくれ」と店員さんにきいたところ、シャープのBD-HDS43を奨められた。さすがに簡単にセットできた。東芝のDVDで苦労しまくったのがウソのよう。使いやすいの一番だ! 

 明日以降、気合を入れて、『ジークフリート』を見ることにしよう。

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コメント

樋口さん、こんばんは。

岩波ホール、私もよく利用します。「抵抗」は観ていませんが・・・。小さな映画館はいいですね。早稲田の松竹なんかも好きです。大学まで辿り着けない早稲田生が何人いた(いる)ことやら(笑)

今日からブロムシュテットがN響定期を振っています。(樋口さんがお嫌いな)マーラーの「9番」をやりましたが、大変素晴らしかったです。定期なのに拍手が鳴り止まず、ソロでよび出されていました。ブルックナー「5番」も期待できそうです。

来年、新進気鋭のハーディングが新日フィルとブルックナーの「8番」をやるそうですが、若年指揮者にあの大作は正直キビシイでしょうね。

投稿: ねこたろう | 2010年4月10日 (土) 22時27分

ねこたろう様
コメント、ありがとうございます。
ブロムシュテット、ついに始まりましたか。私は、ブルックナーのチケットは用意できました。17日のNHKホールも入手したのですが、この日、どうしても夜まで仕事を抜けられないことになってしまいました! 残念!!
ハーディングは何度か聴いて、とてもいい指揮者だと思いますが、ブルックナー8番は難しい気がしますね・・・

投稿: 樋口裕一 | 2010年4月11日 (日) 14時34分

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