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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日感想

 5月4日のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの最終日には、8つのコンサートを聴いた。そのまま家に帰り、先ほど目を覚ました。さすがに疲れた。が、こうしてハシゴすると、いろいろなことを考える。ショパンについてもかなりわかった気がした(明日にでも、少し考えをまとめてみよう)。

 ともあれ、昨日(5月4日)のコンサートについての簡単な感想をまとめる。

・竹澤恭子(ヴァイオリン)、江口玲(ピアノ)、メンデルスゾーン ヴァイオリンソナタ ヘ長調、ショパン「ノクターン」など

 ヴァイオリンソナタはすばらしかった。弓一杯を使ったダイナミックな動き。伸びやかで豊か。溌剌として、息もつかせない迫力。ピアノもよかった。ただ、ショパンの小曲は編曲が余りに情緒的。ちょっと辟易した。

 このあと、ショパンのピアノ曲全曲演奏の部屋で数曲聞いた。ジャン・フレデリック・ヌーブルジェのノクターン 作品37-2、アブデル・ラーマン・エル=バシャの「3つの新しい練習曲」、イド・バル=シャイのソナタ第2番「葬送」など。やはり、どうも私はショパンのピアノ曲は苦手だ。(なお、このコンサートは半分ほどしか聴いていないので、私の「制覇」したコンサートの数には含まない)

・イェウン・チェ(ヴァイオリン)、ウラル・フィル、リス指揮 メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」 ヴァイオリン協奏曲

 韓国の若い女性ヴァイオリニスト。見事な演奏だった。芯が強く、凛とした演奏。ぐいぐいと観客をひきつける。リスのダイナミックな指揮とまったく異質なのだが、それが妙に補い合って面白かった。メンデルスゾーンの音楽は甘ったるくなく、厳しくて多様な感情を含んだものであることをしっかりと感じさせる。私はこのヴァイオリニスト、大いに気に入った。

・ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ) パリ室内管弦楽団 ジョセフ・スウェンセン指揮 シューマン「序曲、スケルツォとフィナーレ」 チェロ協奏曲

 「序曲、スケルツォとフィナーレ」はシューマンの駄作だと思う。同じメロディを強迫観念的に繰り返し、発展がない。よくないときのシューマンの特徴だ。が、ウェスペルウェイが加わっての協奏曲はすばらしい。ウェスペルウェイは実に自由闊達。力がこもり、時には力を抜き、すばらしい。この曲はチェリストには不評だとよく聞く。弾きにくく、難しいわりに演奏効果がないと言う。が、今回の演奏にはそんな感じは微塵もなかった。

 指揮のスウェンセンは日系アメリカ人らしい。身振りが大きいが、「序曲、スケルツォとフィナーレ」の曲が駄作のせいか、よい印象は持たなかった。

・飯田みち代(ソプラノ) 守屋亜樹(ピアノ) ショパン「17のポーランドの歌より」、シューマン「女の愛と生涯」

 飯田さんよりも声のきれいな人はたくさんいる。声の処理をきれいにできる人もたくさんいる。が、飯田さんほど人を感動させる人は少ない。マリア・カラスにも似た歌の演技力とでもいうか。

 ショパンの歌曲を初めて聴いたが、素朴なメロディで、しかも歌詞は田園を歌うものばかり・ショパンがポーランドの田舎者であること、彼の母語がもごもごいう感じ(東北訛りに似た感じがする)のポーランド語であることを再認識。なんだか、ショパンの正体がわかった気がした。シューマンでは涙が出てきた。ピアノ伴奏も実にきれいで的確。若いピアニストなのに、しっかりと飯田さんをサポートしている。

・「ルネ・マルタンのク・ド・クール(ハート直撃コンサート)」と題されたコンサート。 オルガ・ベレチャツコ(ソプラノ)、レジス・パスキエ(ヴァイオリン)、ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)、アダム・ラルーム(ピアノ)、ヤン・ルヴィノワ(チェロ)

 名人たちが次々と出てきて、名演奏を披露してくれた。パスキエは昔から有名な名人だが、ベレゾフスキーはまだ若く、それ以外は「駆け出し」。それなのに、みんな素晴らしい。ソプラノのベレチャツコはあまりにすごい。美しい声、完璧なテクニック。すごいメンバー。20歳そこそこのアダム・ラルームと10代のヤン・ルヴィノワにも驚いた。

・梁美沙(ヴァイオリン)、松本望(ピアノ) シューマン ヴァイオリンソナタ第1番・2番

 力感溢れる演奏。小柄な女性二人なのに、その力の強さと動きに圧倒された。客をぐいぐいと弾きつけ、シューマンの世界に引き込んでいく。ただ、ちょっと落ち着きがない。ずっと動き続け、流動し続ける。もっとじっくりと音楽を聴きたいと思わないでもないが、これはこれで素晴らしい。ただ、2番のソナタ、実は私はやや苦手な曲だ。第1楽章と第4楽章、シューマンの良くない癖(精神が病んだ時の癖なのか?)で、同じことをしつこく繰り返す。全力演奏なだけに、シューマンのおかしな部分に私は付き合いきれない気分になった。

・ラルーム(ピアノ)、ルヴィノワ(チェロ) ショパン 序奏と華麗なるポロネーズ、チェロ・ソナタ 

 「ルネ・マルタンのク・ド・クール」でショパンのチェロ・ソナタの第3楽章を聴かせてくれて、とても良かったので期待した。が、期待はずれだった。若い二人に任せてデュオをさせてはいけない。一人一人の力量は素晴らしい。が、こんな20歳前後の若い二人が一緒に演奏すると、頑張りあい、必死に力を出し合う形になる。音楽性がなくなり、ただただ頑張っているだけ。ベテランと共演して、もう少し音楽性を高めてから、二人のデュオに取り組んでほしい。

・ショパンの葬送 ミュラー=ペリエ(ソプラノ)、ボナール(アルト)、アインホルン(テノール)、ハーヴェイ(バリトン) モーツァルト「レクイエム」など

 鈴木優人のオルガンでオルガンに編曲された前奏曲を2曲と、オーケストラ編曲のショパンのピアノ・ソナタより「葬送行進曲」。そして、最後に、「パウロ」と同じメンバーによるモーツァルトの「レクイエム」

 聞いている私の精神状態(さすがに疲れた!)や席(5000人以上入るAホールの最も右の列)に原因があるのかもしれないが、前半、ちょっと雑な印象を受けた。コルボにしては珍しく、オケと合唱がかみ合わず、びしっと決まらない。柔らかくてしっかりとした音が聞こえてこない。が、後半よくなった。独唱陣も充実、最終的にはレクイエムの世界を堪能させてくれた。

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コメント

 はじめまして、こんにちは。
私も飯田さんの声には何か無条件に惹き付けられるものがありました。
ちなみにピアノは確か守屋さんという方でしたよ。

投稿: saane | 2010年5月 7日 (金) 17時06分

saane様
ご指摘ありがとうございます!!
守屋さんにはサインまでもらったのでした! それなのに、名前を間違えて、本当に失礼をしてしまいました。面目ありません。ブログを書いたとき、手もとにあった資料を見たのですが、それが古いものだったようです。本文はすでに訂正しました。
それにしても、守屋亜樹さんのピアノは見事でした。輪郭がはっきりしていて、しっかりと音楽の世界を作り出していると思いました。

投稿: 樋口裕一 | 2010年5月 7日 (金) 23時23分

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