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『ローエングリン』の新しいDVDは素晴らしい!

747  昨日、大学の仕事やゼミ生との懇親会で疲れきったので、今日は、原稿を書くのはほどほどにして、DVDを見て、できるだけ休息を心がけた。ケント・ナガノ指揮、ミュンヘン州立劇場の『ローエングリン』のDVDを見た。

 ケント・ナガノの『ローエングリン』の映像といえば、レーンホフ演出、クラウス・フロリアン・フォークトのタイトルロールのバーデンバーデンのものがあったが、今回見たDVDは、音楽的にはそれ以上のレベルだと思う。これまでの映像の中で最も感動的かも。

 ローエングリンを歌うヨナス・カウフマンが圧倒的! 強靭で輝きのある美声。久しぶりにテノールの声に酔った。先日、テレビで放送された『カルメン』のドン・ホセも良かったが、それよりも格段に感動的。エルザを歌うアニア・ハルテロスも素晴らしい。強い声で堂々と歌って、カウフマンに引けをとらない。

 悪漢二人組もすごい迫力。オルトルートのミヒャエラ・シュスターは、先日のウルフ・シルマー指揮、N響の『パルジファル』でクンドリを歌った歌手だが、そのときの迫力を思い出した。不気味でふてぶてしい演技も見事。テルラムントを歌うヴォルフガング・コッホも狂気じみた迫力がある。正義の二人と悪漢二人がともにがっぷり四つに組んでいる。国王役のクリストフ・フィシェッサーも実に立派。

 そして、何といってもケント・ナガノの指揮が、鋭利でありながら官能的で、ドラマティック。申し分ないと思った。ぐいぐいとドラマを引っ張っていく。まったく飽きるところがなかった。

 ただ演出(リチャード・ジョーンズ)については、納得できないところだらけ。第一幕では民衆が家を建てており、それがローエングリンとエルザの家になり、ローエングリンはエルザとの別れを覚悟した後、その家に放火する。二人の幸せと不幸をいうだけのためにこんな設定をしているとすれば、あまりにつまらない。ほかに何か象徴的な意味でもあるのか。そして、なぜ、ローエングリンはジーンズにTシャツ姿なのか。レーンホフの演出もよくわからなかったが、これはそれ以上に意味不明。

 ただ、歌手たちがそれほど意味不明の行動をたくさんしないので、それほど気が散らない点ではありがたかった。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

先生、こんばんは。
私、カウフマンが大好きなんです!!
昨年の夏、ウィーン国立歌劇場のCDショップ「アルカディア」のとても親切な店長さんに、ドイツオペラのCDをなにか薦めて?とお願いしたとき、迷わず薦めてくれたのがカウフマンのアリア集(アバド)でした。(フリードリヒの霧の海のさすらい人のパロディのジャケットがステキ)
そのあと、美しき水車小屋の娘、これは何度聴いたことでしょう。

なのにまだ、このDVDは観ていません ( ̄Д ̄;;
今年またローエングリンでバイロイトデビューするようですね。
ワグナーだけでなく、カウフマンのイタリアものならトスカの血まみれマリオ役も好きですが、来年メトのドンカルロで来日するので、絶対に行こうと思ってます。

それから、私のお気に入りは戦後60年目に奇跡の再建をはたしたドレスデン聖母教会でのクリスマスコンサート、O Holly Nightを歌うカウフマンです。
U Tubeで何度も観ています。
http://www.youtube.com/watch?v=qBJObglpL9A&playnext_from=TL&videos=r0I1D_teQNI

なによりこのローエングリンは絶対観ようと思います!

投稿: Tamaki | 2010年5月30日 (日) 00時11分

Tamaki様
カウフマン、youtubuすごいと思いました。さっそく、お薦めのCDを買って聴いているところです。アバド伴奏のアリア集、素晴らしいですね。不世出の大テノール、フリッツ・ヴンダーリヒの美声と知性、ルネ・コロの強靭さを兼ね備えているように思います。久しぶりに、こんなテノールを聞きます。
昨日のウィーン響+ルイジ+五嶋龍の感想をお聞かせください。

投稿: 樋口裕一 | 2010年5月31日 (月) 10時40分

樋口先生

ヴィンダーリヒ、じっくり聴いたことがないのですが、魔笛タミーノ役の「レコード」が母のところにありました。今度CDで買い直してみます。
昨日の感想は、ルイジのところへコメントいたしました。

投稿: Tamaki | 2010年6月 1日 (火) 00時34分

Tamaki様
カウフマンのオペラアリア集2枚、聴き終えました。ワーグナーはもちろん、イタリアものもいいですね! 間違いなく今、最高のテノールだと思います。
ヴンダーリヒ、是非聴いてみてください。私の知る限り、史上最高のテノールだと思っています。もちろん、ナマは聞いていませんが。彼の事故の報を聞いてショックだったことを覚えています。ワーグナーはほとんど歌っていませんが、モーツァルトなどのオペラ、『詩人の恋』などの歌曲はうっとりするほどです。知的なのにまったくわざとらしくなく、声は最高にきれいで輝かしく、声の演技も最高だと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2010年6月 1日 (火) 20時38分

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