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ウィーン・シェーンブルン宮殿歌劇場の「こうもり」を十分に楽しんだ

 67日、武蔵野市民文化会館でウィーン・シェーンブルン宮殿歌劇場公演「こうもり」を見た。それなりにおもしろかった。

 難をいえばきりがない。まず、オーケストラがよくない。貧弱な音がする。6拍のはずなのに7拍に聞こえたところもあった。指揮のトーマス・ベッチャーもうまくない。歌手たちと音がずれるところが、何度もあった。びしっとあっているところのほうが少なかった。プログラムを買ったが、そこにこの指揮者の名前がない。もしかすると、本来の指揮者ではないのかも。演出も、かなりありきたり。

 だが、歌手たちは、かなりのレベルだった。アイゼンシュタインのペーター・エーデルマン、ロザリンデのエリザベート・フレッテル、オルロフスキーのエリザベート・ラング、アデーレのアハイディ・ヴォルフがかなりいい。このくらい歌ってくれれば文句はない。十分にヨハン・シュトラウスの歌に酔うことができる。

 いやはや、やはり「こうもり」は楽しい。大傑作だと思う。私の大好きなオペレッタだ。中学生のころから、カラヤン指揮、フィルハーモニア管弦楽団のレコードを楽しんでいた。とりわけ、ロザリンデを歌うシュヴァルツコップに感動したものだ。

 ところで、ペーター・エーデルマンは往年の名歌手オットー・エーデルマンの息子だと、どこかで読んだ記憶がある。私は、オットー・エーデルマンが大好きだった。フルトヴェングラーのバイロイトの第九、レポレッロ、ドン・ピツァロ、カラヤン指揮のオックス男爵などを歌っている。私は特にドン・ピツァロとオックスが好きだった。その息子さんが今歌っていることに、ある種の感慨を覚える。

 

 ただ、日本語をたくさんいれて客の笑いを取ろうとするのはいかがなものか。オペレッタだから、硬いことを言わずに楽しめばいいといえば、その通りだが、ちょっと安易すぎる。むしろ、若者言葉でいわれる「痛い」という感覚を覚えてしまう。もう少し、音楽そのもの、歌手たちの芸そのもので勝負してほしかった。

 そのような雰囲気のためかもしれないが、演奏中におしゃべりしたり、バッグのファスナーを開け閉めしたり、携帯をつけたりする客が多かった。

 とはいえ、ヨーロッパのオペラハウスの日常的な上演というのは、きっとこのようなレベルなのだろう。超一流ではないにせよ、十分に満足して帰れた。

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コメント

オットー・エーデルマンは録音だけじゃなくて「バラの騎士」や「ドンジョヴァンニ」をLD時代から見てるので息子が活躍してるのは感慨深いですね。

http://www.youtube.com/watch?v=E0TlK3-9fV0


youtubeにペーター・エーデルマンの「こうもり」に上がってます。
言われてみると顔は父親とあまり似てないのに、声はそっくり・・・やっぱDNAですね。
演技も上手いしなかなかいい歌手です。
これならもしウォルフガング・ヴィントガッセンやルネ・コロにテノール歌手の息子がいたらかなり期待できそうですねw

投稿: k | 2010年6月 8日 (火) 07時50分

k様
情報、ありがとうございます。さっそく、youtube見ました。とてもいい歌声ですね。
ヴィントガッセンやコロやホッターの息子がいるといいのですが・・・。でも、二代続けての名歌手というのはあまり記憶にないですね。エーデルマンは珍しい例かもしれません。
『ドン・ジョヴァンニ』はLDだけですが、カラヤン、ザルツブルグの「ばらの騎士」は、ベータもVHSもLDも持っていました。最初に見たのは、「映画会」でした。大感激したのを昨日のことのように覚えています。
ついでに言いますと、「マイスタージンガー」の映像を最初に見たのは、紀伊国屋のホールでした。今DVDで発売されているレオポルド・ルードヴィヒ指揮、ハンブルクのもので、日本語字幕はなく、休憩もまったくなしで、4時間ぶっ続けて硬い椅子に座ってみたのを覚えています。それでも、大感激しました!
日本にいながら実演を見ることができ、上質な映像ソフトもふんだんに見られる今は、当時からすると夢のようです。

投稿: 樋口裕一 | 2010年6月 8日 (火) 22時44分

樋口先生、いつもブログ楽しみにしています。
私は10日@オーチャードホールに行きました。
こちらの会場では、はじめてオペラ(オペラッタ)を見にくる人が多かったようです。おめかしした高校生や新入社員と思しき団体さんなど。何故かマナーは良かったです。私の周囲がそうだっただけかもしれませんが。
会場の盛り上がり方からして、みなさん満足して帰られたようです。
私は正直たのしめなかたのですが、これを機会にオペラが好きになる人が多くなるといいなぁと思いました。

話はそれますが・・・・

会場で来年のNBSのフィレンツェとバイエルンのチラシが配られてました。キャストものってました。
バイエルンは、ローエングリンがヨナス・カウフマン、エミリーマギー、マイヤー(!)。デヴェリューがグルベローヴァ、ガナッシ。ナクソス島がカーセン演出。全部見たいです。

来年はゲルギエフのマリンスキー、MET、フローレスの清教徒などの引越し公演が目白押し。新国のラインナップも魅力的。

倉が一つ潰れるのは必至の情勢です。

日本はオペラに関しては恵まれた環境にあると思いますが、
来年は嬉しすぎる悲鳴を上げてしまいそうです。

投稿: BRIO | 2010年6月13日 (日) 09時06分

BRIO様
コメント、ありがとうございます。
読ませていただいて、えっ! と驚きました。
今日の午後、藤原歌劇団の「タンクレディ」を見たのですが、確かに、そのチラシをもらいました。
本当にすごいですね! カウフマン、マギー、マイヤーと聞けば、それだけでわくわくしますね。ナクソスも期待できそう。
おっしゃるとおり、かなりのお金がかかりそうです。こまったもんです。
「こうもり」、あの演出で、確かに多くの客をひきつけたかもしれませんね。

投稿: 樋口裕一 | 2010年6月13日 (日) 22時14分

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