デ・ブルゴスのブラームスは圧巻
6月29日、サントリーホールで、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮、読売日本交響楽団のブラームスの交響曲第3番と第1番を聴いてきた。素晴らしい演奏だった。
第3番については、実はほんのちょっとだけ不満を感じた。第1楽章は素晴らしかった。が、第3楽章と第4楽章については、もうちょっとロマンティックにやっていいのではないかと思った。とりわけ、第4楽章の最後、もう少しねちっこくやってくれないと、さりげなく終わりすぎてしまう。が、もちろん、あまりしつこい味付けをしないのが、デ・ブルゴスの持ち味なのだろう。
少しだけ不満だったとはいえ、もちろん、デ・ブルゴスの正統的でどっしりしたブラームスの世界を堪能できた。
第1番は、最初から最後まで、大満足。音のうねり、弦の重なりなど、本当に素晴らしかった。デ・ブルゴスは特になにかをしているわけではないだろう。だが、本物のブラームスの音がした。読響、たいしたものだと思った。第4楽章は、ひたすら音の重なりに酔った。それにしても、改めてブラームスのロマンティックでありながらも、しっかりと構成された音楽の力に圧倒された。
これまで、1階の中央や2階の前のほうで聴くことが多かった。久しぶりに、1階の前のほうで聴いた。チケットを申し込むのが遅くなって、ほかの席が手に入らなかったためだが、弦の音がよく聞こえて、とてもよかった。上手でないオケを前方の席で聞くと、アラが耳に入るものだが、今日はそれをまったく感じなかった。ヴィオラの音の見事さに、改めて感心した。
ヴィオラの鈴木康浩さんの音と顔の表情がとてもおもしろかった。出そうとしている音が顔の表情にしっかりと表れている。そして、確かにそのような音が出ている! なるほど、オケのメンバーはこのような気持ちで演奏しているのかととてもよくわかる。顔の表情には表れなくても、ほかの人もきっと同じような気持ちで演奏しているのだろう。
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスは現代を代表する大指揮者の一人だと思った。
テレビでサッカー、ワールドカップの日本の試合が始まった。しばらく見ることにしよう。
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