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ヒラリー・ハーンのヴァイオリンに魂が震えた!

 6月2日、サントリーホールで、エサ=ペッカ・サロネン指揮、フィルハーモニア管弦楽団の演奏を聴いてきた。前半は、サロネン作曲の「へリックス」と、ヒラリー・ハーンが加わってのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。

「へリックス」については、何とも言えない。私は現代音楽をあまり聴かなくなって30年ほどたつので、現代音楽の語法に習熟していない。「さっさと終わって、早くチャイコフスキーが始まらないかなあ」と思っていたことを告白しておこう。

 ヒラリー・ハーンのチャイコンについて、予想していた通りの演奏。チャイコフスキーらしい濃厚で哀愁にあふれた情緒は皆無。クリスタルのように透明で、冷ややかで凛とした演奏。透徹した美しさにあふれている。が、そこに気品にあふれる情熱がある。チャイコフスキーの演奏にありがちな下卑たところがまったくない。

 そうでありながら、十分に盛り上がる。本当のことを言うと、もっと盛り上がってほしかった。シベリウスのCDはもっともっと盛り上がる。が、チャイコフスキーの協奏曲は、シベリウスほどハーンのヴァイオリンを盛り上げるようにはできていないと思った。

 オケはしばしばどのように伴奏してよいのかわからないような様子が見えた。やはり、オケはときどきチェイコフスキー的な「浪花節」になってしまう。楽譜にそう書いてあるのだから、仕方がないだろう。ヴァイオリンソロとの違和感があった。

 ハーンのソロのアンコールが見事。イザイの「メランコリア」とバッハのパルティータ3番の「ジーグ」。バッハの凄まじさ! 透明な音で、鋭く美しく、ゆったりと弾く。それだけで音楽の神が舞い降りる!!

 後半はシベリウスの交響曲第二番。これも素晴らしかった。一昨日の「幻想」ほど疾風怒濤ではなく、まとまりがよく、求心的。が、十分にエネルギッシュで力感にあふれ、音が緊密で、大きくうねる。早いパッセージもオケはカンペキについてくる。サロネンは全体を完璧に把握しつつ、味の濃い、緊密な音の空間を作り上げていく。終楽章の盛り上がりは素晴らしかった。

 私はこの曲をナマで聴いたのは、もしかしたら20年ぶりくらいかもしれない。学生のころ、何度か聴いた記憶があるが、その後、この曲を目当てにコンサートに足を運んだことはなかった。今回、たまたまヒラリー・ハーンを目当てにチケットを買ったのだった。だが、改めて聞くと、なんと不思議な曲だと思った。切れ切れの楽想が少しずつまとまっていく、それがだんだんと形を成していく。聴いているものはだんだんと興奮していく。

 アンコールは、「ペレアスとメリザンド」と「カレリア」の「行進曲ふうに」。いずれも見事。とりわけ、「行進曲ふうに」の盛り上がりは素晴らしい。

 ともあれ、満足。

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