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東京都交響楽団 コンサートオペラ『売られた花嫁』

 7月18サントリーホールで、東京都交響楽団によるスメタナのオペラ『売られた花嫁』(セミステージ形式)を見た。ほぼ満足。

 指揮はレオシュ・スワロフスキー。もちろん、悪くない。決まるところは決まっている。が、歌手たちと微妙に合っていないように思えた。それに、ときどき、オケに力が入るために、音が大きくなりすぎて、歌手の声をオケがかき消してしまう。リハーサルが不足していたのではあるまいか。

 イェニークを歌うルドヴィト・ルドゥハは、はじめのうちは低音の音程が不安定だったが、後半、かなり聞かせてくれた。マジェンカのアドリアナ・コフートコヴァーは、かなり安定しているが、大喝采する気持ちにはならなかった。あと少し、爆発力がほしい。ケツァルのヤーン・ガラは不調だったのか、低音が伸びなかった。音程も怪しかった。もっと自在に歌って道化ぶりを示してほしかった。

 とはいえ、これは気軽に見るオペラ。歌手が超一流である必要はない。そもそも、「実は親子だった」というありがちなオチで、しかも初めからそれが読める筋立て。そんなものとして楽しむのが、大人の楽しみ方だ。そうした楽しみには十分だった。チェコ人による歌手たちは全体的に実に見事。朝岡聡さんがナビゲーターをしたが、うまい導入だった。

 ただ、ちょっと気になったのは、ダンスのシーン。カンカン踊り風の叫びが入り、カラーライトがついて、まるでナイトクラブのような演出だったが、そうなると、このオペラの持ち味である土臭い民族性がどこかに行ってしまう。

 休憩時間に、このオペラの字幕のオリジナルを提供しておられる(のだと思う)関根日出男先生にお会いして、少し話した。ヤナーチェクの権威であり、チェコ文学の権威だ。先生は、第三幕のカット部分を気にしておられた。確かに、サーカスの一座の人々が出てこないのは寂しい。

 いずれにしても、イタリアやドイツの定番オペラだけでなく、このような珍しいオペラも是非、上演してほしい。定番オペラを超一流の上演で見るのだけが、オペラの楽しみではない。そのことを、今日、改めて思った。

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