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フィルハルモニア多摩に興奮!

 数日前、多摩フィルハルモニア協会から、フィルハルモニア多摩の第六回定期演奏会の招待状が届いた。私たち(多摩大、樋口ゼミ)が8月に行うコンサートのチラシを配布物の中に混ぜてもらいたいという下心もあって、軽い気持ちで聴きに行った。多摩地区のちょっとしたアマチュアオーケストラだろうと思っていた。それにしては、前半が『ダフニスとクロエ』第二組曲とベルリオーズの『夏の夜』、後半がなんとプーランクの『グローリア』という演奏曲目がアマチュアらしからぬとは思っていた。指揮は今村能。名前に覚えがあったが、詳しいことは知らない。

 ところが、最初の一音が出てきたときから、あっと驚いた。アマチュアどころではない。しなやかで強靭な音。まさしくラヴェルの精妙な音がしっかり出ている。今村さんの指揮も、ドラマティックに盛り上げながらも、ラヴェルの知性と上品さを失わない。管楽器、とりわけフルートの美しさにうっとりした。合唱も見事。

「一体、この人たちは何者なんだ?!」と思った。私の知らないオケがこんな見事な演奏をするとは、予想もしていなかった。国立音大OBを中心にしたメンバーで、コンサートマスターの西田博さんは元東京交響楽団のコンサートマスターだとのこと。納得。アマチュアではない。まさしくプロのオケといってまちがいない!

 秋山理恵さんのソプラノ独唱が加わって、『夏の夜』。出だしは、独唱とオケのテンポが合わなかった。が、徐々に調子が上がってきた。秋山さんの軽やかな声が心地よい。ただ、私はこの曲をジェシー・ノーマンの重く深い声で覚えたので、あまりの違いに頭の中で調整するのが大変だった。

 何よりもすごいと思ったのは、後半の『グローリア』だ。プーランクの宗教曲は難しい。生真面目すぎるとプーランクの軽妙さが出ない。軽妙にやってしまうと、敬虔な深みが出ない。軽く演奏しながらも、そこに深く内省的な信仰心がなければならない。今村さんの指揮は、その点で私には理想的だった。音の集中力が素晴らしく、しかもしなやかさを失わない。それについていくオケも見事。前半を聞いた時点ですばらしいと思っていたが、後半を聞いて、心の奥から感動した。秋山さんのソプラノも、私は「夏の夜」よりも素直に感動した。

「私が生活し、勤め先もある多摩地区にこんなに素晴らしいオーケストラがあったんだ!」と遅ればせながら初めて知って、ちょっと興奮。多摩大学は、多摩地区の活性化をめざしてさまざまなプロジェクトを行っている。その一環として、多摩という名前を冠したオーケストラと、私たちの多摩大学が手を取り合って、もっと多くの人に素晴らしいクラシック音楽を提供する役割を果たせたら、どんなに素晴らしいことか。そんなことを空想した。

 帰りに、指揮者の今村さんと少し話をした。感動を伝えた。

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