モスクワ2日目
ツアーの予定ではモスクワ市内を見物し、クレムリンに行く予定だったが、宗教行事のためにクレムリンが閉鎖されたので、セリギエフ・パッサートに行った。モスクワからバスで1時間半ほどのところにある修道院。ウスペンスキー大聖堂をはじめ、いくつもの建物からなっている。
手元に本がないので確かめられないが、「カラマーゾフの兄弟」は修道院の場面から始まったという記憶がある。本を読んで想像していたのは、日本の寺院の中の一つのお堂のような建物だった。とりわけゾシマ長老の暮らすのは、牢獄のような狭い部屋だと思っていた。ソ連映画の「カラマーゾフの兄弟」を見て、壮麗な修道院に驚いたのだった。
今日、ロシアの修道院を見て、改めて規模の大きさ、色の派手さに驚いた。金色や水色の巨大な葱坊主のような屋根を持つ教会がそびえ、鐘の音も日本のお寺で想像するのとは大違い。まるでパイプオルガンのように両手と足とでそれぞれ別の鐘を鳴らす。まるで、パーカッション。5分以上続く。私たちがこの修道院にいる間に二つの鐘の音を聞いたが、二拍子と三拍子があるようだ。踊るようなリズム、わくわくするような音の重なり。宗教的な法悦をもたらすような響き。
ブルックナーの音響の基本にオルガンの音があるように、ラフマニノフやスクリャービンの基本にこの鐘の音があるように思った。それどころか、チャイコフスキーやムソルグスキーの音楽体験の基礎にあるのが、この鐘の音なのだろうと思った。少なくとも、日本の鐘の音で育つのと、ギリシャ正教の鐘の音で育つのとは、音楽体験の上では後戻りできない跡を生涯に残すだろうと思う。
それにしても寒い。冷たい雨が降り続く。たぶん、最高気温が15度くらい。夕方、街中に温度が出ていたが、それは12度だった。夜中は5度くらいになるのではなかろうか。8月だというのに、日本の初冬の気候だ。長袖のシャツの上にカーディガンを着て、その上に薄地のジャンパーを着ているが、外に出るとがたがた震えている。現地の人の中にはコート姿の人も見かける。
モスクワに戻って、トレチャコフ美術館を見た。アンドレイ・ルブリョフの三位一体のイコンが有名。
アンドレイ・ルブリョフは、その昔、タフコフスキーの映画を見てなじみがあったが、イタリアのフラ・アンジェリコと同じような趣がある。ただ、もっと真摯でもっと切実な雰囲気。
それ以外の絵については、あまり惹かれるものがなかった。ここはロシア絵画を中心に飾っており、しかもガイドさんの歴史的なエピソードを中心とする解説を聞いて回っただけだったので、絵そのものをしっかりと自分の目で見ていない。まあ、見たところで、私は絵画について造詣が深くないので、たいした感慨は抱かないのだけど・・・
今、風呂に入ったが、今日は昨日ほど水は茶色ではなかった。ほんの少し透明度に欠ける程度。このくらいなら、特に文句はない。
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