モスクワ初日
昨日の夕方、アエロフロート機でモスクワ着。
時差ぼけのために、早く目が覚めてしまったので、ブログを書くことにする。
モスクワまでの機内はかなり快適だった。初めて外国に行くようになったころから、アエロフロートの悪口は散々聞かされてきていたので、覚悟していたが、飛行機はボーイング、乗組員も特につっけんどんということもなく、機内食も悪くなかった。ただ、離陸前からシートを倒している人がいたが、そうしたことを注意したりといった細かな配慮はなかった。
アルコールが有料だったのも困った。私は眠りに入るためにアルコールを用いる。言い換えれば、アルコールに弱いので飲むとすぐに眠くなるので、眠りたいときには酒を飲む。いくらでも無料で飲ませてもらえるかと思っていたら、缶ビール1本が3米ドルだった。
隣に座っている女性と少し話した。しっかりした雰囲気だったので、OLか、あるいは大学3、4年生かと思っていたら、国立大看護系の学部の1年生だとのこと。スイスでの海外研修のためにモスクワ経由でミラノに行き、そこからスイスに入るということだった。もしかしたら私の参考書で勉強したかもしれないと思って話を向けたが、小論文は使わなかったとのこと。残念。いずれにせよ、とても好感を持った。
モスクワの新しい空港は実に快適。周囲も広々として、しかも緑が多い。季節的にも最高。20度くらい。火災も収まっている。もしかしたら、放射能などの汚染がないでもないのかもしれないが、見た目には空気もきれいに見える。
30人のツアーなので、専用のバスで市内に向かった。大渋滞だった。金曜日なので、別荘に行く人でごった返しているのだという。車は、ごく稀にトラバントらしい車が見えるくらいで、ヨーロッパで見かけるのと変わらない。ドイツ車、フランス車、日本車、アメリカ車。道も整備され、建物も美しい。
ただ、パリなどを何度か訪れている人間からすると、新しさを感じる。1812年にフランス軍によって焼かれたためだろう。逆に言うと、それだけごちゃごちゃしていないで、清潔で広々とした雰囲気。
ホテルはホリデー・イン。日本にもアメリカにもあるホテルなので、きっとアメリカ資本だと思う。できたばかりの様子。機能的で、アイロンや湯沸しがついているのでびっくり。こんな親切な設備は、フランスやドイツのホテルでも、まず見かけない。
機能的な都市を求めている様子が、空港やホテルや街から見えてくる。が、細かいところでそうはなっていないような点を感じる。
すぐ近くの地下鉄駅の近くにスーパーがあるというので、早速知り合いになった横浜のご夫婦と一緒に買出しに行ったが、結局見つからず。とりあえず、水だけは買ってきた。西側の人間にすぐにスーパーが見つからないということは、つまり、機能的な現代都市の状況ではない、少なくともグローバルな作りになっていないということだろう。警備員に尋ねたが、英語が通じないし、きちんと答えてくれない。
ホテルも、一見、最高の設備に見えるが、水道から出る水が赤茶けている。風呂にためたら、泥のようなものが下にたまった。水がきれいになるのを待っていたが、いつまでたってもきれいにならないので、諦めて入った。そして、シャワーを使おうとしたら、お湯の切り替え方がわからない。必死にあれこれやってみたが、わからずじまい。シャワーなしで済ませた。朝になってやっと、水を止めた状態で硬い硬いレバーを上げれば切り替えられることがわかった。
1984年、妻とともに壁のある時代の東欧諸国を回ったときのことを思い出した。東側に入った最初の日、東ベルリンからライプツィヒに移動して、大層なつくりの大ホテルに泊まった。安いホテルを希望したが、そんなところはみんな満室だといわれて、高いホテルにきめさせられた。ところが、外見だけが大層で、エレベーターは壊れている、建物のあちこちが壊れたままになっている。テレビはつかない、水は茶色。カフェでコーヒーを注文する。カフェもきれいに見えるし、コーヒーも見た目は西側と変わらない。が、スプーンを持った途端にその軽さに驚き、コーヒーを飲んだ途端にその味のひどさに驚く。つまりは、すべてが見かけだけで、中身は安物だった。しかも、人々はつっけん度で、実に感じが悪かった。建物はもちろん、社会全体が人間のためにできていなかった。
あれから25年がたつ。壁も崩壊した。
外見はすぐに整えられる。だが、サービス重視で人間のための社会にするには、人の心を変えなければならず、社会の仕組みの一つ一つを変えなければならない。モスクワはその途上にあるのかなと思った。
とはいえ、もちろん、ここに書いたのは、何も専門知識のないツアー客のほんの一日の勝手な印象であり、たぶんに先入観にも左右されたものでしかない。が、ともあれモスクワ初日には、以上のような感想を持った。
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