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ヤナーチェク四重奏団のヤナーチェクはやはりよかった

 今日(9月15日)、今日とコンサートホールの小ホールで行われた、ヤナーチェク弦楽四重奏団のコンサートを聴いた。曲目は、前半にドヴォルザークの「糸杉」から3曲と弦楽四重奏曲第8番、後半にヤナーチェクの弦楽四重奏曲第2番「内緒の手紙」。

 先日、京都でヴェルディの「レクイエム」を聴いたとき、チラシを見て、ちょうど、京産大の集中講義で京都に滞在しているときに、ヤナーチェク弦楽四重奏団がやってきてヤナーチェクを演奏すると知ってチケットを買ったのだった。何しろ、私は日本ヤナーチェク友の会の会員なので、こんな機会は見逃せない。

 前半はちょっと退屈だった。第一ヴァイオリンのヴァチェクさんのヴァイオリンは細身で鋭くて素晴らしいのだが、アンサンブルがあまりに内向的で内省的。内にこもる演奏で、それはそれでよいのだが、もう少し外に向かってもいいのではないかと思った。以前、この団体を聴いた記憶があるが、こんなに内省的だったという記憶はない。それに、ちょっと、第一ヴァイオリンが2度ほど、指が引っかかったような気がしたが・・。

 ところが、ヤナーチェクになったとたん、この内省的な音楽作りが実にぴったりきた。私はヤナーチェクの音楽の本質は「疼き」だと思っている。弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」のほうは、因習にがんじがらめにされて苦しみぬく「疼き」、「内緒の手紙」のほうは愛の疼き。老いらくの恋に落ちたヤナーチェクがひそかな愛の渇きとその成就を若き愛人に伝える。そんな曲だ。

 実を言うと、私はこの曲については、最近の若い演奏家たちのように、もっとずっと先鋭的に演奏するほうが好みだ。ヤナーチェク弦楽四重奏団は、かなりおとなしく、つまり、それほど土俗的でも先鋭的でもなく演奏した。だが、それはそれで聴いているうち、ヤナーチェクの疼きが伝わってきた。伝わるどころか、それが私自身の疼きになっていた。何度か涙が出そうになった。これが、私にとってのヤナーチェクの醍醐味だ。

 アンコールは、「赤とんぼ」と、ドヴォルザークの「ユモレスク」。「赤とんぼ」は、先日、東京富士美術館での多摩フィルのメンバーのアンコールでも聞いた。まるで、ドヴォルザークの「新世界の第二楽章」の「家路」のように聞こえる。

 ヤナーチェクの曲に感動したので、サイン会に並んで、会場で買ったこの団体のヤナーチェクの弦楽四重奏曲のCDにサインをもらった。感動を伝えたかったのだが、私の拙い英語では何もいえなかった。ただ、ヴァチェクさんに「ブルノとフクバルディに行ったことがある」とだけ言った。どうやら「フクバルディ」という発音が通じないようで、何度か繰り返して発音した。やっとわかってくれた。「ああ、ヤナーチェクのうまれた家のあるところか。あそこに行ったのか。小さな博物館は見たか」と聞かれた。情けないことに、「イエス、イエス」と答えただけだった。そして、4人ともブルノ出身だと教えてくれた。ここでも情けないことに、私は「ブルノ・イズ・グッドシティ」などといっただけだった。頭の中では、ブルノとフクバルディを歩き回ったさまざまなことを伝える言葉が渦巻いていたのに・・・。もうちょっと英会話の勉強をしなくっちゃ・・。

 帰り、大雨になっていた。ずぶ濡れになった。

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