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『ナクソス島のアリアドネ』DVD とてつもないデセイのツェルビネッタ!!

 久しぶりに時間ができたので、DVDを見て、CDを聴いた。

 まずは『ナクソス島のアリアドネ』のDVD。メトロポリタンの2003年の上演を録画したもの。指揮はレヴァイン。大好きなオペラだ。10日ほど前、タワーレコードで見つけてあわてて買った。

レヴァインの指揮で、ジェシー・ノーマンやキャサリン・バトルらの映像があったが、それから15年以上の時間がたっている。

Ariadne

 なにはともあれ、ナタリー・デセイのツェルビネッタが、言葉をなくすほどの凄まじさ。二度の日本公演でグルベローヴァのツェルビネッタを聴いたとき、これ以上の歌手はしばらくでないだろうと思ったが、デセイのほうがもっと安定しているのではないか。かなりハードな演技をしながら超絶技巧のあのアリアを軽々と歌うのには舌を巻くしかない。観客と一緒にテレビ画面に向かって声を出してブラヴァを叫んだ。始まって1時間ほどでこんな凄まじい歌を聞かされると、この後の1時間余りが付録でしかなくなってしまう。

 アリアドネのデボラ・ヴォイトも悪くない。芯の強い清潔な歌だが、私としては、もう少し歌の演技力がほしい。私にとってこの役の見本は、カラヤン指揮の録音でのシュヴァルツコップ。あのレベルに達するアリアドネはいないのだろうか。シュヴァルツコップに比べると、ほかのどんな歌手も常に物足りない。

 たぶんこれが録画されたのは、ヴォイトは最も太っていたころだろう。間違いなく100キロは超えていると思う。見た目もちょっとアリアドネらしくない。姿だけみると、王女様のパロディに見えてしまう。ダイエット後のヴォイトだったら、だいぶ違うと思うのだが。

 レヴァインについては、見事というしかない。ほかの歌手たちも実に立派。作曲家のスザンヌ・メンツァー、バッカスのリチャード・マージソン、音楽教師のヴォルフガング・ブレンデルともに文句なし。全体的に実にいい。執事長がヴァルデマール・クメントなのにびっくり。見終わった後、配役表を見て気付いた。映像を見直してみて、昔よく見た顔だったことを確認した。70歳を超えている。歌わない役なので、まったく問題なし。クメントを含めて、すべてが最高レベルにそろっている。

 ただ、録音の仕方や演出にもよるのだろうが、まるで壮大なオペラのようにしてしまっている点で違和感を覚える。このオペラは中劇場でやるべき小編成のこじんまりしたオペラなのだ。そして、それこそのこのオペラの魅力なのだ。

 神聖な音楽を目指しながらも、神話の時代が終わったために、卑俗なものにならざるをえないというシュトラウスとホフマンスタールの決意を語る重要なオペラだと私は思っている。壮大でなく、こじんまりとすることによって、その意味が明確になる。壮大な雰囲気にしてしまったら、このオペラの意味がなくなると思うのだ。

Ariadne_cd  同じ『ナクソス島のアリアドネ』のCDを聴いた。これは、リチャード・アームストロング指揮、スコットランド室内管弦楽団による英語版。

 アリアドネは、クリスティーネ・ブリューワー、ツェルビネッタはジリアン・キース、作曲家はアリス・クートで、これもなかなかそろっている。メトロポリタンのDVDよりも、すべてにおいてちょっとだけレベルダウンした感じ。すべて悪くはないが、このDVDを見た後では、どうしても弱さを感じざるを得ない。とはいえ、実に感じのいい好感のもてる演奏。英語で歌われると、かなり違和感があるが、おもしろく感じるところもあった。

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