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新国立『アンドレア・シェニエ』に満足!

 18日、新国立劇場でジョルダーノ作曲のオペラ『アンドレア・シェニエ』を見た。

 実は、私はイタリアオペラは、これまでほとんど見ないですごしてきた。かつて、シュヴァルツコップに導かれて、ドイツオペラやドイツリートを聴くようになったのと同じように、しばらく前から、アンナ・ネトレプコに導かれる形でイタリアオペラにも関心を広げつつある。

 実はこのオペラ、DVDを一度か二度、見たことがあるだけ。実演は今回が初めて。レコードもCDも持っていない。ドイツ系のオペラに関しては、ほとんどが40年以上前からレコードで繰り返し聞いてきているが、今回については、無知に近い。ほとんどまっさらの状態で臨んだ。

 第一幕と第二幕については、いつもイタリアオペラを見るときに思うように、ストーリーの不自然さ、あまりの卑俗さを感じた。人物の造形が甘いし、歴史の描き方がメロドラマ的。が、第三幕以降、話がドラマティックになって、やっとオペラの世界に入りこめた。

 イタリアオペラは、歌手と一緒に歌うというのが基本だと、改めて思った。もちろん実際に歌うわけではない。だが、心の中で歌手たちと声を合わせて歌ってこそ、本当に楽しむことができる。前半、知っているアリアがなかったので、十分に楽しめなかった。が、後半は、アリア集などで聞き覚えのあるメロディが続出。楽しくなってきた。

 最後、死によって愛する二人が結ばれる。きっとジョルダーノはワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』を意識していただろう。それにしても、形而上学的な意味付けの欠如には驚く。逆に、『トリスタンとイゾルデ』がいかに魂の救済という宗教的感覚が強いかを改めて痛感できる。

 演奏は大変見事。3人の主役は特に素晴らしかった。わたしはとりわけマッダレーナを歌ったノルマ・ファンティーニの声と容姿に感動した。実に美しい声。声量も十分。ジェラール役のアルベルト・ガザーレもよかった。堂々たる歌いっぷり。アンドレア・シェニエを歌ったミハイル・アガファノフは、声の美しさという点ではやや問題を感じるが、声量と高音の正確さで圧倒的だった。指揮のフレデリック・シャスランもくっきりとしてドラマティックな音楽づくりで好感が持てた。高橋淳、成田博之、森山京子らの日本人歌手たちも健闘。

 演出もよかった。回り舞台を上手に使っている。多くの人の死屍累々の上に現在の、そして未来のフランスがあるのだと示す最後の場面の三色旗を振る子どもたちの姿は感動的。

 とはいうものの、3日連続の音楽鑑賞はかなり疲れた。仕事もたまっている。ちょっとゆっくりしたい気分。

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