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「リエンツィ」のDVDのことなど

 昨日の夕方、やっと仕事が一区切りして、オペラのDVDを見た。以前見たまま、ブログに報告していなかったものも含めて、いくつかここに書いておく。

539_rientuli ・ワーグナー 歌劇『リエンツィ』

このオペラは、かなり前に日本人による公演を見た覚えがあるが、あまり印象に残っていない。DVDはこれまでなかったのではないか。レコードやCDは何度か聞いてきたが、映像を見るのは初めて。ワーグナーの初期の歌劇で、マイヤーベーアやイタリアオペラの影響下にある長大な作品だが、今回発売された2010年ベルリン・ドイツ・オペラのDVDは2時間半ほどに短縮されている。

普通に台本を読むとローマの高潔な護民官であるリエンツィが自分を暗殺しようとした敵に対して温情をかけたばかりに政治が大混乱をし、民衆の信頼を失ってついには失脚してしまう物語。もちろん私もこのオペラをそのようなストーリーとして、これまで認識してきた。

それを演出のフィリップ・シュテルツルは、独裁者の物語に仕立てている。ヒトラーのようないでたち、ヒトラー時代を思わせる記録映画が映し出される。民衆を扇動し、圧倒的な人気を勝ち得て権力を得るが、失脚して、次の独裁者に奪われる。そのような物語になっている。

かつて台本を読みながら、リエンツィがあまりに熱狂的に民衆に人気を得るのに違和感を覚えたのを記憶している。シュテルツルはそれを独裁者による扇動、人心掌握術とみなしたわけだ。ちょっと深読みのしすぎの感はあるし、なんでもかんでもヒトラーやナチに絡めてしまうワーグナーの演出には食傷気味だとはいえ、ワーグナーの音楽が権力的なので、かなり納得できる。とても面白いと思った。

 演奏は全体的に素晴らしい。リエンツィを歌ったトルステン・ケルルは癖のある声で、決して英雄的とは言えないが、今回のような不気味な人間像にはぴったり。イレーネを歌っているのは、私の大好きなカミッラ・ニールンド(ニュルンド、ニルンド、ニュールンドとも呼ばれる。このブログにも書いたとおり、武蔵野でリサイタルを聞いて以来のファンで、一度、話をしたこともある!)。容姿も声も歌も申し分なし。ただ、ちょっと演技の面では棒立ちに近いと感じないでもない。アドリアーノ役のメゾ・ソプラノ、ケイト・アルドリッチが実に初々しくていい。板ばさみになって悩む青年をうまく歌っている。

 恥ずかしながら、セバスティアン・ラング=レッシングという指揮者を知らなかった。ネットで調べてみたら、タスマニア交響楽団を振っていた人らしい。これは実にいい。音楽が生きており、構成もがっしりしている。こんなすごい指揮者がいたなんて!

 しかし、それにしてもワーグナーは、若書きのものまで素晴らしいことを改めて痛感!


4945604800037 ジークフリート・.ワーグナーの歌劇 「コーボルト」

 フランク・シュトローベル指揮、ニュルンベルク交響楽団によるリヒャルト・ワーグナーの息子ジークフリート作曲のオペラ。ジークフリートはかなりの曲を残していた。

 一言で言って、やはり退屈。聴き始めは、フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』のような雰囲気でなかなか面白いと思ったが、盛り上がらないし、激しい情念がないし、だからといって美しいわけでもない。不気味で幻想的なのか、民話的なのかもよくわからない。偉大な父親の影に隠れたのも当然だったと納得する。このようなタイプの人が、強烈な個性の父親をもってかなり悲しい思いをしただろうことが想像できる。

 演奏は決して悪くなかった。が、やはり曲がつまらなくて、途中で放棄した。そのうち、暇な時に最後まで見ることにしよう。

Zap2_g1531117w マスネー『ラホールの王』

 マルチェッロ・ヴィオッティ指揮、アルノ・ベルナール演出のフェニーチェ歌劇場公演DVD。

 強く感動することはなかったが、なかなかおもしろかった。ワーグナーの後にマスネーを聴くと、フランス語の柔らかい響きなので圧倒的に大きな違いがあるものの、音の使い方など、影響の強さが感じられる。部下の裏切りによって死んだ王が蘇って愛を成就しようという話。演奏もとてもよかった。

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