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ロベルト・ホルのリサイタルは最高だった!

 11月2日、武蔵野市民文化会館でロベルト・ホルのリート(ドイツ歌曲)のリサイタルを聞いた。ピアノ伴奏はみどり・オルトナー。最高の演奏だった!!

 ホルは好きな歌手の一人だ。ベルリンやバイロイトで、『さまよえるオランダ人』のダーラント、『トリスタンとイゾルデ』のマルケ王、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のハンス・ザックスを聞いた。いずれも、歴史的名演だった。

かつて日本で聞いたシューベルトの歌曲も素晴らしかった。CDになっている「冬の旅」も名盤だ。アーノンクールと録音したバッハもいい。ワーグナーの録音もいずれも最高レベル。容姿のせいなのか、あまり人気はないが、圧倒的な存在感と信頼度。実演もCDも一度も期待を裏切られたことがない。

私自身、実はあまり注目していなかった。2000年にベルリンでバレンボイム指揮、クプファー演出でワーグナー10作連続公演を見たとき、シュトゥリュックマンに予定されていたハンス・ザックス役がホルに変更になってがっかりしたほどだった。ところが、ホルのザックスを聞いてみると、これがものすごい歌と演技で圧倒的だった。そのころからホルに注目するようになったのだった。

 そして今日は、ヴォルフとシューベルトとシューマン、そしてホル自身の編曲による「ヴァッハウ地方の民謡集」から数曲を歌った。

 もしかしたら、フィッシャー=ディスカウよりもヘルマン・プライよりもハンス・ホッターよりも見事なのではないかと思った。

わたしはフィッシャー=ディスカウは嫌いだった。あの人工的な歌い回しがいやで、一度も生を聞いたことがない。ホッターは一度リサイタルを聞いた。大好きだったが、シューベルトやシューマンの若者の歌を歌うには深すぎる。少なくとも私が聞いた晩年の歌は年寄りくさくて、違和感があった。プライも生を聞いたが晩年でも若々しい声だった。が、若々しすぎて、深みがなく、これまた違和感があった。

 その点、ホルは実にいい。バスの深い声だが、決して人工的でも年寄りくさくも、若々しすぎもしない。繊細で知的だが、それが嫌みではない。そして、60歳を過ぎた今も、声の威力を示すことができる。ホール全体に美しい声が響き渡る。

 ホル自身の編曲した曲も面白かった。後半、ピアノのみどり・オルトナーとホルさんの話が間に挟まれたが、それによると、民謡や通俗的な声の部分にホルさんが新しいピアノ伴奏をつけたものらしい。これが実にいい。通俗的な旋律にやや現代的なピアノ伴奏がついて、通俗曲がまさしく人生を感じさせる芸術作品に生まれ変わっている! ピアノもくっきりしていてとてもいい。

 アンコールはシューマンの「ミルテの花」から2曲。二人の話もユーモアにあふれ、二人の人柄が出て、とても楽しかった。

 が、できれば、何かの歌曲集を全曲をじっくり歌ってほしかった。つまみ食い的なプログラムには欲求不満を感じた。事情があるのかもしれないが・・・

 それにしても、私としては、ホルにブラームスを歌ってほしい。シューベルト以上にホルにぴったりだと思うのだが。シュトラウスをホルが歌うとどうなるだろう。そういえば、私はホルの歌うシュトラウスはオペラもリートも一度も聞いたことがないような気がする。これも聞いてみたい。

 数日前からまたまたパソコントラブル。持ち歩いているPCの容量が一杯になって、使えなくなった。文章を打ち込もうとしても、「容量が一杯です。ファイルを削除してください」というような表示が出る。が、実はずっと前から、ファイルは削除し続けているのだ。

 かつて入れていた画像もすべて削り、文書も三分の一ほどに減らした。ソフトもアンインストールした。半分以上、容量が空くかと思ったら、まったくそんなことはない。以前と少しも変わらず、容量が一杯のまま。ネットで調べたり、マニュアルを見たりして、いろいろやってみた。だが、まったく効果なし。今朝、電話相談をしてみた。が、結局、ハードディスクを全部消去するしかなさそう・・・。トホホ・・・。

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コメント

樋口さん

ホル最高ですよね。
私はリリアで「水車小屋」を聴きましたが、素晴らしかったです。CDが少ないので、日本人はあまり知らないようですが。

彼の「冬の旅」は、過去のどの演奏・レコードよりも素晴らしい。すごい芸術家です。

投稿: ねこたろう | 2010年11月 5日 (金) 23時38分

ねこたろう様
全くその通りですね。
私自身も、オペラでホルを何度も聞いていながら、リートにおいてもこれほどだとは、それほど認識していませんでした。CDを探したところ、オペラや宗教曲の独唱者としてのものは多いようですが、歌曲は少ないですね。3枚だけ予約しました。
少なくとも、ヒュッシュ、ホッター、フィッシャー・ディスカウ、プライに並ぶ存在のわりに、真価が知られていませんね。
これから、このブログでも機会があったら、またホルを取り上げたいと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2010年11月 7日 (日) 08時27分

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