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講演と対談の数日。そして時間の経つのが速いこと。

 ここ数日、講演や対談が続いている。

 月曜日(12月29日)は、多摩美術大学の八王子キャンパスで文章術についての小さな講演をした。多摩美での講演は4回目。40人くらいの学生が対象。とはいえ、美術大学の人がどのような文章を求めているのかわからず、しかも、どうやら学生によって求めていることが異なるようで、一般的なことしか言えなかった。満足してもらえたかどうか、かなり疑問。

 火曜日(30日)は、世田谷区の松沢小学校で、「コミュニケーション能力をはぐくむ方法」と題して講演。PTA連合協議会での研修会。前日と同じような、小規模な講演だとばかり思って、軽い気持ちで小学校に行ったら、大きな行事で、地域のいくつもの小学校の校長先生やPTA会長さんが勢ぞろいされていたので、びっくり。今の言葉でいえば「ヤバッ」と思った。あわてて気持ちを立て直して、200人以上のPTAの係の方、保護者の方に、なぜコミュニケーション能力が大事か、どのように家庭でそれを育てるかをお話しした。真剣に聴いてくださったので、とても気持ちよく話ができた。

 松沢小学校の校長先生、PTA会長さん、係の皆さんがきちんと対応してくださったおかげで、とてもよい会だった。小学生のうちから、しっかりとコミュニケーション能力をはぐくむことが何よりも大事だと、自分で話しながらも、改めて痛感。

 

 昨日(12月1日)は、集英社でエッセイストの青木奈緒さんと対談。こんど、集英社から出す本の宣伝の一環として。ただし、あまり詳しいことはまだ言うべきではなかろう。青木さんとは、6年前に知り合い、時々お会いして話す間柄。私の大好きな人の一人だ。言わずと知れた青木玉さんのお嬢さんで幸田露伴のひ孫にあたる方であって、実に知的で実に上品。さりげなく、しとやかに鋭いことを言ってくれる。

 青木さんに私の原稿を読んでもらっての対談だったが、大慌てで書いた原稿を名文家に見てもらうのは実に恥ずかしい。が、弁解しても仕方がないので、書き飛ばしたことは黙っておいた。が、きちんと読んでくださって、とても楽しく話ができた。

 その後、新宿に移動して、別の打ち合わせをし、その後、先日知り合った若い友人たちとの会食。これらについてはきわめて私的なことなので、これ以上は書かない。ともあれ、充実した楽しい一日だった。

 それにしても月日のたつのが速い。もう12月。つい少し前に正月だったと思ったが。

 年をとればとるほど、時の経つのを速く感じる。子どもの頃は、もっとゆっくりと時間が流れた気がする。忙しいというのも原因の一つだろう。が、かつて、説得力のある別の説をどこかで読んだ記憶がある。

これまで過ごしてきた時間の総量との対比で短く感じるのだという。10歳の子どもにとっての1年間は、それまでその子どもが過ごした10年間の10分の1だ。だから、長く感じる。ところが、60歳の人間にとっての1年は、60分の1にすぎない。だから、ほんのちょっとの時間に感じ、年齢を経るとともに、ますます短く感じるようになるというわけだ。

なるほど、そう考えると納得できる。

私も来年には60歳になる。50年前のことをはっきり覚えている。ほんの少し前のことだったような気がする。大学に入学した1970年はつい昨日のことのように思える。

500年前、1000年前は、気の遠くなるような大昔のような気がしていたが、考えてみると、500年というのは50年のたかだか10倍でしかない。私の記憶の中では50年前がほんの少し前だったのだから、500年前など、大した時間ではないではないか。1000年というのも、50歳の人の20人分の時間でしかない。

人間の命など、ほんの短いものでしかない。が、それにしても、たったそれだけの時間なのに、この1000年でどれほど人間の生活は変化したことか。

年齢とともに、そのようなことを考えるようになった。

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コメント

樋口先生、
松沢小学校で講演会に参加しておりました。
正直申しまして、こんなに刺激があり、面白い講演会になるとは期待していませんでした。

私自身、勉強はそこそこできたけど(笑)好奇心が足りない、発信力の足りない人間だなと学生時代から認識、反省をしながらいきています。
その反省を育児にいかしたいと思っているところでの講演会でしたので、非常に勉強にもなり、励ましにもなり、本当に楽しい語り口で、何か背中を押されたような忘れられない体験になりそうです。

コミュニケーションは、人間力そのもの。自己肯定と多様な価値観の受け入れ、その上での発信力。
日本社会自体に必要で、自分の子供達だけでなく1人でも多くの未来の担い手が、その能力を身につけて欲しいと、痛切に思いました。わたし自身も小さい糸口からでも興味を広げていく生き方を子供達としたいなと思っています。

先生のお話は素晴らしい育児論でもあると思うので、今後多くのママ達がお話を伺う機会があればいいのになと、僭越ながら思いました。

一点質問なのですが、つなぎ話を四人でする場合。面白くしようとするのは大事ですか?つまらなーい話でおわったり、思いがけず面白くなったり。そんな感じでいいのでしょうか?起承転結は意識させた方がいいのですか。まだ一年生です。
この様なところで質問をしてしまい、申し訳ありません。

会話を一杯していきます!有難うございました。

投稿: PTAママ | 2010年12月 6日 (月) 09時58分

PTAママ 様
コメント、ありがとうございます。
当日、大変楽しくお話しできました。ありがとうございました。
少しでもお役にたてればと思っています。
継ぎ足し話の件ですが、もちろん、面白いほうがよいのですが、面白くならないことのほうが多いと思います。それでも、そのつまらなさを楽しむつもりでよいと思います。たまに面白くなれば、それで十分です。ともあれ、話をすることを楽しんでください。
ただ、起承転結は意識させたほうがよいと思います。そうしないと、話がどこに行ってしまうかわからなかったり、盛り上がらないままになったりします。とはいえ、「こうすればもっと面白くなったかも…」というようなアドバイスにとどめるべきです。
ぜひ実行なさってください。

投稿: 樋口裕一 | 2010年12月 7日 (火) 07時37分

樋口先生、
早速ご丁寧に有難うございました!
夜寝る前続けてみます。
貴重な御時間を有難うございました。
PTAママ

投稿: PTAママ | 2010年12月 7日 (火) 13時42分

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