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やっと仕事に切りがついたのでDVDを見た

 1229日の昼、久恒啓一さんの家族とうちの家族で多摩大学近くのフランス料理の店エル・ダンジュにおいて食事をした。80歳を超す久恒さんの母上が上京したのに合わせての食事会だった。

 このブログにも何度か書いたが、久恒啓一さんと私は大分県中津市で小学校低学年を共に過ごした幼馴染。子どものころ、久恒さんの母上とも顔を合わせたものだ。とはいえ、実は、一昨日まで、久恒さんの母上について、まったく何も覚えがなかった。顔も含めて何一つ覚えていないと思っていた。が、エル・ダンジュで50年ぶりくらいに顔を合わせた途端、ありありと昔の顔が浮かんだ。そうだ、この人が久恒さんのお母さんだったんだ!と思った。

 とても楽しい時間を過ごすことができた。エル・ダンジュのランチも最高!! 豚肉の料理が実においしかった。

 昨日、ほぼ仕事に切りついたので、今日(1230日)は一日、ゆっくりすることにした。仕事はしないと決意して、DVDを5本見た。

51cyp3f3ngl__sl500_aa300_  まずは、サタジット・レイ監督のインド映画「大河のうた」。1970年代に一度見ているが、先日、「大地のうた」を見て大感動を覚えたので、その続編であるこの映画のDVDを手に入れたのだった。「大地のうた」ほどの深い感動は覚えなかったが、やはりとてもよかった。インドの大地の中で暮らしていたオプーが、不幸続きののちに故郷を離れ、大都会ヴァラナシに出てきたものの、父が死ぬ。再び田舎に戻り、成績優秀のためにカルカッタの大学に通うことになるが、今度は母親が死んでしまう。「大地のうた」と同じように、インドの風物の中での生と死を描いている。圧倒的なリアリズム。

51qdhqg2r6l__sl500_aa300_  次に三部作の最終作である「大樹のうた」も見た。オプーは苦難の中で美しい女性と結婚するが、妻は早産のために死んでしまう。世をはかなんだオプーは放浪の旅に出るが、最後、妻との間の子に再会し、共に生きる決心をする。妻との結婚のいきさつがあまりに突飛な点で、リアリズムから逸脱している気がしたが、それをのぞけばなかなか感動的。

 この映画を初めて見た1970年代には、私はまだインドに行った経験がなかった。インドを多少は知り、ヴァラナシ(かつては、ベナレスと呼ばれていた)にも行ったことがある今改めてみると、いっそうオプーの苦悩と、生と死というテーマがありありと感じられる。

 改めて、歴史に残る三部作だと思った。

4988102636012_1s   もう一本、「ピエル・パオロ・パゾリーニ」という記録映画を見た。パゾリーニは、私の大好きな映画監督で、このブログでも「奇跡の丘」や「アポロンの地獄」「王女メディア」などの映画についての感想を書いた。パゾリーニは同性愛者であり、共産主義者であって、さまざまの敵に攻撃されていた。同性愛相手とのトラブルで殺されたことになっているが、今でも陰謀説などが語られている。今回見た映画は、若いころからの友人だった画家のツィガイーナがパゾリーニの謎の死について語ったもの。要するに、パゾリーニ自身が自ら殺されることを仕組んだものであって、それは彼の詩の中に予言されている、という内容。が、謎めいた詩をたくさん書いているパゾリーニなので、こじつければいろいろなことが言える。あまり説得力を感じなかった。ただ、パゾリーニを愛し、卒論の題材にした人間にとってはありがたい貴重な映像があって、その点はうれしかった。

 パゾリーニは私の人生を変えた映画作家だった。パゾリーニが好きだったので、その小説を訳しておられる米川良夫先生を訪ねて、懇意にさせてもらい、人生のうえで大きな影響を受けたのだった。このDVDは米川先生が亡くなる前に発売されていたようだ。これについて先生がどのように考えるか、尋ねてみたかった。今となってはかなわないのが、悔しい。

022  オペラのDVDも2本見た。一つは、ゴーゴリ原作、ショスタコヴィチ作曲の「鼻」。モスクワ室内歌劇場の公演。演出はボリス・ポクロフスキー。指揮はゲンナジ・ロジェストヴェンスキー。1979年の記念碑的上演だ。

 私は、この日本公演を見た記憶がある。とても感動した。今回DVDを見て、やはり、鮮烈で感動的。私はショスタコヴィッチの交響曲はどうも苦手なのだが、オペラは素晴らしいと思う。「ムチェンスク郡のマクベス夫人」といい、この「鼻」といい、本当におもしろい。ハチャメチャなモダニズムが素晴らしい。もっと上演してほしいものだ。

 演奏に関しても、言うことなし。79年の録画のわりには、音も映像も悪くない。

146  もう一本は「オッフェンバックとモルニ伯爵」と題された映画。オッフェンバックと、そのパトロンであり、ナポレオン3世の異父兄弟であるモルニ伯爵の舞台裏を描きながら、オペレッタをまるまる2本、見せてくれる。「二人の盲人」と「クロックフェール または最後の遍歴騎士」。映画部分もまあ面白い(ただし、時代背景がよくわからないので、理解できない個所もあった)が、やはりオペレッタの部分が最高。

 私は、ベートーヴェンやワーグナーやブラームスなどの正統的で重苦しい音楽が大好きなので、しばしば意外に思われるが、実はオッフェンバックも大好きだ。カンカン踊りのあの音楽は稀にみる素晴らしいメロディだと思っている。オッフェンバックの曲を聞くと、心の底からうきうきしてくる。

 DVDに収録されているオペレッタも、まさにそう。こんな楽しいオペレッタがもっともっと日本で上演されると、人生が楽しくなるのだが・・・

 明日はついに大晦日。私は、一昨年、昨年に続いて、明日、東京文化会館に「ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏会2010」を聴きに行く予定。13時に始まって、11日の午前1時少し前くらいに終わることになるだろう。前回は、小林研一郎指揮のものすごいテンションの演奏だったが、今年はなんと、指揮がロリン・マゼール。よくもまあ、こんな超大物が来てくれたものだ!

 実は、今日、ベートーヴェンやワーグナーのCDやDVDを聴きたかったが、明日、いやになるほど聴くことになるので、もう少し別の種類のDVDを見たのだった。

 明日が楽しみだ。家族そろって除夜の鐘を聴けないのは残念だが、ベートーヴェン連続演奏の感動には何ものも替えることはできない。

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コメント

こんにちは。2010年ももう残り僅かですね。
マゼール氏の「振るマラソン」、私も妻と聴きに行きます(4階席)。
おにぎりなど作って、準備中。

また、感想など拝読したいと思います。
では、良い年をお迎えください。

投稿: ムーミンパパ | 2010年12月31日 (金) 10時22分

ムーミンパパ様
コメント、ありがとうございます。
大晦日の演奏いかがでした?
私の感想は、このブログに書いたとおりです。よろしかったら、感想をお聞かせください。

投稿: 樋口裕一 | 2011年1月 2日 (日) 14時18分

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