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新国立『トリスタンとイゾルデ』補足

 1月10日の新国立劇場における『トリスタンとイゾルデ』の感想について、書き忘れたことがあったので、付け加えておく。

 演出はなかなか良かった。象徴的で、太陽や月をうまく使っている。第二幕の木の象徴もエロティックでおもしろい。

 ただ、いくつか気になるところもあった。

 第一幕は、ワーグナーでは昼の設定のはずなのに、演出では夜になっていた。「昼と夜」というのはこの楽劇の重大なテーマなので、安易に変えられないと思うのだが。

 が、それ以上に気になったのは、上半身裸の水夫や兵士。いろいろと動き回るが、ほとんど意味がないと思った。煩わしいし、品性を落とす。せっかくの格調高い悲劇の中に下品な笑劇が混じった感がある。それに、この楽劇の舞台になっているのはかなり寒いところなので、半裸というのはあまりにリアリティがない。彼らが登場しなかったら、もっとレベルの高い演出になったと思う。演じた人々には申し訳ないが。

 それから、大野さんに対してブーイングを飛ばしている人がいたが、あの素晴らしい指揮のどこがブーイングに値するのか、ちょっと聞いてみたい気がした。

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コメント

樋口さん、こんばんは。

最終日も、もの凄かったようで。
東京フィルはラストで燃えますからね。(出来れば初日からちゃんとやってほしいのですが・・・。)

ブーイングはやるなとはいいませんが、日本人としては違和感がありますね。外国人のマネをしてツウぶっているだけでは?私はブーイングをするくらいなら、終演後さっさと出てしまいます。「人がいない」というのが、舞台人にとっては一番悲しいことですから。

今回のトリスタンは、新国の歴史のみならず、国内演奏史上に残る大名演でしょう。大野和士の10年後が楽しみ!

投稿: ねこたろう | 2011年1月11日 (火) 22時38分

ねこたろう様
本当に日本のオペラ史に残る名演だと思いました。
これだけのものを日本にいながら、しかも日本人指揮者による日本のプロダクションでみられるとは、少し前まで考えられないことだったと思います。
東フィル、やればできると思うのですが、確かに、燃えないことも多いですね。
ブーイングは、私にはまったく納得できないものでした。ブーイングについても、フライング・ブラヴォーなどとともに、少し考えるほうがよい問題かもしれませんね。もちろん、私自身はブーイングしたことは一度もありませんが、心の中でブーイングしたくなったことは何度もありますので、ブーイングそのものが悪いとは思わないのですが。

投稿: 樋口裕一 | 2011年1月12日 (水) 09時38分

 こんにちは。
 私も結果2度観ましたが、微妙な突っ込み所も満載ではあったと思います。まぁ、この辺は、見方によりけりだとは思うのでなんともですが、個人的には色々評価は分かれる所だとは思います。総じて、このレベルで公演が出来たという事は評価されるべきとは思いますが....

 大野和士は、ブーイングは無いだろうとは思いますが、一歩引いてみると結構恣意的に音楽を揺らしていたのかな、という部分はあったので、そこを良しとしない向きはあろうとは思います。
 まぁ、個人的には、3日目(4日)の東フィル失速の方が問題ではなかったかと思うので.....アレはやっぱりスタミナ不足、餅が足りなかったのだと思います。やっぱ正月は餅喰わんと.....雑煮で2個、汁粉で2個、磯部焼きで........

投稿: Verdi | 2011年1月13日 (木) 00時10分

Verdi様
コメント、ありがとうございます。
ブログも拝見しました。絶賛なさっていないようで、私は新鮮に読ませていただきました。
私は大野さんの指揮に関しては、船の揺れるような微妙な揺れ(それが、特有の陶酔感をもたらすものだと思います)がないということを除けば、実にダイナミックで素晴らしいと思ったのでした。
いずれにしても、私ももう一、二度見てみたかったと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2011年1月14日 (金) 08時44分

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