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ナントのラ・フォル・ジュルネ2日目

 念のため、ちょっと確認しておく。私は単なる音楽愛好家でしかない。評論家でもないし、音楽ジャーナリストでもない。ラ・フォル・ジュルネの「アンバサダー」という、なんだか自分でもよくわからない役目を果たしているが、ラ・フォル・ジュルネの主催者の一人というわけではない。

 勝手に好きな曲を聴いて、きわめて主観的な感想を抱き、それを勝手にブログに書いているだけだ。すべて自分の好き嫌いで行動している。好きでない曲は聴かない。結局、ほとんどブラームス、時々シュトラウスを聴くことになる。マーラーは聴くつもりはない。プログラムに入り込んだときは仕方がないが、できるだけ避けるようにしている。リストとシェーンベルクは嫌いではないが、同じ時間帯にもっと好きなブラームスがあるので、それを聴いている。

 そのつもりでお読みいただきたい。

・ブリジット・エンゲラー(ピアノ)、シンフォニア・ヴァルソヴィア、ゲオルグ・チチナゼ指揮によるブラームスのピアノ協奏曲第1番。

 チチナゼという指揮者を初めて聴いたが、とてもよかった。劇的に音楽を作って、しかも形が崩れない。この曲は、ブラームスに力が入りすぎているために、少し間違うとギクシャクしてしまうが、うまく処理していた。エンゲラーもすばらしい。男性的なところと、温和なところの使い分けがうまいと思った。要するに、表現の幅が広い。日本ではあまり知られていないが、大ピアニストだと改めて思った。

・チグニウ・コルノヴィツ(ヴァイオリン)、ピカルディ管弦楽団、アリー・ヴァン・ビーク指揮によるリヒャルト・シュトラウスの「町人貴族」組曲

 演奏者たちには気の毒だが、観客の半分以上が小学校3年生程度の子どもたち。真剣に聞いていない。が、そんな中、実にしっかりと演奏していた。ふざけたようでいて高貴、のどかでありながらけっこう深刻という難しい曲だと思う。一つ間違うと下卑てしまう。それをとても上品に、しかも面白く演奏していた。ヴァイオリンソロもよかった。

・レジス・パスキエとロラン・ピドゥ、アラン・プラネスにイザイ四重奏団のヴィオラ奏者ダ・シルヴァが加わって、ブラームスのピアノ四重奏曲第2番。おそらく意図的だと思うが、あまりブラームスらしくない演奏。憂いや陰りがあまりなく、むしろ直線的で鋭く音を作っていく。もちろんフランス人らしく繊細なのだが、ブラームスの重さがない。それはそれで面白かったが、やはり私の好きなのは、暗くてうじうじしているブラームスなのだ! 

・シンフォニア・ヴァルソヴィア、ゲオルグ・チチナゼ指揮でブラームスの交響曲第3番。かなりよかった。しっかりした構成。オケもしっかり鳴らしている。前から2列目で聴いたが、一つ一つの楽器もしっかりしていた。第三楽章はちょっとものたりなかった。ロマンティックにやろうとしているのか抑制しているのかよくわからなかった。が、第四楽章の盛り上げは見事。最後にはかなり感動した。ともあれ、とてもいい指揮者だと思った。

・シュ・シャオ・メイ(ピアノ)によるブラームスの「3つのインテルメッツォ」と「シューマンの主題によるピアノのための16の変奏曲」、そして、シューマンの「子どもの情景」。

 昨年から会う人ごとに「シャオ・メイはすばらしいから、ぜひ聴け」というので、聴いてみた。確かに研ぎ澄まされ、静謐で清澄な音。この世のものとは思えない。この人の心はどれほど澄み切っているのかと思ってしまう。が、最初のうちは涙を流さんばかりに感動して聞いていたが、途中からちょっと飽きてきた。私は残念ながらかなり俗っぽい人間で、こういう純粋な世界に長い間ひたることはできない。もうちょっと面白いことをしてくれよといいたくなった。だって、ブラームスは、善良な人だったと入っても、こんなに清澄な人ではなかったはず。もっと俗な精神、俗な悩みも描いてほしい。バッハだったらこれでいいだろうが、ブラームスやシューマンでは、ちょっと物足りないと思った。

・イザイ四重奏団によるブラームスの弦楽四重奏曲第3番、第1番。これはすごかった。ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲のような緊張感と研ぎ澄まされた音を、ブラームスに持ち込んだ感じ。はじめ少し違和感を覚えたが、これはこれで新しいブラームスをはっきりと作っていると思った。パスキエを中心とするピアノ四重奏曲はちょっとものたりなかったが、これはそんなことを言っていられないほどの迫力。有無を言わせない説得力があった。研ぎ澄まされた音の中に、確かにブラームスの魂の苦悩と憧れが見えてきた。

 このあと、モディリアニ弦楽四重奏団で弦楽四重奏曲第2番を聴こうと思っていたが、イザイ四重奏団でおなか一杯になって、これ以上聞く気力がなくなった。

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