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ナントのラ・フォル・ジュルネ 4日目

昨日ほどではないが、十分に充実。忘れないうちに、簡単な感想を書き付けておく。

・ルノー・キャプソン(ヴァイオリン)、フランク・ブラレイ(ピアノ)によるヒンデミットとシュトラウスのヴァイオリン・ソナタ。

 実に美しい。外面的になりがちなシュトラウスのソナタを実に内面的に繊細に演奏。ピアノの高音のきらびやかでありながらも繊細な美しさにも言葉をなくす。キャプソンのやさしい魂をじかに感じる。そのためだろう、ものすごい人気。確かに、二人ともかなりの美男ではある。

・ネーデルランド・カンマーオーケストラ(オランダ室内管弦楽団と訳すべきか)。指揮はゴルダン・ニコリチで、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番のマーラーによる管弦楽編曲と、シェーンベルクの「浄夜」。

 指揮者のいない団体。というか、コンサートマスターが指揮の代わりをしている。

 マーラーの編曲が私はどうも気に入らない。ベートーヴェンのせっかくのナマの迫力がなくなってしまっている。「浄夜」はとてもよかった。ぞくぞくするような官能性が感じられた。夜の世界を描き出していた。

・ボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団、ペーター・シュロットナー指揮によるシュトラウスの「ドン・ファン」と「死と変容」

 オケはよくなっていた。指揮は、オケを鳴らすことだけを考えている感じ。

・ポワトゥ・シャラントゥ管弦楽団、ジュリアン・アンペル指揮によるブラームスの交響曲第2番。

 この曲は「ブラームスの田園」と呼ばれ、しばしば歌うように明るく演奏されるが、この指揮者は、まったくそのようなことはなく、トスカニーニ張りの推進力でぐいぐいと音楽を進めていく。歌わせようとはせず、音の積み重ねで論理的に引っ張るタイプ。非常に快かった。ただし、どうしても一本調子になってしまうので、ところどころ退屈した。もう少し業が必要だと思った。

・ボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団、ペーター・シュロットナー指揮によるブルックナーの交響曲第9番。

 ただひたすらオケが鳴るだけのブルックナーだった。

・ネーメ・ヤルヴィ指揮、デン・ハーグ王室管弦楽団によるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死、それにルノー・キャプソン(ヴァイオリン)が加わってベルクのヴァイオリン協奏曲。

「トリスタン」はちょっと淡白。ヤルヴィはあまり濃厚に演奏するのを好まない様子。音の積み重ねとして客観的に演奏。それはそれでよかった。ベルクに関しては、キャプソンはこのつかみにくい曲を実に心に響くように演奏。亡き愛するものへの悼みの心がにじみ出る音楽になっていた。ルノー・キャプソンというヴァイオリニストは、実に端正に繊細に心の襞を描く。もちろん、ネーメ・ヤルヴィもすばらしい。

・テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)、シンフォニア・ヴァルソヴィア、チチナゼ指揮によるブラームスのヴァイオリン協奏曲。

 今回、ブラームスのピアノ協奏曲は毎日いくつも演奏されているが、ヴァイオリン協奏曲は少ない。名曲中の名曲なのに、残念。きっと総合プロデューサーのルネ・マルタン氏がピアノ好きのせいだろう。

 パパヴラミはかなり若いヴァイオリニスト。シューマン・カルテットの一人で、日本にも来たことがあるという。独特の間をとって独特のヴィブラートをかける。そして力いっぱいに演奏。それが実に面白い味を出している。巨匠になるかどうかはわからないが、鬼才であることは確か。耳をひきつける力を持っている。実におもしろかった。かなり感動して聞いた。指揮のチチナゼも悪くない。しっかりとフォローしている。ただ、指揮にはそれ以上のものは感じなかった。

・広瀬悦子(ピアノ)、ポー・ペイ・ド・ベアルン・オーケストラ、ファイサル・カルイ指揮によって、まずリストのピアノ協奏曲第2番。いくつもの国際大会に入賞して話題になっている日本人の20代のピアニスト広瀬悦子。見事な演奏だった。超絶技巧を最高レベルの美しくも繊細な音で弾きこなしていく。アンコールに「ラ・カンパネッラ」を弾いたが、これも見事。そのあとは、ブラームスのハンガリー舞曲から数曲。指揮をしているのか、音楽に合わせて踊っているかわからないような指揮だったが、指揮姿が一つの踊りになって楽しめた。音楽も最高度にびしりと決まって、最高に楽しい娯楽音楽だった。

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コメント

樋口先生

ルノー・カプソン、6/13のリヨン管メルクル指揮での来日を楽しみにしています。
弟ゴーティエのチェロも大人気ですよね!
ルノー兄弟によるコンサートを久々に聴きたいものです。
とてもハンサムな兄弟ですが、コンサートに足を運ぶ理由ではない、とはけして言い切れない私です。

投稿: Tamaki | 2011年2月 6日 (日) 16時37分

こんばんわ。

マーラーは復活などがありましたか?
一度現地の人の合唱で聴きたいものです。

ちょうど今月から日本でダリとかシュルレアリスムの画家の作品を集めた展覧会があるので、それと重ね合わせてその超現実的な交響曲を聴いています。
とはいってもダリもあまり好きではないのですけど(笑)

投稿: あんだんて | 2011年2月 6日 (日) 18時59分

私はネマニャ君の熱烈の大ファンです!
今までファンクラブが無かったのが不思議でした。

2011年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンには
ネマニャ君の公演はあるのでしょうか????

昨年は来日しなkったので、悲しかったです。
是非、その辺の情報などもお知らせくださいませ。

投稿: ベラ | 2011年2月 7日 (月) 06時05分

Tamaki様
キャプソン(カプソンとなっていますか?)、来日するので巣か。それは楽しみです。
2005年、初めてフランスのナントのラ・フォル・ジュルネを訪れたとき、今よりももっと若いキャプソン兄弟を聞いて圧倒されたことがありました。今回、兄弟の演奏を聞けなかったのは残念でした。

投稿: 樋口裕一 | 2011年2月 7日 (月) 14時54分

あんだんて様
コメントありがとうございます。
ナントで全曲演奏されているマーラーの交響曲は、1番、4番、5番のみのようです。ついでに言いますと、ブルックナーは7番と9番、シュトラウスは、「ドン・ファン」「死と変容」「メタモルフォーゼン」「ブルレスク」「町人貴族」「四つの最後の歌」くらいです。ブラームスはすべての交響曲、協奏曲、室内楽が演奏されています。
ただし、日本でも同じようなプログラムになるかどうかはわかりません。まだ発表になっていませんので。2月17日に正式発表になるようです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年2月 7日 (月) 14時59分

ベラ様
コメント、ありがとうございます。
私ももちろん、最も気になるところでしたが、残念ながら、ネマニャはナントに登場していません。正式には発表されていませんが、聞くところによると、日本にも登場する予定はなさそうです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年2月 7日 (月) 15時02分

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