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ネマニャの凄まじいプロコフィエフ

 風邪をひいてしまった。パリからの帰りの飛行機の中で、隣の席の人がゴホゴホと咳をしていた。隣だけでなく、あちこちで咳が聞こえた。これはまずいと思って一応マスクをしたが、防ぎきれなかったようだ。翌日から喉が痛み出し、昨日からひどい咳が出ている。かなり気分が悪い。ただし、熱はほとんどない。

 そんな中、2月14日、オペラシティコンサートホールで、東京シティフィルの定期公演を聴きに行った。目当てはもちろん、ネマニャ・ラドゥロヴィチのヴァイオリン。数日前から書いている通り、私が発起人になってファンクラブを設立し、昨日の第一回総会で、今日から私はファンクラブの会長ということになった! 

 指揮はフランスノパスカル・ヴェロ。これまで一度も聴いたことがない指揮者だ。

最初の曲は、ボロディンの「中央アジアの高原にて」。久しぶりに聴いたが、好きになれない。短い曲だが、退屈だった。

次にお待ちかねのプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。第1番ならCDを何枚か持っているし、実演でも聴いたことがあるが、第2番は、恥ずかしながら覚えがなかった。昨日、ジョシュア・ベルの弾くCDをさがして予習しておいた。

が、予習がぶっとぶくらいネマニャの演奏は凄まじかった。第一楽章から全開。ネマニャ自身が希望した曲だということで、まさに彼にふさわしい。何かに憑かれたように悪魔的なところ、天上的なところ、甘美なところ、激情的なところが入り混じる。それを多彩なテクニックで弾きわける。完璧なテクニック。完璧な音程。一つ間違うと崩壊するような難しい曲だが、それを彼自身がまとめている。ネマニャはほとんどずっと指揮者の目を見つめながら、ヴァイオリンを弾いていたが、彼が指揮しているかのようだった。

何度も激しい咳が出そうになったが、咳のせいでネマニャの音楽を邪魔するくらいならいっそのこと息を止めて死ぬほうがましだとさえ思って、ぐっと我慢した。

まさしく対話、そして交感。これがネマニャの音楽の最大の特質だと思う。指揮者と対話し、作曲家と対話し、観客と対話して音楽を作っていく。お仕着せの立派な音楽を聞かせてくれるのではない。生きた音楽。切ると血が出てくるようなナマの音楽。クラシック音楽という範疇を超えている。

もちろん、大喝采! バッハの無伴奏曲(何番だったっけ?)をアンコール。

後半はチャイコフスキーの交響曲第4番。大変申し訳ないが、私にとっては、ネマニャが終わってしまえば、祭りの後のようなもの。それに実を言うと、私はこの曲は苦手だ。チャイコフスキーの交響曲の5番、6番、ヴァイオリン協奏曲は大好きだ。が、あの有名なピアノ協奏曲と交響曲第4番は、どうもよくわからない。構成が甘く、派手すぎてうるさいと思ってしまう。

東京シティフィルはしっかりと澄んだ、研ぎ澄まされた音を出していた。指揮のヴェロはきっと組み立てをしっかりとして正確に音を出せば、この交響曲は感動をもたらすと確信しているのだろう。だが、もともとこの曲の好きではない私には、そのように演奏されると、無機的に感じられ、欠点ばかりが見えて、むしろ退屈してしまった。アンコールはなし。

終演後、ネマニャのサイン会が開かれ、100人を超す列ができた。その中には、ファンクラブの面々ももちろんたくさんいた。大半が女性。多くのファンがツーショットの写真を撮ってもらっていた。「そんな女子供のようなことができるか!」と思っていたが、我慢できなくなって、私も撮ってもらった。

今回の公演には、東京シティフィルのご厚意でプログラムに私たちのファンクラブの案内を入れさせていただいた。感謝。

きっと今日の演奏を聴かれた方の多くがネマニャの驚異のヴァイオリンに心を打たれたはず。3月1日には、ネマニャ本人が参加するファンクラブのイベントが行われる。会員だけの特権だ。入会は自由なので、ぜひとも入会していただきたい。詳しくは、「ネマニャファンブログ」をご覧いただきたい。

駅に着いたら、雪が5センチ以上積もっていた。半分ほど歩いたところでタクシーを拾って、やっと帰りついた。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

樋口先生

今日のネマニャ。まさしく「凄まじい」本当にすごかったです。ヤバいとはこの事。
プロコのコンチェルト#2ということで、ある程度予想はしていたものの...
ぶっ飛ぶネマニャ。第1楽章ではあらあら、2VnもVcもチェロもおいてけぼり?
指揮者ヴェロとの強烈なアイコンタクト。ネマニャがヴェロと交信を試みるけど、第3楽章ではヴェロもついていけない。フィナーレでは1Vnコンマスも焦っている様子。オケは崩壊寸前....?
ネマニャとVc,VnのCall&Response。ついていけてない....
(オケは正直、楽譜どおり弾いてる域だった。ゴメンナサイ曲自体難しいですから..)

OK、ネマニャ!いいからそのままぶっ飛んじゃって!!
だれもネマニャを止められない!だってヴァイオリンの神様が降りて来ちゃったんですから....
と息を飲みながら心の中で叫ぶ私。呼吸も出来ませんでした。

前の方の席だったので、ネマニャが足を踏みならす音もよく聴こえました。
指揮とオケは残念でしたが、それがやや想定内でかなり楽しかった!
ゲネプロ聴いてみたかったです!

アンコールはバッハのパルティータ(たぶん#2)じゃなかったでしたっけ?
インターミッション後の、シティフィルによるチャイコ#4は、先生と同じく「祭りの後」。ネマニャショックにやられ、ぼーっとしていて耳に入ってきませんでした。

投稿: Tamaki | 2011年2月15日 (火) 01時27分

Tamaki 様
コメントありがとうございます。
コンサートの後、雪の中を家に帰って、風邪で頭がぼんやりしていたため、すぐに寝て、翌朝のかなり遅くに起きたのですが、朝までネマニャの音が鳴り続けている気分でした。
が、そうもいっていられませんね。ファンイベントを成功させるべく努力する必要がありそうです。よろしくお願いします。

投稿: 樋口裕一 | 2011年2月16日 (水) 08時27分

樋口先生

あの第3楽章の終わり方、まだ夢に出て来そうな、忘れられない
演奏でした。
これに対極的なバッハの無伴奏の演奏、内心「アンコールに
バッハを弾いてくれたらいいな、どう料理するか聴いてみたい」
と思っていただけに、「やった!!」と小躍りしました。
静かな中で最後の余韻を響かせるバッハ、これまでに記憶に残る
ヒラリー・ハーン、諏訪内晶子さんとまた違っていましたけれども、
これも感動しました。

サイン会が行われたとのこと、雪が舞っていたので私は家路を急
ぎ(危うくJR中央線で足止めされる所でした)ましたが、3月1日
のファンイベントに期待しています。

11日、14日と雪続きでネマニャは「雪男」ではないか、と思
ってしまいました。

投稿: mitsu | 2011年2月16日 (水) 13時36分

mitsu様
ファンクラブイベント、よろしくお願いします。
バッハの無伴奏を弾いてくれると、うれしいですね。
もし、要望ができるなら、要望しましょうよ。

投稿: 樋口裕一 | 2011年2月19日 (土) 10時44分

【ドイツと日本の 修好150周年を記念して、カンタータを歌いませんか!!】 
バッハ・ファンの皆さ~ん、出番ですよ~ッ!!
私達のホームP で過去の6曲を聞いて、良かったら、カンタータは如何でしょう!! 

【グレイス合唱団】では≪ドイツと日本の修好150年を記念≫して、ドイツの気鋭の合奏団や日本オペラ界を代表するソリストと共に『バッハのカンタータ』のチャリティー公演を予定し、合唱団員を募集しています。共に生涯の思い出に残る、至高・至福の音楽を味わいませんか!! 

☆公演: 2011年9月17日(土)午後/ウェスレアン・ホーリネス淀橋教会(JR:大久保駅近く) 
☆曲目: カンタータ 4番 & 80番とブランデンブルク協奏曲… J.S.Bach作曲 
☆出演: 稲垣俊也(バス)、遠藤久美子(ソプラノ)他
☆合奏: アクロアマ・アニマータ (ドイツ(エッセン)より来日)…(acroama animata)で検索して下さい!! 素晴らしい演奏の一部が聞けます!!

☆後援: ドイツ大使館、東南アジア文化友好協会、日本国際飢餓対策機構、キリスト教系各紙 他
☆チャリティー先: 東日本大震災復興支援、東南アジア文化友好協会、日本国際飢餓対策機構、ワールドビジョンジャパン 

投稿: グレイス合唱団 | 2011年5月19日 (木) 17時12分

【ドイツ・日本交流150周年記念】コンサートのチケットが発売されました!! 

【ドイツと日本の交流150周年を記念】して、ドイツの新進気鋭の合奏団を交え、日本オペラ界を代表するソリストと共に≪バッハの世界≫と題し、カンタータ2曲 と管弦楽曲3曲 他、バッハの珠玉の名曲が盛り沢山の素晴らしいチャリティー公演を予定しています。
共々に、一生涯の思い出に残る、至高・至福の音楽を味わいませんか!! そして東日本大震災・復興と世界の飢餓対策支援にも貢献しませんか!!

☆日 時: 2011年9月17日(土) 開場 12:45  開演 13:30
☆会 場: ウェスレアン・ホーリネス淀橋教会(JR:大久保駅から1分) 

☆演 目:ブランデンブルク協奏曲5番、チェンバロ協奏曲、管弦楽組曲2番、カンタータ4番、カンタータ80番 他

☆出 演: 稲垣俊也(バス)… イタリア・ヴェルディ国際声楽コンクール優勝者!! 新国立劇場開場公演の主役&二期会50周年記念公演の主役を演じる、日本の誇るオペラ歌手!!   遠藤久美子(ソプラノ)、広川恵(アルト)、鏡貴之(テナー)

☆合 奏: 室内合奏団 アクロアマ・アニマータ(ドイツ
)…acroama animataで検索すると素晴らしい演奏の一部が聞けます!!

☆後 援: ドイツ大使館、東南アジア文化友好協会、日本国際飢餓対策機構、キリスト教系各紙 他

☆チャリティー先: 東日本大震災復興支援、東南アジア文化友好協会、日本国際飢餓対策機構、ワールドビジョンジャパン

☆チケット: 7月10日より ≪チケットぴあ≫より発売!!   
      前売り券:3,500円   当日券:4,000円

☆合唱団員も、男声を中心に 募集しています。感動的なカンタータをドイツ人の合奏団と一緒に歌いませんか!!

投稿: グレイス合唱団 | 2011年8月 6日 (土) 22時00分

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