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ヴィルデ・フラングの見事な無伴奏ヴァイオリン

実は今の時期、難関大学ではない私の勤める多摩大学などでは、実に忙しい。まだ入試を行っている(現在、ほとんどの大学で、一つの学部の入試は一度や二度でなく、AO入試、推薦入試を含めて、10回以上あるはずだ)し、入学してくる学生へのサービスもしっかり行っている。それに、私がファンクラブの会長を務めているネマニャが来日したり、ラ・フォル・ジュルネ関連の仕事が重なって、あまりの忙しさで動きが取れない。しばらく肝心の原稿に手を付けられずにいる状況。しかも、腰痛に悩んでいる!!

そんななか、33日、多摩大学で教授会、その後、4月に入学する学生を集めての入学前教育体験のゼミを行ってから、武蔵野市民文化会館に向かい、最近話題の美人ヴァイオリニスト、ヴィルデ・フラングの無伴奏ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。

20代の若い美人ヴァイオリニストだとは知っていたが、それにしても、あまりにチャーミングなのにびっくり。スタイルも抜群。が、響いてくる音は、そんなかわいらしい容姿をぶっ飛ばすようなものだった。

まずはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番。次に、予定が変わってブルスタードという現代作曲家の「おとぎ話」組曲から3曲。後半は、バルトークの無伴奏ソナタ。

研ぎ澄まされ、はつらつとした美音。テクニックは完璧でいともたやすく難曲を弾きこなす。リズムも音程も崩れない。構成もしっかりしており、若いのに、一人でしっかりと世界を作っている。若い人が無伴奏曲を弾くと、どうしても崩壊しがちになるのだが、そんなところは微塵もない。

が、バッハに関しては、やはりまだ十分に訴える力がないと思った。ちょっと平板で、深い人生観や信仰などを感じない。ネマニャのような魂をゆすぶる躍動も不足していると感じた。それはそれで、余計なものがなくて良いともいえるが、私の好きなバッハはもう少し別の要素の強いものだ。

ブルスタードの音楽もおもしろかった。軽妙でありながら、しっかりと古典的な様式を保ち、しかも現代のにおいがする。

が、圧巻はバルトーク。先に言ってしまうと、実は、私は戸田弥生さんの演奏で初めてこの曲の実演を聴いて圧倒されたのだったが、戸田さんのひたむきで張り詰めたものとはかなり雰囲気が違うので、初めは少し戸惑った。むしろもっとあっさりと弾き、戸田さんの演奏のようにはバルトークの苦悩などはあまり伝わらない。もっと開かれた世界。むしろ、音とリズムの世界で論理的に世界を作っていく。それが小気味いい。しかもダイナミックで音が生きている。第二楽章はとりわけ心が躍るようだった。

弦が切れたということで、アンコールはなし。なくて良かった。このバルトークの後に何かを聴く気にはならない。

一昨日、昨日と二日連続してネマニャ・ラドゥロヴィチのヴァイオリンにしびれたばかり。それに比べれば、すこし味の薄いヴァイオリンだったが、十分に満足した。

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