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ラ・フォル・ジュルネの新たなプログラム発表

 昨日、夕方、東京のラ・フォル・ジュルネの新たなプログラムが発表された。5つのホールで全部で90ほどの公演だという。「大幅縮小」という発表だったが、昨年の半分ほどの規模。よくもここまでの規模を維持できたと思う。

 裏話を少し聞いたが、一時は中止やむなしという決定がされかかっていたらしい。その後、3日間で合計10公演くらいにとどめるという判断もなされていたようだ。だが、多くの人の熱意、そして、アーティスティック・ディレクターであるルネ・マルタン氏の熱心な説得、それに応じた多くの海外の演奏家のおかげで、昨日発表されたレベルにまで回復できたということだ。

 事務局からの発表や態度が次々と変わり、いつまでも決定がなされないので、はたから見ると、まさしく東電と同じような朝令暮改やら迷走やらに見えただろう。実は私自身、少し前のこと、ラ・フォル・ジュルネを紹介するつもりでラジオ番組の収録に出かけたのだったが、何一つ決まっていない状態だったため、別の話をするしかなくなって大いに困ったのだった。

 だが、そんなことで嘆いている場合ではない。その間も、内部では必死の努力が続けられ、今回の発表に至ったようだ。私は、プロデューサー生命をかけて説得をしてくれたマルタン氏、そして、それに応じて、汚染国として報道されている日本に来てくれる演奏家たちに、最大限の感謝の気持ちを抱く。また、このような混乱の中、切羽詰まった中で煩雑な仕事をしてくださったスタッフの方々には頭が下がる。

 今回発表のプログラムには、予想通り、日本人演奏家が多い。だが、言うまでもなく世界で大活躍をしている演奏家たちだ。間違いなく素晴らしい演奏をしてくれるだろう。今回のラ・フォル・ジュルネが成功すれば、日本の演奏家のレベルが世界的であること、ラ・フォル・ジュルネが日本に本当の意味で定着したことを示すことができると思う。成功を祈りたい。そして、本番までの間、原発の新たな汚染や大きな余震がないことを祈りたい。

 ところで、娘の通う大学では5月から授業が開始されるらしいが、私の勤める多摩大学では、4月から通常通りに授業が始まった。春休みに書かなければならない原稿や書きたい原稿がたくさんあったのだが、震災などの影響で捗らなかった。音楽をじっくり聞く気分になれないのと同じように、どうも落ち着いて原稿を書く気分になれない。そのまま授業が始まり、ちょっと焦っている。

 昨日は、授業の後、ゼミの飲み会だった。若い人々と飲むのは楽しいが、実は私は居酒屋が大の苦手。あの音のうるささには閉口する。うるさいと疲れて仕方がない。もっとも、昨日はゼミ生35人ほどが参加したので、大きな騒音をまき散らしたのは、私のゼミ生当人たちだったが。へとへとに疲れて家に帰った。

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コメント

想像以上にしっかりとしたプログラムに、正直に言いましてちょっと驚いてます。しかもこういうことを言うと誤解が生じるかもしれませんが、数が減ったことにより見通しのいい、聴き手がとてもチョイスしやすい音楽祭になったような気がします。それにちょっと心配した読売ホールの使用も、これならばそんなに混乱しないような気がしました。それにしてももう来週なのですね。早いです。

投稿: かきのたね | 2011年4月24日 (日) 18時05分

初めて拝見して書き込ませていただきます。

 私は、ラフォルジュルネオジャポンのスタッフは大変頑張ったと思います。
 確かに決定や発表まで時間がかかったのは「心配」はしましたが,私個人的には,樋口さんがおっしゃられるような「事務局からの発表や態度が次々と変わり、いつまでも決定がなされないので、はたから見ると、まさしく東電と同じような朝令暮改やら迷走やらに見えただろう。」とは思いませんでした。
 また,そういう認識を持つ人がもしいたら少し逆に残念に思います。
 通常のマネジメント会社は段取りはしているはずですし,そのような段取りの想定を超えた事態が今回起きたわけです。
 東電のような危険物を取り扱い「想定外は理由にならず,リスク管理しておくべき」というような危険対応義務のある会社は理由になりません。一方で,ラフォルジュルネオジャポンのマネジメントサイドは被害者ですし,初動で迷走があったとしても責めるのは酷だと思います。

 私は別にマネジメントサイドを贔屓しているわけではありません。
 毎年ラフォルジュルネに行きまして,また別の時に,このマネジメント会社主催のコンサートにもいき,若干このマネジメント会社に慇懃無礼な対応を感じることも無いとは言えないと感じています。(どうもコンサート後のサイン会とかを見ますと,不況下で常連でクラシックコンサートに来ている客に対して,きちんと報いることなく,慇懃無礼な姿勢が目立って,そういう点では純粋な顧客サービスとして不満ですし,そこは寄席での落語家の客へのサービス精神を見習うべきと思いますが・・・)

 ただ,そのようなマネジメント会社の態度があるにせよ,今回は彼らに過失はなく,むしろ最大限頑張っており,「東電みたいに」という表現で言われるのはそもそも言い過ぎで,かわいそうに思います。
 第一義には東電の対応が大問題であり,そこは一音楽祭とはいえ,「毎年10万人規模の来場者の大イベント」にマイナス影響を与えた点では,賠償も含めて対応すべきで,外野であるファンもまずはそちらの根本について筋を問うべきと思います。

 もちろん東電責めたからと言って音楽会が元通りにはならないでしょうが,マネジメント担当は責められるべき点は本件については無いと思いますし,決断一つで関連会社・スポンサーに多大な影響が出るのであれば1週間という短期間でよくぞ体裁を頑張って保ったものです!!
 むしろ東電に補償させるべきです。

 私は最初のベートーベンの時は転勤でいけませんでしたが,モーツアルト以降は毎年訪問している大好きなラフォルジュルネがこんな目にあってとても悲しいです。
 
 来年以降正常に戻れるように今から筋をつけるべきだし,今年も代替案でこれだけ頑張ってくれたマネジメントサイドに全面的な敬意を表したいし,十分評価に値すると思うのですが・・?

駄文恐縮でした・・・書いていて熱くなってしまいまして申し訳ございません。

投稿: コロリオフのバッハ | 2011年4月24日 (日) 23時22分

かきのたね様
コメントありがとうございます。
チョイスしやすくなったのは確かですが、やはりそれでも悩んでしまう時間帯がたくさんありますね。
とても残念なのは、コルボのドイツ・レクイエムがないことです。どうやら、コルボさんが来ないのは、原発のせいではなく、体調のためのようですが。コルボでなくても、だれかがドイツレクイエムを演奏してくれればうれしかったのですが。

投稿: 樋口裕一 | 2011年4月25日 (月) 08時09分

コロリオフのバッハ 様
コメント、ありがとうございます。
わかっていただけていると思いますが、もちろん私は、ラ・フォル・ジュルネのスタッフ、そして幹部の方々に最大限の感謝をささげています。
「東電のような迷走」と書いたのは、ラ・フォル・ジュルネがどのように思われているかをネット内を調べているうちに、そのような考えや表現に行き当たったからです。そのように批判している人がかなりおられるようです。
が、もちろん、私は、外からはそのように見えるにせよ、実際には皆さんが必死の努力を重ねていたことをわかっていただきたかったのです。私は半分、ラ・フォル・ジュルネの内部に足を突っ込んでいますので、内部を少しのぞくことができるのですが、それはそれは大変苦労だと思いました。
ともあれ、ラ・フォル・ジュルネはすぐに迫っています。素晴らしい演奏が繰り広げられることを楽しみにするばかりです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年4月25日 (月) 08時20分

新プログラムのラフォルジュルネ、熱意がとても伝わってきて別の意味で熱く盛り上がりそうですね!
樋口先生のオススメのプログラムはどれですか?
デュメイはやはり抑えておくべきか、、

投稿: とぴか | 2011年4月25日 (月) 22時41分

とぴか様
コメントありがとうございます。
デュメイは私も抑えておくべきだと思います。
そのほか、プラジャークSQを中心にした「浄夜」とブラームスの弦楽六重奏曲第一番、ブラレイとプラジャークによるブラームスのピアノ五重奏曲、ロマン・ギュイヨを中心としたクラリネット五重奏曲、マリアンヌ・プスールが歌う「月に憑かれたピエロ」が外来演奏家による大注目のコンサートだと思います。そしてもちろん、庄司さん、児玉桃さんら日本人演奏家の目覚しい演奏も楽しみにしています。

投稿: 樋口裕一 | 2011年4月26日 (火) 07時37分

先生、ありがとうございます!ブラームス初心者なので参考になります~。浄夜は聞いたことがないのでこれを機に聞いてみようかな。でも確かに公演が重なって悩ましいプログラムですね(笑)
5/2のプログラムも早く知りたいですね。

投稿: とぴか | 2011年4月26日 (火) 14時05分

とぴか様
ごめんなさい。説明が不十分でした。
「浄夜」と「月につかれたピエロ」はいずれもシェーンベルクの作曲です。シェーンベルクは「現代音楽」の作曲家として知られていますが、けっしてとっつきにくくありません。きっと楽しめると思います。

投稿: 樋口裕一 | 2011年4月27日 (水) 08時10分

先生、わざわざ訂正補足ありがとうございます!
浄夜聞いてみますね〜
月に〜は少し聞いたら、アバンギャルドすぎて(笑)全部聞くと違うのかしら。ふふふ。
クラリネット五重奏やチェロソナタをLFJで聞きたかったのですが、プログラムが重なってしまいました(・_・、)もっとやってほしい〜

地方LFJのレポートもお待ちしてます

投稿: とぴか | 2011年4月29日 (金) 05時01分

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