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札幌、「さまよえるオランダ人」BDのことなど

 17日。朝から家を出て北海道に向かった。立命館慶祥中学・高校での研修のため。研修はとてもうまくいった。仕事の後、新札幌駅付近の魚鮮という店で会食。数年前から毎年、この時期に北海道を訪れ、同じ店で食事をしている。刺身が実にうまかった。そのまま札幌駅付近のホテルに泊まった。最高気温が12度ということでかなり寒かった。

 遠出する時には、仕事を持ち歩くのが常だった。いつもパソコンを持ち歩き、暇を見つけて急ぎの原稿を書いていた。が、今回は、特に急ぎの仕事がない。まだ、ラ・フォル・ジュルネ疲れが十分に抜けないので、ゆっくり休むことにした。

 18日。午後の飛行機で東京に出発するので、少し時間があった。午前中、北海道大学を見物。ものすごい広さに驚いた。畑があり、森があり、並木道があり、行けども行けども大学構内。大学構内を車や自転車が行きかい、構内循環バスが通っている!! 周囲を歩くだけで、ゆうに1時間以上かかると思う。私は対角線上に歩いてみたが、それでも30分以上かかった。私の勤める多摩大学がちっぽけに感じられた。

 ついでに旧北海道庁舎まで歩いた。前日と打って変わって、かなり暖かかった。朝から20度を超えていた。歩いていると、汗ばむほどだった。公園の池のほとりに桜が残っていた。

 11時過ぎから並んで札幌駅ビルの「花まる」という回転ずしの店に入って昼食。回転ずしというレベルを超えた味。ほとんどのネタがおいしかった。15時の飛行機で羽田に向かった。

 羽田到着後、すぐに九段にある寺島文庫ビル1階にある「文庫Caféみねるばの森」に行って、「音楽の夕べ」を聴いた。多摩大学学長でもある寺島実郎先生の挨拶に始まり、王暁東(ワン・シャオトン)さんの中国琵琶によって、数曲聴いた。私は東洋音楽についてはまったく何も知らない。「十面埋伏」という曲がおもしろかった。札幌からの帰りなので、そのまま家に帰った。

 19日、20日は多摩大学で授業と会議が続いた。21日も大学で委員会、教授会、勉強会、多摩大学後援会交流会と続いた。猛烈な忙しさだった。

127 家に帰って、やっと時間ができたので、買ったばかりの『さまよえるオランダ人』のBDを見た。ハルトムート・ヘンヒェン指揮、マルティン・クシェイ演出の2010年のネーデルラント・オペラ公演。

 演奏的には不満を感じた。ダーラントを歌っているのはロバート・ロイド。好きな歌手だが、ちょっと歳をとりすぎた。声がくぐもっている。昔のような朗々たる高貴な響きがないのが残念。

オランダ人はユハ・ウーシタロ。容姿の不気味なところはオランダ人にふさわしいが、声に伸びがない。以前、新国立でこの人のオランダ人を聴いたが、かなり良かった記憶がある。最後の最後になってかなり迫力が出るが、初めからもっと悪魔的に歌ってほしかった。

 ゼンタを歌うキャスリーン・ネイグルスタードは、初めて知る名前だが、なかなかいいと思った。きれいな声で正 確に歌う。が、バラードはもっと迫力がほしい。同じように、エリックを歌うマルコ・イェンチュも、なかなかいいのだが、柔和で優しい。意図的にこのように歌っているのかもしれないが、私としては、もっとワーグナー的な迫力がほしい。

 ヘンヒェンの指揮も同じようにちょっと物足りなかった。もっと躍動してくれないものか。凄味が不足。

というように、不満を覚えつつ見ていたのだが、さすがに第三幕の終盤はかなり盛り上がる。最後の10分間くらいは、私は夢中になって見た。もし、私が実演を見ていたら、きっと大感動しただろう。

 演出はクシェイだが、私はこの演出家は嫌いではない。というか、好きといってもよいかもしれない。新国立の「ムチェンスク郡のマクベス夫人」やドホナーニ指揮の「エレクトラ」の演出はとてもおもしろかった。

 ダーラントの船は現代の観光船という設定。色とりどりの服を着た観光客に交じってダーラントや舵手が歌う。そこに黒づくめの不気味なオランダ人があらわれる。第二幕は、現代のプールサイドで、ゼンタは女性たちにいじめられている。そして、ゼンタがバラードを歌っているときに、背後で幽霊船の乗組員らしい黒づくめの人物が殺される! 第三幕では、幽霊船の乗組員たちはじっと不気味に身動きしない。そして、最後、何とオランダ人もゼンタも、エリックの銃で撃たれて死ぬ! 

 私は、「現代社会は、悪魔的なものを殺してしまい、世界を平板にしてしまった」というメッセージをこの演出に読みとったが、これは私の深読みだろうか。だが、だからと言って、演奏までも悪魔性をなくすべきではないと思うのだが。

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コメント

樋口先生はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。
今年も札幌へお出かけになられたのですね。
私の母の友人がいるので札幌には10回以上行っていますので、その話題には心躍ります。
去年の夏に、樋口先生のブログを読んで魚鮮に行ってみましたら、サメカレイの刺身が本当においしかったので3回もおかわりしてしまいました。
なお、私の札幌お勧めのお店はツキサップじんぎすかんクラブとアサヒビール園はまなす館のジンギスカン食べ放題です。

投稿: Y.M | 2011年5月23日 (月) 00時06分

YM様
コメント、ありがとうございます。
今年もサメカレイの刺身を食べてきました。絶品でした。
アサヒビール園の話はよくききます。機会を見て一度行ってみたいと思っています。
本場のジンギスカンは食べたことがありません。おいしいんでしょうね。そのうち、PMFの時期に北海道に行って、存分においしいものを食べまわりたいと思っています。

投稿: 樋口裕一 | 2011年5月24日 (火) 00時06分

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