ネトレプコ来日中止に愕然
メトロポリタンオペラの来日公演が近づいたので、最終確認をしようと、何気なくジャパンアーツのHPを見て愕然!! ネトレプコがキャンセルになったことを知らせる告知が出ていた! 体の力が抜けてしまった。
原発事故以来、来日キャンセルの演奏家が増えている。私の行く予定だったコンサートもかなり中止された。メトロポリタンオペラも、例外ではない。指揮のレヴァインがファビオ・ルイージに交替したのは、ルイージの「ばらの騎士」を感動してみた私にとっては、それほど悪いニュースではなかった。が、ぜひとも見たかったカウフマンが来日しないというのは大ショックだった。そして、これまたぜひともエボリ公女を見たかったボロディナもキャンセル。それでも、ネトレプコが来日するらしいのが心の慰めになっていたのだが、そのネトレプコもキャンセル。
私はプッチーニは好きではない。マーラーのように大嫌いというのではないが、聴いていてどこがよいのかよくわからない。メロドラマ調にもついていけないし、オーケストレーションもなんとかしてほしいと思う。ミミをネトレプコが歌うからこそ、「ラ・ボエーム」を楽しみにしていたのだった。そして、ネトレプコの演じるミミによって、私もついにはプッチーニに感動する人間になるのではないかと、半ば期待し、半ば恐れていた。
もちろん、ほかにダムラウも来日する。ヴィラゾンも来る。韓国テノールの「ヨン様」も初登場。きっと素晴らしい歌手が目白押しなのだろう。が、ネトレプコとカウフマンが来ないと、私としてはかなりさびしい。
意気消沈・・・。
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コメント
えっ!(絶句)
大ショックです。
ネトレプコの公式ホームページを昨日まで毎日かかさずチェックして
そこには、Nagoyaと書いてあっただけに本当にショックです。
ジャパンアーツのHPをみました。
すると、代役、バルバラフリトリ(!)
去年も彼女のミミをみましたが、すばらしかったです。
すこしだけ気が晴れました。
カレヤの代役にメキシコのテノールが という噂がありましたが
ヴィラゾンなんですね。
投稿: BRIO | 2011年5月31日 (火) 21時08分
先生、
このような事で筆舌に尽くしがたい...と言っては大げさかも知れませんが、
本当にショックなニュースです。
カウフマンファンの私は過去に海外公演で4度キャンセルにあっていますから、震災の直後「こりゃ来ないな...」と思いましたし、先日リンカーンセンターでワルキューレを観て来たので、今回は心の整理がついています。
ルイジも大好きですが、今回はジミーに振ってほしかった。40周年という記念ですし、体調悪そうですし、もう来日のチャンスはないのでは、と思っています。
しかし、ネトレプコとカレーヤが今日になって降板発表とは。
ゲルブ総裁の本日の記者会見では、48時間で2人の代役を決めた、とのことですがさすがにゲルブ総裁です。フリットリをミミにスライドさせるあたりもさすがです。
こういう時こそ、総裁の手腕と人望が問われるのでは!という楽しみ方はどうでしょう。
それを証拠に?ヴィラゾンがまさかの復帰(まさか日本で!)ですし、アルバレスも急遽来日。がっかりも大きいですが、面白いことになってきました。
先生におかれましては、昨年のROH来日時の「ネトレプコがまさかのヴィオレッタ」に遭遇されたことを思い出していただき、お心安らかに、とお祈り申し上げます。
投稿: Tamaki | 2011年5月31日 (火) 22時06分
ネトレプコはチェルノブイリへのトラウマに加え、お子さんが生まれたばかりだからキャンセルはある程度覚悟してはいました。しかしジャパン・アーツの経過説明を読むと、いつキャンセルを決めたか疑わしい矛盾を感じます。福島原発事故からある程度早い時期にキャンセルを表明していたのを売らんがために隠蔽していたのでは?…とも取れる内容です。『ボエーム』はネトレプコを聴きたい・観たいからチケットを買ったというファンは、低姿勢ですみません申し訳ございませんを繰り返しながら、パンフレットに書いといたから払い戻しはしないしお釣りも出しませんというジャパン・アーツの対応に怒り心頭な人が多いでしょう。僕もネトレプコが聴きたかったから『ボエーム』のチケットをを買っていましたが、ミミがフリットリに、僕がチケットを買っていた6/19のロドルフォがアルバレスに代わったなら、それはそれで悪くはなさそうなので、改めて期待します。ですが招聘会社が頭を下げて舌を出す様な不誠実な態度ばかり取っていては、今後外来オペラ公演のチケットは売れなくなり、赤字で会社の存続すら危うくなるでしょう。
投稿: 崎田幸一 | 2011年5月31日 (火) 22時23分
コメントをくださった皆様
コメント、ありがとうございます。大ショックを受けた点では、みなさんも私と同じようですね。ニュースを聞いて以来、することがたくさんあったのに、まったく捗らなくなってしまいました。
恋人に振られた男性にたいして、だれもが「女はほかにいくらでもいるのだから、そんなに悲しむことはない」と慰めるわけですが、もちろん、その言葉に効き目はありません。愛する女性は唯一無二の存在だからです。フリットリが素晴らしいのは、昨年のミラノスカラ座日本公演の「ドン・カルロ」や録音などでよく知っていますし、ヴィラゾンを聞けるのもうれしいことですが、私にとってネトレプコは唯一無二の存在ですからね。どんな慰めもむなしく聞こえます。
ただ、崎田幸一様、ジャパンアーツの件について、私の意見は異なります。これまで、いくつかの招聘会社と付き合ってきた経験からいって、彼らもファン以上に、高い値段にふさわしい歌手たちが予告通りに来てくれるのを祈っているのだと思います。予告通りにできないと信用を失うことは、だれよりも彼らが分かっているはずです。ですから、今回もぎりぎりまで必死の努力をしていたのだと思います。
つくづく思うのは、音楽を心から愛する人々が、苦しい経済状況の中で最大限の努力をして、現在の公演が成り立っているということです。私の知る限り、この業界に暴利をむさぼっている人や、ファンをないがしろにしている人など、一人もいません。返金に応じられないのは、それに応じると、今回だけでなく常に応じなければならなくなり、大赤字になって倒産せざるを得なくなるからでしょう。どうか、音楽にかかわる人たちの善意を信じてください。
投稿: 樋口裕一 | 2011年5月31日 (火) 23時56分
樋口先生
簡単にですがわたくしめへのコメントに目を通させていただきました。また後で詳しく読ませていただきますが、昨晩意地悪なコメントを書いた事を反省します。確かにメト側やジャパン・アーツが悪意でだったりいい加減な気持ちでいたら、フリットリをミミにするなんて離れ業は出来ないでしょう。僕自身昨年ロイヤル・オペラでの『マノン』も突然飛び入りした『トラヴィアータ』(は横浜での初日を聴きました)も聴かなかったので、ネトレプコは初めて聴ける筈だったから残念至極ではありますが、フリットリやアルバレス、更にはプリシュカ等の実力派の出演、やはり生は初めてのルイージ、ゼッフィレルリの演出による豪華な舞台等楽しみな要素はいくらでもあります。(次いでで申し訳ありませんが、やはり主役級二人の降板が残念ではありますが)『ドン・カルロ』共々今から待ち遠しいです。
投稿: 崎田幸一 | 2011年6月 1日 (水) 12時59分
無責任
投稿: nain | 2011年6月 1日 (水) 22時54分
nain様
「無責任」というのは、私のことでも、ジャパンアーツのことでもなく、ネトレプコのことですよね。
確かに私も非難したいところです。が、私の勤める大学でも、留学生が何人も来日を取りやめ、本人が来たいと言っていても親が断固反対している現状を考えると、私は、来てくれる人に大いに感謝しますが、来なかった人を責める気持にはなれずにいます。
ともあれ、ネトレプコ、カウフマンという大きな穴が生じてしまいましたが、良い演奏をしてくれることを祈るだけです。
投稿: 樋口裕一 | 2011年6月 2日 (木) 07時39分
樋口さん、こんばんは。
ザルツブルクに行きましょうよ!ネトレプコ来ますよ。オペラではないですが…。
あと、みなさん「いい人」ばっかりですが、メトという歌劇場はアメリカ&ユダヤ金権主義の牙城のようなところですから、そこまで日本のことは考えてませんよ。かつて、クナッパーツブッシュを買収しようとして、小切手をビリビリに破かれた事件…ヨーロッパとアメリカの「アリストクラシー」の違いなんでしょうけど。まあ、総支配人の、ビジネスの手腕が凄いのは仰せの通りなのですが。
投稿: ねこまる | 2011年6月 4日 (土) 18時39分
ねこまる様
実は、今年の夏、ザルツブルグに行こうと計画を立てています。ネトレプコはコンサート形式の「イオランタ」を歌いますよね。
メトという歌劇場は、きっとおっしゃるとおりでしょうね。もっともシビアなエンターテインメント・ビジネスの世界なのでしょう。が、日本は、劇場も招聘会社もそれに振り回されるばかりに思えます。東洋に生まれながら、欧米の文化に耽溺している人間たちの宿命なのかもしれませんが。
投稿: 樋口裕一 | 2011年6月 5日 (日) 10時15分
ジャパンアーツにクレームを。
超一流料金?でトタキャンされ。
病気ならまだしも原発理由では?
もともと、渡航自粛国家で無理やり
公演、まずは金儲けが第一。
まあ当然の話。これからは
もっと、賢く生きなければ。
自己反省の日々。
投稿: オペラファン | 2011年6月 5日 (日) 17時33分
正直まるごとオーケストラが来日しないことも珍しくないこのご時勢に、よくこのオペラハウスが来日する気になったものだと自分はその事実にびっくりです。レヴァィンの代役に選ばれたルイージ、そしてノセダもよく来てくれたと思います。今年一年は誰が来なくても驚いたり失望したりしてはいけない、というよりもうそれを織り込み済みにしておかないと神経がたもないと思います。
それにしてもクラシック系の来日中止は他のジャンルに比べて著しく多いような気がします。口の悪い知人は「クラシック系の音楽家にとって、日本は金儲けする場所としかおもっていないということと、そういう人たちがまた気持ち的いかに脆弱かということが今回浮き彫りになった。」とまで言っていました。
まあ自分はそこまで言うことはないだろうと考えていますし東電の嘘吐き体質を考えれば、まだ他にも何かあるのでは?と考えるのが当然と考えています。が、中にはそのような知人の指摘通りの人もいるんだろうなあとも考えています。
もちろん来る来ないはどちらにしても当人の自己責任なので、どちらがどうと自分には言う資格はありませんが、これはある意味クラシックにおける来日中止の頻度が、海外からみた日本に対するイメージの偽りない姿のあらわれなのかもしれません。
それを思うと来年以降はそういう方々も笑顔で来日できるような、そんな日本になっていてほしいです。
投稿: かきのたね | 2011年6月 5日 (日) 19時51分
今のところどこまで本当かわかりませんが、2ちゃんねるの来日オペラ総合スレによると、ジャパン・アーツに苦情を入れたら、警察に被害届を出された人がいるらしいです。
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/classical/1304945749/
投稿: U | 2011年6月 5日 (日) 22時11分
オペラファン様、かきのたね様、U様
コメント、ありがとうございます。
ジャパンアーツが被害届を出した話、初耳でした。にわかには信じられませんが、万一、事実だとすると、ちょっと行きすぎだと思いますし、それほど苦情が殺到して、ジャパンアーツが大きな危機感を抱いているということだと思います。きっと板挟みになり、忸怩たる思いでいながらも、ここは自己防衛せざるを得ないということでしょう。
もちろん、私もネトレプコやカウフマンのキャンセルについて、非常に残念に思い、一言文句を言いたい一人ですが、すべての関係者の気持ちがよくわかるだけに、「オペラファン」さんのおっしゃるように「賢く生きる」ことはできそうもありません。
クラシック関係者のキャンセルが多いのは、原発に敏感なドイツ系の関係者が多いからではないでしょうか。そして、私も基本的には「反原発主義」の側にいる人間ですので、それを非難することはできずにいます。
ともあれ、今回に関しては、私は、クラシック音楽関係者の善意を信じ、人を怨むことなく、ただ良いオペラを楽しむことだけを考えたいと思っています。
投稿: 樋口裕一 | 2011年6月 6日 (月) 07時39分
今日はユンディ・リのファンの集いに行って来ました。興業主はまだジャパンアーツなのでしょうか?辞めたとの話も伺いますが。スタッフが私に意地悪をして物凄い傷ついています。お金を支払って参加したのに酷いです。倒産すればいいのに。
投稿: ギコ | 2011年11月19日 (土) 23時52分