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バシュメットとモスクワ・ソロイスツ、そして腹鳴りのこと

 昨日、523日、武蔵野市民文化会館小ホールで、ユーリ・バシュメットの指揮とヴィオラ、モスクワ・ソロイスツ室内合奏団の演奏を聴いた。若き巨匠だったバシュメットも、かなりお歳を召していた。とはいえ、私よりも2歳ほど年下であることに改めて驚いた。ずっと昔から巨匠だったので、もっと年上のような気がしていた。

 曲目は、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、ホフマイスターのヴィオラ協奏曲、パガニーニのヴィオラ協奏曲イ短調(もとはギター四重奏曲15番)、チャイコフスキーの弦楽セレナード。

 バシュメットの実演を聴くのは初めて。実に深いヴィオラの音色。驚くべき技巧。出てくる音が実に美しい。ホフマイスターの曲は聞いた記憶があったが、パガニーニは初めて。なかなかおもしろかった。ヴァイオリンほどの甘美さや鋭さ、チェロほどの深みを持たないヴィオラという中途半端な楽器なのだが、このような存在価値があるのだと認識した。

それにモスクワ・ソロイスツ(ヴィオラ奏者がやたらに多い室内弦楽オーケストラなのにびっくり!)も確かな技量で、たかだか20人程とは思えない。オーケストラの音の色が濃いとでもいうか。

 ただ、残念ながら、私はあまり感動できなかった。徐々に良くなっていったが、初めのうち、オーケストラにザツさを感じた。一人ひとりの技量は確かだと思うのだが、縦の線がときどき乱れる。

そして、もう一つ思ったのは、バシュメットの指揮のせいなのか、あまりに真面目で、あまりに知的で、音楽の表情がはっきりしないということだ。たとえばチャイコフスキーの弦楽セレナード。言うまでもなく、チャイコフスキー特有の美しいメロディにあふれている。バシュメットはこの曲を実に丁寧に演奏する。ところが、それぞれのメロディの表情が浮かびあがらない。知的すぎてチャイコフスキーのような情緒的な曲は遠慮がちになるということだろうか。

 アンコールとして武満の「ワルツ」とシュニトケの「ポルカ」が演奏された。これも表情たっぷりに演奏しないとおもしろくならないと思う。そして、彼らとしては表情を豊かにしているつもりなのだと思う。が、どうしても優等生が冗談を口にしたような雰囲気になってしまう。

 ないものねだりだとわかってはいるが、もうちょっとしゃれっ気がほしいと思った。そうしてこそ、音楽の表情がもっと豊かになると思った。

 ところで、昨日、演奏中に腹鳴りがして困った。私は演奏会マナーをかなり守っているほうだと思う。膝の上には原則として何も置かない。音楽に全神経を集中する。だが、腹鳴りでは迷惑をかけた。

 私はふだんから腹が鳴るほうだ。若いころからずっとそうだった。家族にもよく指摘される。当然ながら、コンサート中にも腹が鳴る。空腹だと必ず鳴る。これはまずいと思ってコンサート前に軽く食事をするようにしているが、それでも鳴ることが多い。

一言でいえば、音の大小はあっても、私は演奏中に数回、腹を鳴らしているに違いない。たまたま音楽の音が大きいときには気づかれないが、静かなときには隣の席の人には気づかれているだろう。ときどき、自分でも、「こんないいところで、腹が鳴りやがって!」と思うのだから、近くに座っている人に同じように思われているに違いない。知人と隣り合って聴くとき、「お腹がすいているみたいですね」と言われることがときどきある。

周囲の人に迷惑と思われていないことを祈るばかりだ。が、どうしようもない。腹鳴りを防止するよい方法はないのだろうか。

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コメント

おなじ様な悩みがあるためたまたまこちらをみました。
食事中にうっかり空気も一緒にたくさん飲み込んでいるとお腹がなったりすることもあるようです。あとは過敏性腸症が原因という方もいらっしゃるようです。
↓参考ページです。
http://www.haranari.com/donkisyou.html

ところで先生のホームページなのですが、停止されたのでしょうか?
『樋口裕一の書斎より』のページがみられないのですが・・・・・・

投稿: てし | 2011年6月 8日 (水) 14時52分

てし様
コメント、ありがとうございます。そして、有益な情報、ありがとうございます。
「空気を飲み込むのが原因なので、ゆっくり食べるといい」といったことは以前から、ネットで見て知っていたのですが、ゆっくり食べるように心がけても、これまで効果はありませんでした。
おかげで詳しいことを知ることができました。
が、サイトを読んで、私はコンサートの前、スープや麺類を食べることが多いのですが、そのせいかもしれないと気づきました。もう少し様子を見てみます。ともあれ、ありがとうございました。

投稿: 樋口裕一 | 2011年6月11日 (土) 09時07分

樋口先生は麺類がお好きなんですか。

僕は新国立劇場近くだと加賀(立ち食いそば)に良く行きます。
甲州街道沿いですと「九秀」が上品なあごだし豚骨(ラーメンです)で美味しくてお勧めです。

観劇前だとてっとり早くたべたいのでどうしても炭水化物とっちゃいますよね・・・・・・

麺だから空気までたべている気は全くないのですが、それともしっかり見ようと緊張してカロリー消費してしまっているせいなんじゃないかともう鳴りそうな気配の時は腕を組んで開き直っています。

投稿: てし | 2011年6月11日 (土) 21時35分

てし様
コメント、ありがとうございます。
麺類、大好きです。旅行もコンサートも基本的に一人で行きますので、どうしても外では手軽な麺類を食べることになります。私は、これまで新国立に行くときには、新宿のルミネか、オペラシティのビル内のいずれかで食べていました。「九秀」、おいしそうですね。私は九州出身なので、ラーメンは今でも基本的にとんこつを食べます。今度、行ってみることにしましょう。
そうそう、お答えするのを忘れていました。「樋口裕一の書斎」は閉鎖しました。小論文関係は白藍塾のHP、それ以外はこのブログに書くため、あまり意義を感じなくなったためです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年6月12日 (日) 09時49分

ホームページは閉鎖されていたのですね。確かに最近はブログも載せられる情報量が前より増えましたから、更新のしやすさではブログの方が良いですね。

九秀は幡ヶ谷駅が近いです。ちょと歩きますが(3時までは禁煙タイムです)
http://r.tabelog.com/tokyo/A1318/A131807/13109886/

新宿ルミネは前は地下にタイ料理のゲウチャイ(米の麺が美味しかったです)がありましたが後から入ったお店も美味しいですね。

タイ料理ですとそういえば甲州街道沿いで笹塚駅方面に歩いて行くと「セラドン」という美味しいタイ料理のお店もあります。


投稿: てし | 2011年6月12日 (日) 21時57分

てし様
情報、ありがとうございます。実は私はエスニックが大好きなので、ありがたい情報です。「セラドン」、かつて行ったことがあるような気がします。まだ、東京にほとんどタイ料理店もベトナム料理店もない頃、店ができたと聞いては、食べ歩いていました。さすがに、最近は辛い物や脂っこい物を食べると、消化しきれずに苦しむようになって、あまりエスニックの食べ歩きはしなくなりましたが。

投稿: | 2011年6月16日 (木) 15時37分

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