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東京のラ・フォル・ジュルネ 5月4日(2日目)

2日目の東京ラ・フォル・ジュルネ。今日も充実していた。例によって、簡単に感想を記す。

・竹澤恭子(ヴァイオリン)、加藤洋之(ピアノ)でブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番と第3番。

身振り大きくて情感豊かなヴァイオリン 。表情豊かで、感情をたっぷりこめたブラームス。見事な竹澤さんの世界を作っている。竹澤さんのブラームスはこれはこれで好きな方は多いと思う。だが、私としては、もっとがっちりしたブラームスを好む。ピアノの存在感も薄かった。ピアノがもっとがっしりとサポートしていたら、印象が異なっていたかもしれない。

・ドミトリ・マフチン(ヴァイオリン)と児玉桃(ピアノ) シューマンの幻想小曲集作品73、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3

同じブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番を連続して聴いた。私は、マフチンのほうがずっと好きだ。情緒に流されないがっしりした男性的なヴァイオリン。それに、激しく切り込むときには激しい。やるべきことはやっている。終楽章の盛り上がりはすばらしい。そして、児玉さんのピアノも見事。昨日、デュメイとも同じ曲を演奏しているが、そのときとはちょっと雰囲気が違った。よりいっそう自然に演奏している感じ。専門的なことはわからないが。ともあれ、児玉さんのピアノがとても自由で美しくて、堪能できた。

・堤剛(チェロ)、クレール・デゼール(ピアノ)で、ブラームスのチェロ・ソナタ第一番と、ヴァイオリン・ソナタ第一番のチェロ版。

 とてもよい演奏。堤さんのお人柄を反映してなのか、誠実でしっかりとした誇張のない演奏。渋く、味わい深く、しみじみと美しい。深い情感がこもり、言いがたい味わいではある。ただ、この曲はもっと若々しくて甘美なはず。そのように考えると、堤さんにはとても申し訳ないけれど、若さをあまり感じない演奏だった。ご自分の心情をチェロに託して歌うと、やはりこうなってしまう。それが堤さんのすばらしさなのだが、この曲では、それが十分に生かされなかった気がした。第二番のほうが堤さんの今の心境に合っていたのではないだろうか。

・スヴァトスラフ・モロズ(ヴァイオリン)、エリーナ・パク(ヴィオラ)、タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)、ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)で、ブラームスのピアノ四重奏曲第一番。

 なかなかの力演。これも好きな人が多いだろう。が、残念ながら私の好みではなかった。ベレゾフスキーの個性なのかもしれないが、ものすごい勢いで華麗に、そして力強く押しまくる。だが、それをすればするほど、おずおずとして情熱を秘めたブラームスが遠のいていく。それに、この曲は、第四楽章の威勢のよい音楽に向けて徐々に高まっていくべきだと私は思っている。はじめはおずおずしているが、だんだんと盛り上がり、最後に第よく楽章に突入する・・・それがこの曲だと思っている。それなのに、最初から威勢がよいと、盛り上がりを欠いてしまう。演奏者全員の凄まじいテクニックに圧倒されながらも、私は感動できなかった。

・兵庫芸術文化センター管弦楽団、金聖響指揮によるブルックナー交響曲第7

第二楽章の途中まで、違和感を覚えていた。オーケストラの性能もあまりよくない(弦楽器は悪くないのだが、管楽器が少し劣る気がする)のも気になるし、金聖響の指揮がマーラーっぽいのも気になった。ブルックナー特有のダイナミズムがない。叙情や旋律性が重視されている感じ。ところが、第二楽章のシンバルが鳴り響くあたりから、ブルックナーの音になってきた。第三楽章は見事。第四楽章はオケの性能があまりよくないことも忘れて私は夢中で聴いた、紛れもなくブルックナーの音がした。最後の部分では私は深く感動した。

・テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)、クレール・デゼール(ヴァイオリン)でブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番、第2番

 一言で言ってすばらしい演奏!! パパヴラミはナントで聴いて圧倒されたのだったが、今回は別の面を見た思いがする。ナントでは、ブラームスのコンツェルトだった。情熱的で激しい身振りが印象的だった。ところが、今回はソナタ。それほど情熱的な身振りはない。もっとずっと内省的で、心にしみる。独特の音色だと思う。ぐっと抑制した音に聞える。そして、時々抑制しながらも、感情が高まっていく。その様子がいくつかの音色で表現される。

ただ、細かいところの処理では、ちょっと雑さを感じる。狭い会場で聞くと、それも気になる。だが、それを補って余りある表現力。ピアノもしっかりとサポートしていた。

 第三番も聴きたくなった。実は、私はブラームスの3曲のヴァイオリン・ソナタの中では、第三番が一番好きだ。スケールが大きく、情熱が爆発する。この曲をパパヴラミで聴くとどうなのだろう。

鳥栖では、パパヴラミのベートーヴェンが聴けるはず。楽しみだ。

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コメント

こんばんは!日参失礼します。でも明日で終わり、、。

感想を読んで明日のルクドクールのパパブラミ楽しみです!ブラ・バイオリンコンチェルト2長調(特に3楽章)大好き♪

私の今日の熱狂のコンサートは庄司さん達のダブルコンチェルトです!しばらく放心状態でした。特に庄司さんの情熱溢れる演奏にしびれました!あの小さい体のどこにあんなパワーが!?

オケもソリストも競い合いながらも全てが1つになり高みにどんどん昇っていって、、こちらも一緒に持っていかれました〜。こういうの体験すると止められなくなりますね!

私もバイオリンソナタ3番が一番好きです♪ネマニャの3番演奏をずっと聞いてましたので(NHKクラシッククラブ・ライブ録画)それも熱演でした。

投稿: とぴか | 2011年5月 4日 (水) 23時55分

とぴか様

庄司さんとヴァシリエヴァの息のあったダブルコンチェルトは、ナントで聞き、とても感動しました。今回は同じ時間帯に堤さんのチェロソナタがありましたので、そちらを選びました。
パパヴラミ、ぜひお聞きになってください。きっとすばらしいと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2011年5月 5日 (木) 08時05分

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